呼び方が違うだけで 「富司さん!」
そう言って駆け寄ってくるユウキを見て思わずリョウは眉間に皺を寄せた。
「えっ…どうしたんですか、」
「…そろそろ、いいんじゃないのか」
そう言ってくっとリョウはユウキを引き寄せる。そしてそのままユウキの身体を自分の腕の中へと閉じ込めるがその突然のリョウの行動に驚いたユウキはじたばたとみじろぎをする。
「富司さん!?ひ、人前ですよ!」
「別に気にしない」
「でもっ…」
「それよりも俺が気になるのはお前の呼び方だ」
「呼び方だ。もう付き合ってるってのに、『富司さん』はないんじゃないか?」
「あ…」
「というわけで名前呼びを所望する」
そんなことをまさかリョウの方から提案してくるとは思わず、何故だかリョウのことを子供のようだと思ってしまったユウキはくすくすと笑う。
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