深松 肩を叩かれ振り向くと、頬にぷすりと指が突き刺さる。
「深津、毎回指を指すな。俺の頬は肉が薄いから痛えんだぞ」
指を退けながら深津に言う。深津は口角を上げながら「そう言いつつ、毎回引っかかってくれるのが松本の良いところピョン」と、なんだかんだと甘やかす俺が悪い様に言う深津にイラッとした。
***
トントン、トントン、と肩を叩かれる。だが振り向かない。大体の人間は用があれば、声をかけてくる。声を発しないということは深津である可能性が高いからだ。
「……松本、怒ってるピョン?」
「怒ってはいないが、この間のはイラッとした」
「悪かったピョン……」
松本にかまってほしくて、つい何度もやってしまったと眉尻を下がらせ、こちらの機嫌を伺う深津を見ていると、俺が悪いみたいに思ってくる。
俺が甘やかすのも悪いが、分かりづらく甘えてくる深津も悪いだろと思いつつ、腰に手を当てため息をつく。
「はぁ……今度からは」
「ピョン?」
「今度から強く刺さないなら、付き合ってやらなくもない」
「それ、どっちピョン」
「うるせー」
照れ隠しに深津の柔い頬を摘むのだった。
おわり