ルビーの視線「じゃあ銀八先生、次カメラ目線ちょうだい〜。お、良いね! じゃあそのまま目線外して……」
スタジオの中にシャッターの音が響き、ストロボが光る。レンズを向けられた先では、ピンクのシャツを着て灰色のネクタイを締め、白衣を纏った銀髪の男性……坂田銀八が、カメラマンの指示に従い次々とポーズを取っていた。正面のカメラに向かって微笑んだかと思えば、椅子にしなだれかかるように座り意味深な流し目を送る。小道具にと渡された赤ペンや書類を細い指が弄ぶ様子は、色気すら感じさせた。
服をしっかりと着込み、厭らしさなど欠片もない撮影の筈なのに、狭いスタジオの中には妙に艶めかしい空気が漂っている。誘われるようにシャッターを切りながら、男性カメラマンが感心したように言った。
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