『お菓子よりも…』「珍しい。お菓子ですか?」
夕飯後にコーヒーと緑茶を淹れるのが習慣になっているトキヤと真斗だが、今日は少し様子が違った。
チョコレートコーティングされた棒状のお菓子も一緒に出されており、トキヤは物珍しげに問う。
「む?一十木が今日はこの菓子を一ノ瀬に出すと喜ぶと言っていたのだが…ん?」
トキヤに“失礼”と断りをいれて、テーブルの端で震えるスマートフォンを手に取る。
どうやら着信ではなく、メッセージが届いたようで慣れない手付きで操作をしていた。
その隙にトキヤはカレンダーにちらりと視線をやり、今日が11月11日であることを確認すると小さく息を吐く。
(はぁ。音也ときたら聖川さんに変なことを教えて……後できつく言っておかないと)
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