しにがい 紗綾、イクス(R)「ふぁ……もうこんな時間かぁ……」
過去の仕事の書類整理をしていたらあっという間に真夜中過ぎになっていた。
紗綾は1つ大きな欠伸をすると眠気覚ましにシャワーを浴びた。
いつものキャミソールとショートパンツ姿でダイニングルームのソファーで髪の毛を拭いているとカチャリ、と扉が開く音がした。
「あれ?イクス?」
夜着もしっかり着込んでいるが、ふらついている大好きな男性の前に紗綾は駆け寄った。
傍によると強い酒の香りがする。
珍しく飲みすぎているようなので水を取りにきたのだろう。
しかし、グラスを持つ手が大きく揺らいでる。
「コップが危ないよ!ソファーに座ってて、水持ってくるから」
イクスがコップを落とす直前で受け取り、ソファーに座らせる。
冷蔵庫から天然水をコップに半分程いれ、紗綾はソファーに半分寝ているイクスに渡そうとしたが、横になったままのためグラスを渡せないでいた。
「水……」
目を閉じて呟く酔っ払いに紗綾は軽く微笑んで冗談を言ってみた。
「そんな体制で水のグラス渡せないよ~♪それは口移しで飲ませて欲しいってことかな~?」
普段ならこんな事言えば“は?“と冷たい視線で返されるかスルーされるかだが、今日は普段と違っていた。
「紗綾が飲ませて」
まだ目を閉じたままだが、いつもと違う返事とほとんど呼ばれない名前を呼ばれ、紗綾の胸がトクン、と大きな音を立てた。
少しずつ頬が赤くなる。
イクスを見ると眠そうだが少し辛そうにしていた。
喉が乾いているせいか、水が飲みたいからだろう……
少し悩んだ後に紗綾はコップの水を口に含むとゆっくりイクスの唇を割り、口内の水を彼に飲ませた。
こくり、と喉が動き、更に水を求めてイクスの舌が紗綾の口内をなぞる。
少しだけ、酒と煙草の香りが香った。
「ふぁ……んっ……」
唾液まで吸い取られるように吸われ、紗綾の欲情にも火が灯る。
「イクス……もっと……」
数回、水を口移しで飲ませながら呼吸の合間に言えばディープキスは更に深くなった。
そして気がつけば紗綾の方がソファーに倒され、先程は見えなかった紅玉の瞳に欲の色が見えた。
イクスが頬に、肩から腕、鎖骨へと長くしなやかな手を動かし、その先を苦悶しているのを見て紗綾は彼の首筋に抱きつき、耳元に囁いた。
イクスが動きやすいように、と。
「これは夢だから……イクスが好きな事をしていいんだよ?」
少しずつ肌に這う指に感じながら記憶が朦朧としているだろうから、と紗綾は普段言わない言葉を更に囁く。
「……すまない……」
ゆっくり紗綾のキャミソールを脱がせながら呟くイクスの端正な表情が苦悩に歪む。
紗綾はゆっくり首を振りその言葉を止めた。
「こういう時はすまない、じゃなくて嘘でも好きだ、って言って」
それでも自分に触れながら“すまない“と繰り返すイクスの唇を自分のそれで塞いだ。
服の上から触れていた手はいつの間にか素肌に触れていて、感じやすい部分に触れられる度に紗綾の肌がビクリと反応する。
そして熱の篭った唇は紗綾の首筋から鎖骨、胸の頂きへと降りてくる。
「……っ!!」
嬌声をあげそうになり、慌てて自分の手で塞ぐが、未知の快感は後から後から込み上げてきていた。
胸を揉まれ、片方を舐められ、紗綾も自分の胸元にある短い髪を優しく撫で、普段は見れない頭の頂きに唇を寄せた。
「そこ……だめぇ……」
何度も胸の頂きを吸われ、身体がガクガクと震える。
そんな紗綾の反応を見ながらイクスは紗綾の白い肌に赤い花びらを散らしていく。
「やっ……恥ずかし……っ……」
見られて羞恥と官能で桜色に染まっていく紗綾の肌に赤いキスマークが動く度に花びらの形を変える。
紗綾の反応を見て興奮からかイクスの行為も深まっていく。
ショートパンツの中に自分のものではない手が入り、紗綾の茂みからまだ他人を受け入れた事がない場所に進み、最初は強ばっていたそこも何度か軽く触れられるだけでクチュリとぬめりだし、指の動きと生々しい水音が紗綾の羞恥心を煽る。
イクスの長い指が秘所に入り増える度に紗綾の荒い呼吸と嬌声は止まらなくなっていた。
「紗綾……紗綾……」
行為が深まっていき、耳元に自分の名前を愛おしそうに呼ぶイクスがいる。
紗綾は幸せに目が回りそうになりながらも必死に指が与えてくれる快感を追う。
「イクス……も……辛い……」
達するならイクスと一緒が良い、というとイクスは起立した自分の雄だけ服から出して紗綾の秘所に押し当てた。
何か言おうとするイクスの唇に紗綾は指を当て、小さくその先を促すようにうなづいた。
「そのまま……して……」
ぎこちなく自分の腰を掴むイクスに行為に慣れていないのがわかりホッとする。
軽い嫉妬を感じている間にも楔のように体内に入ってくる体験したことのない痛みに顔を歪めながらも紗綾はイクスに微笑んだ。
きっとこういう機会でもないとこの人とこういう関係になれる機会はほとんどない。
だから、今のうちにこの愛しさも痛みも身体に刻みつけて欲しい。
そして願いが叶った幸せと小さな痛みがこれが現実であると教えてくれて、紗綾の笑みが深まる。
「くっ……」
イクスが普段見せない乱れて艶のある姿……
ゆっくりと自分の上で動き出す愛しい姿を紗綾は幸せな気持ちで見ていた。
自分がもう一度死ぬなら今が良いと思えるくらいに深い幸せで涙がにじむ。
そして粘膜と肌が触れ合う音とお互いの呼吸と小さな嬌声だけが部屋に響いた。
「あっ……あっ……」
秘所に熱いイクスの雄が出し入れされ、その度に紗綾の口から小さな嬌声が零れる。
少しずつ早くなる律動にしがみついて耐えるが、角度や深さが変わる度に体内から快感と震えが起きる。
そして長いような短いような時間が過ぎ、イクスは紗綾の唇を塞ぎながら紗綾の体内に欲を吐いた。
何度か震えながらも熱い液体を送り込んだイクスは行為が終わるとずるり、とソファーから崩れ落ちた。
「え?イクス?!」
慌てて紗綾が確認するとイクスはその場で爆睡していた。
「はぁ……びっくりしたぁ……」
紗綾は裸のままイクスの傍に寄り添ったが、ふと思った。
深酒しない普段のイクスが今日の事を知ったらどうなるだろう、かと。
多分自分に手を出した事を悔い、罪悪感を持つだろう。
口は悪いが根は優しい人だから……。
そして紗綾はそんなイクスだから愛しいとも思うし、罪悪感を持たせたくはなかった。
だから、まずイクスの身体を清め、ソファーに寝かせて毛布もかけて先程の痕跡を全て消した。
自分も再度シャワーを浴び、身体全体を隠す服を着て治癒の得意な死神友人の所に向かい、治癒能力をコピーさせてもらった。
そして部屋に戻り鏡を見ながら見える範囲の赤い痕跡も消していく。
本当は1つだって消したくはない。
でも、今日の出来事を無かった事にするためには必要な作業であった。
胸元等の服の上から見えない部分だけは残しておく。少しでも今日の事を思い出せるように。
最後に体内の痕跡も治癒能力を応用し、避妊もしておいた。
紗綾はイクスさえいれば良いがイクスが生まれ変わりたがっているのを知っているし、自分が妊娠したらその夢はすぐに消えるのが解るからこそ、念には念を入れておく。
これ以上イクスの願いを奪いたくないから。
そして全ての見える痕跡を消すとぐっすり眠るイクスに寄り添い、いつものように目を閉じた。
***
「あれ?」
イクスが起きて動いたため、紗綾も釣られて起きた。
「ふぁ~、イクスおはよー、昨日お酒飲みすぎたみたいだよね、お水持つ手が危ないからさ、ソファーに座らせたらそのまま寝ちゃったからベッドに運べなかったんだよ」
と、出だしは本当に起きた出来事を伝える。
「そうか、悪かったな。着替えたら食事作るから、お前もちゃんと服着とけ」
いつも通り少しそっけなく言い、イクスは部屋に戻ろうとしていた。
そう、これで良い。
紗綾はその背中に手を振り、自分の部屋に入り扉を閉じると崩れるようにしゃがみこんだ。
「これで良い、これで良いのに……っ」
気持ちではちゃんとわかっていたけれど、瞳から涙が零れて落ちた。
寝る前にあったあれは自分だけの思い出になったことがこんなにも切ない。
そして止まらないその涙は、いつもよりも少し冷たくて、その冷たさが更に悲しかった。
(終)
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一線を超えた時から、極偶にではあるが深酒したイクスと台所かダイニングルームで会うと身体を重ねる関係になった。
もちろん毎回そこで、というと起きた時に不安が残るため、イクスの部屋に戻ってだが、触れるたび、身体を重ねるたびにイクスは私の弱点も快感を強く感じる場所も学習していく。
そして、触れ合いが増えるたびに、求められる度に私の想いは深まっていく。
ささやかな罪悪感と強い慕情は込み上げる快感に呑まれる。
「他の事を考える余裕があるんだな」
背後から繋がりながら背中から囁かれ、体内がキュッと反応する。
普段は無愛想な声なのに、こんな時だけ艶のある声と姿になるなんて本当にずるい。
私にこんなに威力を発揮する事を知っていてこの人はしているのだろうか?
「ひぁんっ……ちが……イクスのこと考え……やぁ……」
背後から強く揺さぶられ、まともに言葉すら出ない。
仰け反って強い快感から無意識に逃げ出しそうになる身体をしっかり掴まれ、何度も最奥を突かれる。
その度に体内から溢れる水音と嬌声があがり、体内が快感と喜びに震える。
直にそれに触れているイクスなら私の身体がどれだけ悦んでいるか解っているだろう。
早くなる律動に、やっとのことで首を振り、その行為を一時的に止める。
何かいいたげな紅の瞳に最後は顔が見たいのだ、と伝えた。
艶を増した端正な顔が少しだけ優しく微笑む。
その姿を見ると身体だけでなく、心も満たされ、あまりの幸せな感覚に視界が涙で歪んだ。もうすぐ終わるだろうこの幸せを今は少しでも多く残したい。
正常位に向き合うと直ぐに首筋に両手でしがみついた。
「もっと……奥まで突いて……っ、激しくして……」
だって、体内に残るこの快感と痛みの残滓だけは消さなくて済むものだから。
だからもっと身体に刻みつけて。
そう願いながら熱くなる肌に唇に自分のそれを強く重ねた。
(終)
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紗綾がダイニングルームのソファーに転がって録画しておいた映画を見ているとイクスが部屋から出てきた。
今日も深酒したのか、少しおぼつかない足元をしてる。
イクスは水を飲んで一息つくと映画の音と紗綾に気づいたようで、ふらふらと歩み寄り、紗綾の隣に座ったかと思うとぐい、と紗綾の頭を押さえ、深く口付けてきた。
「!?……ふっ……んっ……」
いきなりの出来事に息も絶え絶えになりながらも、絡められた舌に答える紗綾をソファーに押し倒し、性急に胸をまさぐる。
「イク……ス……?」
すぐに襲いくる快感に紗綾の肌が桜色に染まり、じんわりと汗ばむ。
その汗すら音を立てて吸われ、紗綾は快感と恥ずかしさで頬を赤らめた。
何度か抱かれはしたが、今日のように急なのは初めてだった。
「……すまない……」
何に、とも言わずボソリとイクスは呟くが行為自体は止まらず、更に深くなっていく。
紗綾の秘所を指で解し、濡れたことを確認するとイクスは一息に紗綾を最奥まで貫いた。
「ああっ……っ! ……」
キュッと紗綾の中が締まり、イクスのそれに強く絡む。
性急に、そしていつもより激しい動きに紗綾はすぐに翻弄された。
すぐに、ぐちゅ、ぐちゅ、と出し入れが繰り返される。
「あ……やぁ……深いっ……」
上から、下から何度も貫かれ、そのたびに紗綾の身体はガクガクと力なく揺さぶられる。
そして普段よりも強く多く紗綾の肌に赤い花びらが散らされた。それがどんなに激しくても優しくても自分をちゃんと求めてくれた証のようで、紗綾はキスマークがつけられるたびに身体を小さく震わせた。
激しい動きに耐えられず、しなだれかかる紗綾を支えながらもイクスは激しく動き続け、最後に紗綾の最奥に欲を吐き出した。
「んっ……」
ずるりと体内に入っていたものが引き抜かれ、紗綾は浅い呼吸を繰り返しながらも抜かれる際の動きににも反応した。
こぽり、と紗綾の奥から真っ白な精液が太ももに伝っていく。
それを見てまた興奮したのか、珍しくイクスはまた硬く起立したソレを紗綾の中に押し込んだ。
「ふあっ?!……さっきより大きい!!……」
初めての連続の行為でグイッと入ってきたものは最初よりも質量を増し、紗綾の中の壁にしっかりと密着した。
「すまない……優しく抱きたいが出来ない……」
紗綾を揺さぶり涙を流しながらもイクスは激しく動いた。
泣きながら何度も謝るイクスは初めての時以来で、嬌声を上げながらも紗綾はその涙を舐めて微む。彼が安心するようにと。
「いいの……私はっ……んっ……イクスの……ものだから……」
だから激しくされても平気。
揺さぶられながらもそれだけはちゃんと伝えた。
下の口も上の口も何度も犯され、送られてくる唾液を飲みながら紗綾は身体と言葉でイクスに何度も応えた。
そして激しい交わりは2度、3度、と長く続いた。
***
ちゅちゅちゅん、と雀の鳴く声と息苦しさで紗綾は目覚めた。
あのまま気を失うように寝ていたらしい。
それはイクスも同じで、まだ紗綾を覆うように抱えて寝ていた。
しかもまだ繋がったままで、それに気づいた紗綾の身体がすぐに反応してしまった。
「ひゃ!?」
自分の中がうねった事でまたやや硬さを取り戻したソレを申し訳なさそうに体内から抜く。
早くイクスが目覚める前に全て片付けなくては。
「それにしても、身体中ベタベタ……」
色々な体液で皮膚も体内もドロドロであるが、シャワーなど浴びている間にこの状況にイクスが気づいたら……と思うとそれも出来ず、タオルで身体を軽く拭いた後にイクスの身体とソファー周りの交わりの名残を優先して片付けた。
イクスとソファー周りを元通りにしてからシャワーを浴び、紗綾にしては珍しい首元から足首まで隠れる服に着替えた。
太ももの内側にも沢山赤い花びらが咲いているせいだ。
能力を借りないとこの赤い証は消しきれないが能力を借りている死神は明日まで戻って来ないのだ。
この後どうするか考えながら浴室から出るとイクスが目覚めており、紗綾はビクリと反応した。
それを1つ深呼吸した後に普段の笑顔に切り替え、ソファーで頭を抱えているイクスに背後から抱きついた。
「おはようー♪昨日飲みすぎたでしょー?」
そして頬に自分の頬を擦り寄せ、いつもと変わらない姿を見せる。
「飲みすぎのせいか、頭も身体も痛い……」
(身体はエッチな運動で使いすぎたせいだよ、とは言えない……)
思い出して少し頬を染めながらも紗綾は普段通りを貫く。
「ソファーで変な格好で寝たからじゃない?今日は仕事ないし、ゆっくり部屋で寝直したら?」
そういうと素直にそうする、と一言いい、イクスはソファーから立ち上がった。
そして紗綾を見て珍しそうなものを見る目をした。
「お前もその姿、風邪でも引いたのか?そういや顔も少し赤いな?」
頬に手を当てられてそう言われ、まだ顔が火照っている事に気づく。
「あ、あはは、昨日お腹出して寝てたみたいで調子が悪いみたい……私もそろそろ寝るね」
それだけ伝え、部屋に戻った。
そして今日もちゃんと日常を守れた事に安堵し、ベッドにポスンと倒れ込んだ。
肌にも体内にも、まだ寝る前の名残を感じ、紗綾はその幸せな時間とその時の自分を思い出しながら目を閉じ、ゆっくり眠りについていった。
(終)
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先日、悪戯心を起こしてイクスの部屋にエロ本を置いておいた。
神父と孤児の少女がニャンニャンしちゃうやつだ。
主人公の神父はある少女以外の前では人畜無害な優しい人なのだが、信心深い1人の少女の前だけではガラリと姿が変わるのだ。
『 神に祈るより俺を頼れよ』
とか
『 お前の大好きな神様に淫らな姿をみせてやれよ』
とか
『 ほら、口が空いただろ?あとは言わなくてもわかるよな?』
とか言っちゃって少女の身体を開発していくのだ。
少女も神様ごめんなさいと思ってはいるが、官能に反応する自分に罪悪感を持ち、普段は敬愛する神父の命令を拒めない、というお話だ。
ほんの少しだけど自分とイクスの逆バージョンにも見えて、なんとなく気になって買ってしまったのだ。
だからイクスが読んだ時の反応がみたいのに、毎日何の反応もなくて私はガッカリした。
それから更に何日か過ぎ、そんな事をしたのも私はすっかり忘れていた。
***
紗綾は今日も寝付けずダイニングのソファーで膝を抱えながら借りてきたDVDを見ていた。
中身はあまり騒がしくなければジャンルも内容も問わない。
要は眠気を誘ってくれるか暇つぶしになれば良いから。
ボーッと飴を舐めながら見ているとイクスの部屋から本人が出てきた。
今日は酔っていないのか、足つきもしっかりしている。
だから昼間バージョンで紗綾はイクスに対応した。
「夜中に起きてるの珍しいね~♪映画一緒に見る?推理ものだけどねー」
それだけ言うと飴を舐め直し、DVDの続きを見た。
今ちょうど探偵の推理が始まって良い場面なのだ。
つかつかと歩いてソファーに近づいたイクスはひょい、と紗綾を抱えた。
いわゆるお姫様抱っこだ。
あまりにも唐突な対応に紗綾は反応できずにいると何故かイクス本人の部屋に連れていかれた。
そしてベッドに投げ出される。
「ちょ?イクス?」
よく見ると今日はあまりお酒の香りはしないが机の上に酒とコップ、そして先日紗綾が置いたエロ本が置いてある。
「あの本、お前も読んだんだよな?」
ベッドで隣に座ったイクスが言う。
何度か読んではいるので紗綾は素直に頷くと、イクスは紗綾の舐めているキャンディーをひょいと口から抜いた。
そしてやや強気な口調で紗綾に声をかけた。
「ほら、口が空いただろ?」
そのセリフに紗綾はドキリと反応する。
あの話の神父のセリフだからだ。
という事はあのセリフに続く少女の真似をしろ、という事だろう。
それが正しいならば続きのセリフがあるはずだ。
ズボンの前が少し開かれていく。
そして
「あとは言わなくてもわかるよな?」
やはり、話の主人公のセリフであった。
それが意味する事がわかり、紗綾は赤くなりながらもこくり、としっかり頷いた。
そしてイクスの足元に入り込み下着の上からでも膨らんでいる誇張をゆっくり取り出した。
マジマジと初めて見るイクスのそれは思っていたよりも生々しく大きい。
紗綾の指がそっと棒の中心を握ると先の膨らみが軽く震えた。
イクスを見ると小さく吐息を零していて、それが異様に色っぽい姿であった。
(私が触れたから?初めてだけど上手くできるかな?)
内心の緊張を隠し、紗綾は握っている部分に顔を寄せた。
また頭上から小さな吐息が零れる音がする。
紗綾は覚悟を決め、お話の少女がしていた事を真似し始めた。
最初は舌でゆっくり形をなぞる。
そしてアイスを舐める用にぴちゃぴちゃと音をたててソレを舐める。
その度にイクスから小さな吐息と声が零れた。
たまにイクスの反応を見て反応が大きい場所を丹念に舐めた。
それが一通り終わると紗綾はゆっくり口に含んだ。
口内でソレが動くのがわかり、紗綾は自分の下手な行為でも興奮してくれる事に喜んだ。
そして丁寧に口を上下に動かし、何度も擦る。
何度も肉棒を咥え、吸い、舐めてイクスの反応を見る。
そして反応が良い場所をわざとゆっくり対応する。
「くっ……」
何度か焦らすと、さすがにわかったらしく、艶のある顔に小さな苦悶が見えた。
「お前っ……わざと……っ!」
そんな表情も紗綾の胸を焦がし、更に何度か焦らす。
肉棒を口に含んでいる紗綾の両頬をイクスの手が包んだ。
「もうキツイ……イかせてくれ」
紗綾の喉がゴクリと鳴った。
切なそうに欲情した姿で懇願するイクスの姿が愛おしくて、紗綾にはその懇願を無視する事は出来ず、肉棒への奉仕を早めた。
「くっ……出るっ……」
その声の一瞬後に紗綾の口内にドロリとした白濁が勢い良く吐き出された。
いきなりの事で全部をうけきれず、少し口の端から零れて流れた。
しかし、口内に残った白濁はお話の少女がしていたのと同じようにゴクリと飲み込む。
「うぇ……苦い……」
リアルな本音が出る。
お話では美味しいです……と少女は飲んでいたが、実際は苦がしょっぱく、とても美味しいとは言えなかった。
少し満足そうなイクスには悪いが紗綾は少し不満であった。
自分の方はまだ欲求不満状態だからだ。
それもイクスが情欲の火をつけたのに、先に1人で満足しちゃっているなんて……。
だから更にお話の少女と同じ事をした。
ショートパンツと下着を脱ぎ、口淫中に濡れた秘所を自分の手で開くき、懇願のセリフを言った。
「お願いします……私にも……私の中にもください……」
自分でした姿とセリフだが、あまりにも恥ずかしくて紗綾はイクスから顔を背けた。
今イクスはどんな反応をしているのだろうか?
ギシリとベッドが軋み、イクスが紗綾の上に被さり唇を奪った。
この先も同じならば、この後は何度も深い交わりの時間になる。
紗綾は深い口付けを受けながら、話の続きを体験できる事を期待して待った。
(終)
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