僕が朝起きた時にはもうすでにビリーくんはいなかった。
いつも目覚めとともに耳朶に触れる「グッモーニン、グレイ♪」って声も、眩しい快晴の色をした瞳も見当たらない。
朝の一場面が欠けるだけで何か物足りないなと思うくらい、ビリーくんは僕の日常に溶け込んでいる。
ビリーくんのおはようが聞けなくて寂しいはずの朝、それでも僕の頬は恥ずかしいくらいに緩んでいたと思う。
今日をずっと楽しみにしていた。だって、ビリーくんとちょっと特別なデートをするから。
◇
「ねぇねぇグレイ、今度のお休み、何か予定あったりする?」
楽しいことを思いついたと言わんばかりに輝く双眸をこちらに向けられると、いつだって僕までワクワクした気持ちになる。
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