七夕の日に秘めた願いを 「僕、七夕なんて初めてしたよ!願い事を書いて括るなんです変なお祭り」
「変なって…そういう風習だからなぁ…」
「ふふ、でも楽しいよね?雪波」
「うん!」
Θにて、伊吹、雪波、日向そしてリョウまでも加えてユウキたちは七夕パーティーをしていた。こんな大勢で七夕パーティーをするなんて初めてで昨日から浮き足立ってしまっていたユウキはにこにこと笑って皆の様子を眺めていた。
「楽しそうだね、ユウキちゃん」
「わっ…栖原先輩…!」
「あはは、ごめんごめん。驚かせちゃった?」
「あ、いえ…私が考え事してただけなので…」
「考え事?」
「はい。まあ、考え事っていうか…楽しいなって、そう…思ってたんです」
恥ずかしそうに笑うユウキにカムイは笑みを返す。
「それならオレも一緒だ。オレもすっごく楽しい!こんな大人数で楽しめるのも滅多にないしさ」
「そ、そうですよね!?」
「うんうん」
同じ気持ちであることが嬉しく思わず前のめりになるユウキにカムイは笑みを返す。
「…で、ユウキちゃんは短冊にお願いはもう書いた?」
「はい、勿論…吊るすのはまだですけど」
「ならオレと一緒だ」
そう言ってカムイは嬉しそうにまた笑い、それが嬉しくなってユウキも同じように笑った。
「ユウキちゃんは何書いたの?」
「な、内緒です!」
思わず隠すユウキにカムイは困ったように笑う。
「そう言われると気になるけど…それくらいユウキちゃんが叶えたいお願いってことだよね?」
「…はい」
「叶うといいね」
「栖原先輩こそ」
そう言って背を向けて二人は笹に短冊を吊るしていく。
(栖原先輩と結ばれますように)
(ユウキちゃんに告白する勇気が持てますように)
そんな健気な願いは晴れた七夕の日、天の川の下そよそよと風に揺られ空へと届いていくだろう。
-Fin-