猫のよう 中天に昇った太陽が春眠の中に微睡む肉体をしゃっきりと目覚めさせる。実に清々しい朝だとベレトは思った。
窓から吹き込んできた爽やかな風に誘われるまま散歩に出て、大修道院の庭園を小一時間ほどかけてゆっくりと一巡りする。そうして自室へ戻ったベレトが扉を開くと部屋の四隅までも明るく照らし出すような白光が室内にある物を輝かせながら広がっていった。
……とふいに差し込んだ光に驚いたのか、ばっと毛むくじゃらの塊が跳ね起きて今し方ベレトが開いた扉の隙間へと突進するように駆けていく。慌ただしく逃走していくそれはキジトラ柄の猫であった。どうやら換気のために開けていた窓から勝手に忍び込んで休んでいたようだ。猫の後ろ姿が木陰に隠れるまで見送ってからベレトは室内へと再び視線を戻す。
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