熟したリンゴ 「日向~?帰ったよ、って…あっ…」
目の前に広がる光景に自分の手で自身の口を塞いだ。木の幹に体を預け眠っている日向。そんな日向にリスやら鳥やら鹿やら…森に潜む動物たちが日向に近づきリラックスしているように見えた。こんな風に動物に好かれているなんてまるで――。
「……物語のお姫様みたい、なんて…ふふっ」
こんな巨体の男に言うことではないがそう思ってしまうほどの光景だった。それに眠っている時の日向の顔はあどけなく、幼く、……かわいいのだから。
そう思い、隠れて頬を染める。そして日向の近くにいる動物たちに声をかける。
「私も一緒にいても、いいかな?」
頷くように小鳥が私の肩に止まり、笑顔を浮かべたまま日向の隣にそっと座る。
1099