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    結 海 *゚

    @Starry_Pleiades

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    結 海 *゚

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    FFさんの誕生日に昔書いた🍚🍨
    🍨が🍚に一緒に出掛けないかと誘い、東京観光(ス○イ○リーに行く)をする話。

    #腐向け
    Rot
    #腐向けargn
    argnForRotten
    #やまはる

    俺だってたまには…。「なぁ、椿」
    「どうした、二条?」
    「……明後日って、何か用事あんのか?」
    「いや、特にはないが…急にどうした?」
    「良かったら……どこか出掛けねぇか?」

    ある日の帰り道。柄にもなく俺から椿にどこか出掛けないかと誘った。
    何でかって…?そんなん俺にも分かんねぇよ。何となく…椿を誘って、椿とどこか出掛けてぇ、そう思っただけだ。

    「あぁ、それは構わない。それにしても…二条から誘ってくるなんて、珍しいな…」
    「うっせぇな…悪ぃかよ?」
    「いや、そんなことはない。むしろ嬉しい。明後日は何時にどこに行けばいいんだ?」
    「そうかよ……。11時に、いつものところでいいだろ」
    「分かった。明後日、楽しみにしてる。またな、二条」

    そう言ってその日は駅で分かれ、それぞれ帰路へとついた。


    迎えた当日。俺は待ち合わせの時間より30分も早く着いていた。
    何だかソワソワして落ち着かなくて、早くにシェアハウスを出た結果がこれだ。
    (柄にもねぇことしちまったからか…?俺らしくもねぇ……)
    椿が来る時間まで、自販機で買った飲み物を飲みながら、近くのベンチに座って音楽を聴いて待つことにした。

    そうしているうちに時間が経ち、そろそろ椿がやってくる時間が近付いてきた。
    俺はイヤホンを外すとベンチから立ち上がり、改札の前へと移動した。
    それから間もなくして、椿が改札を抜けて俺の前へとやってきた。

    「二条、もう着いていたんだな。待たせてすまない」
    「別に、謝ることねぇだろ。ちょっと早くついただけだっての」
    「そうか。ところで、今日はどこに行くんだ?」
    「…決めてねぇ」
    「ん?」
    「とにかく…お前とどこかに出掛けたかったから、そこまで決めてねぇんだよ……」

    恥ずかしくなり、椿から視線を逸らす。
    しばらくの間、俺と椿の間に沈黙が流れる。

    「…じゃあ、東京観光はどうだ?」
    「東京観光……?」
    「東京には観光地も多い。たまにはそういうのも悪くないんじゃないかと思ってな。二条は気になる場所とかあるか?」
    「……じゃあ、スカイツリー、見てみてぇ…かも…」
    「スカイツリーだな。分かった、じゃあ向かうぞ」
    「おぅ……」

    東京に来て、観光なんてするような状況でもなかったし、俺自身、観光なんて考えもしてなかった。行く相手もいねぇし、観光客が集まるような場所に行くのは面倒だ。
    でも、椿となら…それも悪くねぇ気がする…。
    期待を胸に、椿とスカイツリーへ向かう電車へと乗り込んだ。


    電車に揺られ、数十分後。今の俺の目の前には真っ青な空をバックにそびえ立つスカイツリー。それを見上げながら、想像以上の大きさにただただ驚く。
    「デカイな」
    「あぁ…すげぇな……」
    2人して上を向いてスカイツリーを眺める。
    「近くに商業施設もあるな。とりあえず、昼でも食べよう」
    「あぁ」
    俺たちは近くの商業施設へ入り、フードコートで昼を済ませた。
    「……あのさ、椿」
    「何だ?」
    「スカイツリーの、展望デッキに…行ってみてぇんだけど……いいか……?」
    「あぁ、もちろんだ。二条が行きたい場所へ行こう」
    「……ありがと、な…」
    返事代わりにか、俺を見ながら椿は柔らかく微笑む。
    「……ほんと、その顔、ずりぃんだよ」
    「……何か言ったか?」
    「何もねぇよ……。ほら、さっさと行こうぜ」
    先程の言葉を誤魔化すように、俺は早足でフードコートを出た。


    チケットカウンターへ着き、それぞれチケットを買った俺達は、展望デッキへ向かうエレベーターに乗った。
    エレベーターが止まり、ドアが開く。出た先で見えた景色に俺は再び驚く。

    「高校の頃にも一度来たが、やっぱり景色はすごいな…」
    横で椿が何か言っているようだが、俺は景色に見入ってるせいで何も入ってこない。
    普段見る高いビルも、ここから見るとまるでおもちゃのように小さく見える。

    「二条?二条!」
    「うわぁっ…な…何だよ急に……」
    「返事がないから心配でな…どうだ?」
    「すげぇな…下から眺めるこのスカイツリーにもびっくりしたけどよ、ここから見る東京の眺めも…ほんとにすげぇ……」
    「そうか。二条が満足そうで安心した」
    「お前に言われなきゃ…観光なんてしてなかっただろうな…」

    椿が「東京観光はどうだ?」って提案してなかったら、この場に来れてなかったし、この景色は見れなかった。

    俺は椿との距離を詰めると、椿の左腕に寄りかかる。
    「二条…?」
    「ありがとな、ここに、連れてきてくれて…」
    「……珍しいこともあるもんだな」
    「うるせぇ。たまには…俺だってこういうこと言うんだよ…」
    しばらくの間、この状態のまま、椿と2人で景色を眺めた。

    それからお土産を買ったり、カフェに入って休憩したりして過ごしているうちに、気がつけば日が沈み始めていた。
    時間が経つのはあっという間なんだなと実感する。

    「椿、さっきはありがとな。コレ…俺の分も買ってくれて…」
    そう言った俺が今手に持っているのは、さっきお土産ショップで買ったスカイツリーのデザインのストラップ。椿も同じものをさっき買った。
    せっかくだから、何か記念になるものが、椿と何かお揃いのものが、欲しかった。
    それで、椿にも言って、2人で見ながら決めて買ったのがコレだ。しかも、椿が俺のも一緒に買ってくれた。
    「何つーか…嬉しかった……」
    「あぁ。俺も二条と何かお揃いのものが欲しいと思っていたからな…気にするな」
    「……そ…う…かよ…」
    椿からの思いもよらない言葉に、思わず言葉が詰まる。
    まさか…椿も同じこと思ってたなんてな…。
    せっかくだから、学校のカバンにでもコレを付けるか、キーホルダーを眺めながらそう考えていた時。

    「二条。アレを見てみろ」
    「……あっ」
    椿に言われ、見てみると、スカイツリーが綺麗な水色にライトアップされていた。
    「あの色、二条みたいだな」
    「……は?」
    「二条の髪色みたいだ」
    「俺のと…一緒にすんなよ…」
    あんな綺麗な水色が、俺の髪色なんかと一緒なわけないだろ…。
    「何でだ?綺麗な水色だろ?二条の髪色だって」
    「お前……よくそんなことサラッと言えるな……」
    「俺は思ってることを正直に言ってるだけだ」
    「ほんっと……お前のそういうところ、すげぇな……」
    俺には到底真似出来ねぇ…する気もねぇけどな。
    椿の横顔を眺めながら、俺は右手を伸ばし、椿の左手を握る。

    「二条、どうした?」
    「しばらく…こうしてても、いいか?ライトアップも、もう少し見てぇんだ…」
    「あぁ、もちろんだ。今日の二条は、随分素直だな」
    「俺だって…たまには…な……」
    「いつもこうやって、素直に甘えてくれても俺は問題ないぞ」
    「ははっ…気が向いたらな」

    そう言って椿と見つめ合い、2人で笑い合った。
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