七海春歌のにちじょう。【お昼休憩編】 シャイニング事務所の休憩室にて。
ここはスタッフ誰もが使用できる、広くて清潔感のある空間だった。壁に貼られた、ドラマやバライティ番組、CDやアルバムの宣伝ポスターは、殆どが見知った方々である。
春歌がこれまで関わってきたアイドルや歌手方だけでなく、まだ関わったことのないタレントや俳優、女優の顔も多い。こうしたポスターから情報を得ることも多く、次の仕事に繋がることもしばしば。
これは、寿嶺二や一ノ瀬トキヤから聞いたアドバイスだった。
全く初対面の人と関わるならば、相手に関する情報を少しでも手に入れる。それが話のネタになることもあれば、今までの作品を活かした仕事に繋げることもできる。必ずしも上手くいく事ではないが、情報は持っているに越した事はない。
開いたパソコンのメモ用ノートを立ち上げる。ざっと気になったアルバム名や作品名を書き込んでいった。合間に、片手に持っている作業のお供、サンドイッチをひとくちたべた。
(メールも確認しなきゃですね・・・)
開いたメール受信件数、約二十件。朝に確認したのに結構多いかもと、気合を込めてサンドイッチをパク、パクッ。
内容は、仕事の締め切りアナウンスもあれば、前々から伺っていた内容変更、スケジュール変更の知らせ。中には、以前お世話になったピアニストさんからのピアノコンサートの案内も来ている。少し興奮し、思わず案内URLをクリック。公式サイトに飛んではスケジュールチェック。……行、け、ない。残念。 あっ、他の日程なら予定が合いそうです! スケジュールマークして……締め切りがこの日なら、この日とこの日に徹夜すればここは空けられそう。 それにこの予定がずれ込むなら、この日でも大丈夫かな? と、とにかくお返事。お返事を書かなきゃで・・・。
「あっ……」
夢中になるあまり、食べかけのサンドイッチの具をマウスパッドの上に落としてしまった。急いで残り二口ほどを口の中へ詰めこみ、カバンからティッシュを取り出した。ついでに、ウエットティッシュも何枚か。
拭きながらもぐもぐと口を動かす。小さなひとくちもおいしいが、口の中で溢れそうなのもおいしい。口の中の水分がパンに持っていかれてパサパサだった。
水筒を取り出して、よく冷えたお茶を飲む。今日もシャイニングストアで購入した水筒を使っている。小さめで、持ち運びに便利なのだ。
そして一息つく。
サンドイッチの中身の具が落ちてしまう事件、約十回目(※春歌調べ)。
春歌はまたも「最近、このトレーニングサボってたからかな?」と落ち込む。
そしてカバンから取り出したのは、以前に黒崎蘭丸からもらった『ハンドグリップ』。今度はその握力トレーニング機を片手に、引き継ぎパソコンのメール確認作業に集中した。
(@haru_sam175)