「キース！　キース！　起きて！」

　ゆさゆさと強く体を揺らされれば、流石のキースも目を覚ます。眩しい電気から目を守り、心底嫌そうな声で返事をした。

「……んだよ……」
「なんか変なんだよ！　テレビが壊れた！」
「通販の見過ぎなんじゃねーの」
「いいから見てよ！」

　ゆさゆさを通り越してぐわんぐわんと揺さぶられ始め、流石にこれ以上は勘弁だと目と耳に注力してみれば、確かにおかしいことが起こっていた。

『今日の運勢、ナンバーワンはおうし座のあなた！』

　テレビの中では、可愛らしいキャラクターのアニメを背景につらつらと意味のわからない文字が踊っている。ここまでの文字化けは放送事故レベルだろうに、テレビの向こうでは焦った様子のひとつもない。

「キューキュ！　キューキュ！　きゅきゅきゅ！」

きゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅ、きゅきゅきゅきゅキューキュきゅきゅきゅきゅ。きゅきゅきゅーきゅっきゅきゅきゅきゅきゅきゅ、きゅっきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅきゅきゅきゅっきゅきゅきゅきゅ。

「……きゅきゅ……」
「きゅっきゅきゅーきゅきゅきゅ！　キュキュキュきゅきゅきゅきゅきゅ！」
「きゅーきゅきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅーきゅ」
「きゅーきゅきゅきゅきゅきゅ！」

　きゅきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅきゅきゅきゅぅんきゅぅんきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅ、きゅしゅきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅっきゅっきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅきゅきゅきゅきゅ、きゅきゅきゅきゅきゅきゅきゅーきゅきゅしゅきゅきゅっきゅきゅ。

お祭り日和今週末は近所の神社で祭りがあるらしいと太郎が言っていた
そうだ、浴衣があったな、と思い出して箪笥の中から太郎に似合いそうな柄を探す
柄はなくていいか、と笹色の浴衣を取り出して衣紋掛けに掛けておいた。
俺は気に入っている紺色に縦縞の模様のついた物を選んだ。
帰宅した太郎に週末は祭りに行くからな、と言って微笑むとすごく行きたかったんです、と嬉しそうに笑った
作っておいた晩飯を一緒に食べると何を食べたいとか、何がやりたいとか嬉しそうに話している太郎が愛おしくなって、早く週末にならないかな、と考えていた

それから数日、祭りの日が来た
太郎はよほど楽しみだったのだろう、早上がりをして帰ってきた
「浴衣、着付けるから服脱いでこっちに来てくれ」