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    haru0551

    @haru0551

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    haru0551

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    密着土銀エイプリール企画
    『桜が散る頃には……』サンプルです☺️
    *パスワードは会場のサークル説明文内に
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    hg webオンリー開催おめでとうございます🎊

    #土銀
    bank
    #密着土銀AFD

    桜が散る頃にはエピローグ

     チュッチュッと口を重ねる水音が、薄暗く広めの和室に響く。銀時はすがるように土方の首の後ろへと腕をまわし、唇を喰むように夢中で舌を絡めてくる。
    「ん、ん、む、あっ……」
     土方もそれに応えるように舌を絡めていたが、やがて銀時の肩を掴んで顔を引き離した。分厚い舌から細い糸を垂らしながら、銀時が不満げに眉を顰める。
    「えー、もっと」
    「これ以上やったら、ベロが痛くなっちまう」
    「いいよ、構わねぇから…」
     銀時が続けようと、土方の襟元を掴み引き寄せるが、土方は軽く銀時の唇を咬むだけで、背中に回した腕にぎゅっと力を込めて抱きしめた。顔を銀時の肩に押し付け、無言のまま背中を擦る土方に、銀時は不服そうに言った。
    「んだよ、そんな気になんねェってのかよ」
     万事屋の和室に敷かれた薄い布団の上で、膝を突き合わせて銀時を抱きしめる腕にさらに力が込められる。しょうがねえなと、銀時も土方の背中に腕をまわした。ぴたりとくっついたお互いの胸から、心臓の鼓動がトクントクンと響いてくる。穏やかな心音とあたたかな体温がだんだんと溶け合い、そのうちどちらの物かわからなくなっていく。銀時は心地よさに微睡かける。
    今日は久しぶりに土方が泊まっていける。連日、仕事仕事で会えない日が続き、銀時は正直待ちくたびれていた。昼から仕込んだ料理も食べ終わり、風呂にも入って、さあ、これからは甘い時間だとはりきって布団に入ったのに、なぜか土方の態度が煮え切らない。
    「なあ、早くしようぜ」
    「…今日はしねぇ」
    「ええ、何でだよ! 久しぶりなのにっ」
     声を上げて、はっと我にかえった。これじゃあ、俺が欲求不満ですと言ってるようなものだ。いや、実際そうなのだが。
    「なに、何か問題でもあるってーの?」
     銀時は土方に枝垂れかかり、意味ありげに紅い濡れた目で見上げた。土方が抗えないのを分かっての仕草だ。顔を硬らせる土方を楽しむように銀時は挑発を続ける。そのまま土方から体を離すと、作務衣の紐を解いて布団へと横たわり土方の手を引っ張った。土方は促されるまま、銀時の方へと倒れてきたが、顔の横に手をついてじっと銀時の顔を覗き込んで呟いた。
    「こう、毎日は……お前の負担になんだろ」
     銀時の動きがぴたりと止まる。
     ……毎日?
    「え、何言ってんの。Hするの久しぶりじゃん」
    「……やっぱり覚えてねーのか……」
     土方は片手で顔を覆うと、深くため息をついた。何の事かと目を瞬かせる銀時を、指の隙間から覗く紺色の瞳がじっと見つめていた。

    ◇◇◇

     ようやく桜の蕾が膨らみ始めた頃、銀時の様子が最近少しおかしいのだと、屯所へやってきた新八から打ち明けられた。今日は万事屋に屯所の庭の剪定を依頼している。ここにくる時はいつも一緒に来る銀時の姿がなかった。おかしいとは思っていたが、どうやら俺へ相談するためにわざわざ独りで来たらしい。
    「銀さん、夕方になると、何だかぼんやりしてて……」
     縁側で休憩の茶菓子に付き合いながら、新八の話を聞いた。銀時の言動に違和感を感じ始めたのは、ちょうど寒さが緩み、春の気配が漂い始めた頃だという。
     昼間、依頼をこなしている時はそうでもないのだが、空が薄暗くなってくると共に、ぼんやりする事が増えているようだった。
    「季節の変わり目だからじゃねーのか?」
     タバコの煙を吐きつつ視線をやると、新八は何か言いたげに笑い、実は……と切り出す。
    「ずっと前にですけど、桂さんが松下村塾には桜があって、それは見事だったって話をしていて。そろそろ桜が咲く頃じゃないですか。だから松陽先生とか……その、大切な人を色々と思い出しちゃうのかなって思って」
     新八は、はっきりと名前を口に出さなかったが、土方の脳裏に不適に笑う、もう一人の塾生の姿が思い浮かぶ。虚との最後の戦いで、ターミナルで散ったという高杉晋助。あれから隅々まで検分したが、結局のところ遺体を掘り起こすことはできず、生死ははっきりとしないままで終わった。あいつが、銀時のおかしな言動の原因だというならーー面白くねえ。土方の機嫌をそこねたかと、新八が慌てて言葉を繋ぐ。
    「も、もしかしたら寂しいのかもしれないです。神楽ちゃんもいないし、僕が帰った後は銀さん、あの家で一人だから……。その、時間が取れそうな時は、夜にでも寄ってあげてください」
     そう、少し照れくさそうに言う新八に、土方も顔を熱くしながら「ああ、分かった」と返事をした。
     銀時が師である松陽と最後の戦いを終えたあと、しばらくして、銀時は土方との交際を隠すのをやめた。どうやらとっくにバレていたらしく、チャイナ娘には『やっとアルか…』と呆れたように言われ、周囲からも驚くほどすんなりと受け入れてくれた。
    だが、土方は未だ公認であることに慣れない。何となく、気まずい空気が二人の間に流れていった。
     ここ数日会えていなかったのもあり、新八が帰った後すぐ奴へと電話した。「何、またえれー急だな」といつもと変わらない面倒くさげな声で返される。何だよダメかよと拗ねた調子で言ってみると、「別にいいけどよ…」と銀時の言葉に少し嬉しさが含まれているのに気づいて満足する。酒は持ってこいよと念押しされて電話は切られた。久しぶりの銀時の声に、胸が高鳴る。
     きっと新八の杞憂だろうと思いながら、万事屋に向かった俺は事の重大さにまだ何も分かってもいなかった。

    ◇◇◇

    「急に来るってェから、大したのはねぇぞ」
     そう言いながらもテーブルには肉じゃがに冷やっこ、きゅうりにジャコと塩昆布の和え物と、胃に優しそうな料理が並ぶ。
    「美味そうじゃねェか」

     神楽はハンターである父の手伝いで、宇宙に出ていてしばらく帰ってこないらしい。神楽の年齢を考えたら、共同生活もそろそろ考えねえとな、なんて事をいつぞやの銀時が言っていたが、その横顔は娘に出ていかれる父親そのもので思わず頭をくしゃくしゃに撫でてやったっけ。
     神楽が父の手伝いで地球を留守にする事が増えた分、必然的に土方は万事屋を訪れることが増えた。ゆっくりできるし、何より銀時の料理が美味い。俺のために用意してくれたのかと思うと、思わず顔が綻んだ。嬉しくて横に座った銀時に思わず接吻すると、
    「おい、まず飯が先だ!」
     顔を真っ赤にした銀時に押しやられる。渋々顔を離し、食卓の方をむくと懐からマヨネーズを取り出した。
    「かけすぎんなよ!」
     横から銀時の鋭い声がかかり、「テメーは母ちゃんかッ!」と突っ込みを入れながらも、マヨネーズは気持ち控えめにする。手土産に持ってきた酒もお気に召したようで、ぼんやりテレビを見たり、他愛もない話をして穏やかな時間を過ごした。
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    Replies from the creator

    haru0551

    PROGRESSオセロ続きです。
    理由があって、ヒジカタくんと鉄子が映画に行くことに…。
    苦手な方は回避してください。
    ※捏造世界での土銀八ですので、何でも許せる方のみお願いします💦
    オセロゲーム⑥ 土方の提案は、一度だけ二人で映画に行って鉄子の口から村田に『思っていたのと違った』と伝えて貰うというものだった。さすがにそこまでして違ったとなれば、村田もこれ以上の世話を焼いてはこないだろう。
    「正直、あんたが村田先輩を説得できるとは思えないからな」
     少々、辛辣かもしれないが、土方は正直な気持ちを口にした。鉄子も同じことを思っていたのか、少し考えている様子だったが、土方の提案に頷いた。
     ならばと詳しい打ち合わせをするためにラインを交換し、鉄子とはその日は別れた。
     次の日、村田に鉄子と映画に行ってみる事を伝えた。やはり妹のことが大事なのか、「そうかっ!」と村田は嬉しそうに叫んだ。土方は少し良心が痛むが、それよりも早くこの件を解決して、またいつもの心穏やかな日々を取り戻したいという気持ちの方が優位だった。土方は心の中ですまねえと頭を下げながら、「ただ、どうなるかは分からねぇ。それまでは他言無用でお願いしたい」と肝心なことを村田に約束させる。
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