文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day13 リビングルームとして使われている部屋に置かれたダイニングテーブルで紙片に向かう汐見へと、空閑は珍しげに視線を向ける。汐見の手に握られているのは、今年の誕生日プレゼントとして彼が空閑へと贈ったものと揃いのボールペンで。
どんなに難解な課題でもそんな表情は浮かべていなかったと思える程の渋面を晒し、白い紙にボールペンを走らせる汐見の様子を観察していた空閑は結局観察だけでは飽きたらず汐見の向かい側へと腰を下ろす。空閑に見られたく無いものであれば、汐見は図書館か格納庫にある飛行教官室に行く事を知っていたのだ。
「アマネ、何やってるの?」
顔を顰める汐見へと声を投げれば、汐見の切れ長な瞳は白い紙から空閑へと向けられる。深い茶色の瞳には、わかりやすく困惑が浮かんでいた。
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