白い箱で見る夢7 驟雨「テニスの話をしないでくれと言ってるんだ!!もう帰ってくれないか!!」
意気揚々と、順調に勝ち進んでいる関東大会の報告をしに行った俺たちに突きつけられた幸村の悲痛な叫びは、青天の霹靂、いや、それと共に急変して降り始めた土砂降りの豪雨のようだった。
そして、その雨は今も降り止まず、しとしとと音を立てて俺たちの心を濡らし続けている。
「傘を忘れたのか弦一郎」
隣からの声にハッと我に帰ると、
「蓮ニか」
灰色の空から、バラバラと音を立てながら勢いよく落ちてくる雫の粒を睨むことしかできずにいた俺とは違い、しっかり常備しているらしい折りたたみのシンプルな傘を手に持った立海の参謀が佇んでいた。
「今日は大気の状態が不安定だと天気予報で言っていたのに弦一郎が手ぶらで来ているとは。嵐にならなければ良いが」
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