井浦慶は王城正人に執着されたい 僕のお願いを続けて聞いてもらったから、今度は慶の番だ。
一旦休憩しようということで、ベッド脇に二人で腰掛ける。慶はしばらく考え込んでいたけれど、試してみたいことがある、と両手を僕の方に差し出してきた。
「…手首強めに握ってみてくれ」
「えっ、そんなことでいいの?どこがえっ「いいからやってみろって!ほら」
ワケを聞きたかったけど、両手を差し出されて少し納得する。拘束してほしいってことなのかな。
それならと両手をまとめてぎゅっと握りしめる。でも扉上に掲げられたカウンターは減らない。僕の時は無意識のお願いでもすぐにカウントダウンしたのに。
「もしかして握り方とか違う?弱い?」
「いや、悪い…やっぱり多分もっとこう、精神的な感じだと思う」
絶対逃がさない、って感じが欲しい、と歯切れ悪く言う慶の耳が少し赤い。
「僕に捕まってたいとかそういうこと…?」
「…だとしたら悪いかよ」
「ううん、ちょうど良かったなって」
「は?どうい
言葉を待たずに、慶の両手をまとめたままベッドに押し倒す。捕まってたかったくせに、思わずもがいたのはきっと本能だろう。逃げられないようにカウンターを使って押さえつける。
「僕はきっと、一生慶を離してあげられないから」
途端にカチリ、と大きめの音でカウントが減った。