終わりの朝、百年の孤独 君を失いたくない。どうか、私の前から消えないでくれ。ガンガディアがそう願うには遅すぎた。沈む太陽を止められないように、終わりは刻一刻と近づいていた。
空を朱に染める太陽が地平線の向こうへ沈もうとしている。その空に背を向けながらガンガディアはひとり街を歩いていた。
本当はマトリフと一緒に出かけるつもりだったが、昼過ぎになってマトリフが体調を崩した。昨夜に無理をさせたせいなのかマトリフはずっと布団から出ずにいた。心配したガンガディアが声をかければ怠いと言う。触れれば発熱しており、回復呪文も効かなかった。街へ出かけることは中止しようとガンガディアは提案したが、だったらとマトリフは買い物を頼んできた。それはマトリフが好んで飲む茶で、街にある馴染みの店でしか取り扱っていない。確かに茶葉は残り少なかったが、急ぐほどでもなかった。ガンガディアはそれよりも体調が良くないマトリフのそばにいたかったのだが、マトリフがそれを許さなかった。さっさと行けと追い出され、ガンガディアは渋々承諾した。
11173