どあか「するぞ」
バンッと大きな音を立てて開かれた襖の方へと視線をやれば、仁王立ちでこちらを睨みつけている猗窩座殿がいた。
「やあ猗窩座殿、久しいね!最後に会ったのは無惨様にお叱りをうけた猗窩座殿を慰めてあげた時だから……10年と3ヶ月ぶりだ。今日はどういった用件かな?また失態でも犯したのかい?」
俺が喋っているのを聞いているのかいないのか、相槌も無いままにこちらへと歩き寄ってくる。余程力を込めているのか、畳がミシミシと音を立てていて痛むからやめて欲しいなあと思うけれど普段から血で汚している俺の言えたことではないな、と口を噤む。
襖から俺のところまで、そう距離は無い。目の前に立つ猗窩座殿は俺を見下ろしたまま動かない。まるでこちらの反応を待っているかのように。
1987