【栖原カムイHBSS】ショコラの約束 「ユウキちゃんって男の人から貰うチョコってどう思う?」
「どうって……」
そわそわとした様子で聞かれてユウキはあることに思い付き笑みを浮かべた。
「嬉しいですよ」
「ほ、本当?」
「本当です」
「じゃあ、手作りは?」
「嬉しいですよ。特に好きな人からは」
「す、好きな人……」
沈みそうになる様子を見て思わずユウキは肩を竦めた。
(その【好きな人】が私であることには思い至らないんだなあ、先輩は)
と呆れつつもユウキは隣のカムイの顔を見上げた。
「え、えっとじゃあ…ど、どういうのが好きとか嬉しいとかある?」
「…焼き菓子の方が好きかもです」
「焼き菓子っていうと…」
「ブラウニーとか、ガトーショコラとか?」
「なるほど…お、オレ!頑張るね!」
拳を握りしめて言うバレバレな姿にユウキは必死に笑みを隠した。
「栖原先輩はどんなのが嬉しいですか?」
「えっ、俺!?」
「はい。やっぱり抹茶味とかですか?」
「まあ、確かに嬉しいかも…お菓子でもよく抹茶アイスとか、抹茶シフォンとかついつい手に取ったりするかなあ」
「ふふ、ありがとうございます。当日楽しみにしててくださいね?」
「…エッ?!」
「それとも一緒に作ります?」
「えっ、えっと…えと……」
顔を真っ赤にして返答に迷っているカムイを見てユウキはいたずらっぽく笑った。
「私はどっちでもいいですよ?でも一緒に作ったら楽しいだろうなって思います」
「……ユウキちゃん、オレで遊んでない?」
ジト目で見るカムイに「バレました?」と言って小さくユウキは舌を出した。
「も、もう!」
「あははっ…それで、どうします?」
「えっと、それは…」
うーん、うーんとサプライズしたい気持ちとユウキと一緒にいたい気持ちを天秤にかけそして「一緒に作る方で……」と項垂れながら言った。
「やった!嬉しいです!」
「わわっ!?」
急に手を繋がれて顔を真っ赤にするカムイにおかしそうにユウキは笑いそしてそのまま走って寮の前まで下校を楽しむのだった。
-Fin-