まるで生娘を白いシーツの上に飾るかのように横たえられる。何をって私だ、私をまるで生娘のように扱っているのだ、この年上の部下は。
「おい、シャリア!何を…っ!」
「ふふっ、驚いて言葉遣いが荒くなっていますよ、シロウズくん?」
「何をそんなー…んっ」
茶番を、とつなげようとした言葉を塞がれる。何にって、シャリア・ブル中佐の唇にである。なんだこれは、とんだ色男の手管じゃあないか!
頑なに閉じている唇の境目をぬるりと熱い舌で舐られ、固く尖らせた舌先で何度か扉をノックするように突かれる。
私が唇を開かないことにしびれを切らしたのか、いやらしい水音を立てて殊更ゆっくりと唇が離された。
「シロウズくん、大人のキスは初めてですか?」
「そんなわけないのは、貴公が一番知っているだー」
「Language」
「…っ、キスは、初めてじゃないです」
「ふふっ…残念。私が全部君に教えてあげたかったのですけれども…ね?」
私の唇を悪戯に触れていたシャリアの指先が、ゆっくりと下に降りていく。
唇から顎、黒のタートルネックの隙間から首筋をカリカリと引っ掻き、さらに下って胸元を辿って…辿って!?
「シャリアさん!」
「どうしました、シロウズくん?」
「何を、するつもりですか!」
「何をって…私の口から言わせたいのですか?」
いやらしい子、と色気のこもった湿度のある声でささやかれて、カッと顔に血がのぼった。
なんなんだこの男は!
5年前とは全く違うじゃないか、あの時はもっと純朴で、私が何かをするたびに顔を赤らめて恥ずかしそうに声を出していたのに!
それなのに、この男ときたらー
「5年も私を放っておいたからですよ、大佐」
「シャリア・ブル中佐…!」
「ふふっ、あなたの知らない5年間を、今から披露させていただきますね。どうぞご賞味ください♡」
「あっ、待て!どこを触って…ッ!」
「もう既に5年も待ったのです、待ちませんよ♡」
「ん…っ、あ"っ!」
このあとどうなったか?
ご想像にお任せする。
結論としては、恋人は5年もまたせてはいけない、ということだ。