ツーマンセル 非番の夜、歩いていた街。
ふと聞こえた喧騒、妙に気になって赴いた先には先輩たち。
切羽詰まった雰囲気、騒つく胸中。
だけど握った電話は鳴っていない、僕は必要ない?
それでも駆けた、呼んだ。
「先輩!」
弾かれたように僕を見た先輩に、『何か手伝えることは?』と、聞く前に──
「助かった!」
先輩が応えて、くれた。
「吸血鬼が逃げた! この地点から各周囲ふた区画、一般人への非難誘導を頼みたい!」
手短に、だけど要点は捉えた先輩の声に僕は頷いて、来た道を戻り駆けながら返答した。
「了解です!」
私服で丸腰の僕にできるのはそれくらいだ、だけど──
ひたすらに嬉しかった。
僕に、できることがある、そしてなにより──
先輩が、僕を頼ってくれた、その一点が。
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