This life is for you命を捨てる。
命を賭す。
その違いは何処にある?
と、サギョウに聞いた。
サギョウは、銃を調整する手を、一瞬だけ止めてから
「例えばですけどね──」
と、語り始めた。
その横顔は微笑んでいる。
「あなたのせいで死ぬのが、命を捨てること。
だけど、あなたの為に死んだのなら、それは命を賭した。
って、感じかな?」
銃をケースに仕舞い、伸ばされたサギョウの手。
あたたかく、力強い。
「責任重大だな」
掴んだ手を引いて近付けた瞳は明るく眩しい。
「そうですよ?
──お互いにね?」
最後の言葉に俺は笑って、それから、緑色の髪の毛先を撫でた。
「──では今夜も向かおうか、魔都へ」
「ええ──またお会いしましょう、互いが互いのままで」
人成らざる者が行き交う常闇の街。
事もなきひとときのつもりの別れがいつ永遠の別れになってもおかしくは無い澱んだ此処で。
それでもまた会えると、確信してその背を見送れるのは、互いを認めているから。