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    sakesalmon_sake

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    sakesalmon_sake

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    どあか「するぞ」

    バンッと大きな音を立てて開かれた襖の方へと視線をやれば、仁王立ちでこちらを睨みつけている猗窩座殿がいた。

    「やあ猗窩座殿、久しいね!最後に会ったのは無惨様にお叱りをうけた猗窩座殿を慰めてあげた時だから……10年と3ヶ月ぶりだ。今日はどういった用件かな?また失態でも犯したのかい?」

    俺が喋っているのを聞いているのかいないのか、相槌も無いままにこちらへと歩き寄ってくる。余程力を込めているのか、畳がミシミシと音を立てていて痛むからやめて欲しいなあと思うけれど普段から血で汚している俺の言えたことではないな、と口を噤む。

    襖から俺のところまで、そう距離は無い。目の前に立つ猗窩座殿は俺を見下ろしたまま動かない。まるでこちらの反応を待っているかのように。

    「……もう一度聞くけれど。用件は?」
    「お前の耳は飾りか?するぞ、と言ったんだ」
    「誰と、何を、まで教えてくれないとなあ」
    「わかっているくせにいちいち言わせようとするな。時間の無駄だ」
    「ならば最初から猗窩座殿がきちんと誰にでも伝わるように言葉にしてくれればよいとは思わないかい?君が俺の質問に簡潔に答えないせいだぜ、これは」

    チッ、と舌を打つ音が響き渡る。と同時に猗窩座殿が畳に膝をつき俺の袴を掴む。

    「待った。行動で答えるのは無しだ。俺は今、猗窩座殿とおしゃべりしたい気分なんだ」
    「…………」
    「無視をしてもいいけれど、俺の希望に応えてくれないのならばここを追い出すよ。自分のしたいことだけを押し通すなんて稚児じゃああるまいし、まさか猗窩座殿はそんなことはしないよな?」
    「………………お前、今日は俺とする気が無いな。既に女でも抱いた後だったか?」

    はぁ、と大きく溜息を吐いた後、猗窩座殿は俺の袴から手を離して腰を下ろす。随分と懐いてくれたものだ、と思う。普段は毛を逆立てた猫のように威嚇しこちらの話など少しも聞いてくれないというのに、情を交わそうと俺の寝屋に訪れる際にはある程度は寄り添ってくれるようになった。
    まあ、勿論それは俺の魔羅をどうにかその気にさせて自分の尻へと迎え入れる為なんだろうけれど。あの猗窩座殿をそこまでさせる俺の魔羅のなんと罪深いことか。そして猗窩座殿の色仕掛けのなんと拙いことか。

    「猗窩座殿だって知っているだろう、俺はそもそも性交にあまり好感を持っていない。ここ30年程は猗窩座殿としか交合っていないよ」
    「ならば千摺りこいていたということか」
    「…………そういった下品な物言いは如何なものかと思うよ」

    眉間に皺を寄せると、猗窩座殿の真一文字に結ばれていた唇の口角が僅かにあがる。なるほど、今日は随分とご機嫌らしい。
    猗窩座殿は俺が怒りや不満の表情をみせるのを好む。そのほうが「人間みがある」のだそうだ。猗窩座殿の人間好きはよくわからないけれど、求められれば応えてやるのが俺の役目だ。それは猗窩座殿とて例外ではない。

    「いつも品も何も無く腰を振るくせに何を」
    「猗窩座殿がそういった行為を俺に求めているのに、酷いことを言う」
    「ではなんだ、お前は俺が求めれば何だってするというのか。俺が求めなければ俺と交合わないと言うのか」
    「なんでも、とは言えないけれど。後者については否定はしないよ」

    そして、猗窩座殿は俺とは恋仲などでは無いしただ性欲処理においての利害が一致した為にしているだけであってそこに特別な何かなどは一切無い、と言い切るわりに、それを俺から口にすると随分と不満げな顔をする。
    今回もそうだ、ご機嫌な様子で笑みを浮かべていたというのに、俺の言葉を聞いて唇を尖らせてしまった。

    「猗窩座殿は俺にも求めて欲しいと?」
    「そうだと言ったら、それが俺の望みならば応えてやらねばとかなんとか言って求めるようになるのだろう。つまらん奴だ」
    「だって猗窩座殿が俺にそう求めているんだろう?求められれば、できる限りの事はしてやりたいものだよ。愛しい部下の為ならば、なおのこと」

    いとしい。猗窩座殿の唇が小さく動いて、俺の言葉をオウム返しに呟く。バカを言うなと突き放されるかと思ったが、どうもそうはならなそうだ。

    「その気にさせるなど面倒だから今日は無しだと思っていたが……気分が乗った。もはやお前の意思はどうでもいい。交合うぞ、魔羅を出せ」
    「はぁ、まあ猗窩座殿がそうしたいのならば、仰せのままに。夜更けまで愛し合おうな」

    血色の悪い肌がわずかに赤らむ。その正体に気付かない程初心では無いけれど、気付いてやる気はさらさら無い。気が付くまでの過程が面白いのだから、こういうのは。さぁ、今宵はどのように楽しませてやろうか。猗窩座殿の火照る腕をぐいと引き、潤んだ眦に唇をひとつ落として期待に震える体をやわらかな布団へと招き入れた。
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