濾過できない病「……何であんたがここにいんのよ」
「さぁ、なんでだと思う?」
自宅に帰ってきた歌姫を出迎えたのはストレスとして避けている男、五条悟だった。帰ってきて早々、家に呼んだ事もない男が自分のベットに我が物顔で横たわっている。
無礼で煩わしい男に住所も部屋の番号すら教えたことはない。当然ながら、合鍵も渡した記憶もない。立派な不法侵入だ。だが、残念なことに法律は人々に平等でも適用されなければ意味がない。生憎、五条悟は不法侵入しただけでは罪に問える存在ではなかった。
肺いっぱいの酸素を吐き出したのち、額に手を当てた。
「色々突っ込みたい事が多いけど、とりあえず先に聞くわ。アンタより先に先客がいなかった?」
「ん?あぁそれならさっさと帰らせたよ。僕が歌姫に用事あったしね」
2117