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    Kurone_02

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    #L社同名職員さん一堂に会する定期ワンライ
    飛鳥/自職員
    フライングスタート1時間+40分
    誤字諸々あった為修正しました(なう4/25,00:49)

    いずれ深黒へ変わる笑顔の前に「笑顔」の職員は感情を棄てた。と、噂されていると知ったのは大切な存在に言われてから。福祉チーフとして、数少ないAleph完全装備の職員として気を張っている自覚はある。それでも、感情は確かにあると思っていた。

    「お前のせいで、お前のせいで!恋人を失ったんだぞ!?わかってんのか!?助けろよ、お前の心臓と交換して生かせよ!あの2人も役立たずだなァ!?エージェントのお前らでも救えないのか!」

    WAWレベルの試練、対策が取れていても完全に防ぎきることはできない。そして今日に関しては、死んだ蝶の葬儀屋も逃亡した。記録チームの2人が別部署の幻想体を対応してる時に限って、勝手に開けた違反者オフィサーが居た。
    いち早く異変に気が付いたシユさん、作業に向かう足を鎮圧へ切り替え走って止めに行ったタシャさん。2人が気が付いたから被害がこれでも抑えられたのだと言いたい。2人を侮辱されるのは赦せない。ふつふつと湧き上がる怒りを抑え込む、俺が怒ったところで失った哀しみの方が深いと分かっているから。

    「怒ってどうするのよ、彼女が勝手に開けたとカメラ映像で発覚したわ。彼女自身が規則違反をして死んだのだから。死ぬも生きるも勝手でしょう?」

    「……オーロラさん、突然背後から声を掛けないでやってくれ。」

    「それを守れって言われても……赤子を見てるわけじゃないんだから、あなたが見てなさいよ。飛鳥もその顔をするの辞めて頂戴?私、資料を渡し来ただけよ?墓穴の桜のついでに。」

    「今日もご機嫌最低評価で」

    墓穴の桜は、調子がいいと害が出る。だから、良くも悪くも作業を真面目にすることがないオーロラさんが行くのが得策で、中央本部も助かっているというのは聞いてるし、彼女の直属の後輩で異動で中央本部へ来た2人も言っていた。それを彼は何と勘違いしたのか、近くにあった椅子を蹴っ飛ばして、怒りのまま当たり散らす。

    「エージェントと言ってるのに、どいつもこいつも使えねぇじゃねえかよ!なのに、なんで僕らが死ぬのに無感情なんだ!!お前らも死ねばよかったのに!!」

    「私は無感情なの!?」

    「無関心なだけだろ、オーロラさんは。侮辱発言はやめてくれ。」

    あらまぁとくすりと笑う彼女に軽いため息を吐きながら、オフィサーへと振り返る。彼女の形見なのだろう、真っ青なリボンが、彼の怒りに込み上げた真っ赤な顔に混じる、失った絶望感の真っ青な表情と相反して、皮肉な品だとつくづく思う。誕生日プレゼントでくれたんだと、自慢しているところを見た記憶がある。

    「武器を持つ自覚をしっかりしろって件について、なら……振るう時の覚悟を誤れば、殺戮と変わりない。だから、安易に振るう訳にはいかない。オーロラさんはRED武器だ、人を傷付ける。」

    私も怒られるの!?とぎょっとした顔でこちらを見たが、オーロラさんに関しては前々から歪んでいる所が微増した気がする。安全部署の2人は、恋路の話は悪手だし、それによって歪みが発生している。それを俺が直せる訳では無いし、仮にその歪みを直せたら彼女たちがどうなるか……責任を取れる訳でもない。

    「笑顔の職員は、愛想も心もないんだな!!!!」

    彼に殴られた後、彼は睨みつけてそのまま走り去っていった。痛いなぁとオーロラさんは、やれやれと言った顔をしていた。愛は盲目だろう。と、彼女に言ってやれば、お互い様そんなことないね。と苦笑いされた。

    「……感情はあると思うが、そんなに俺はないのか?」

    「私が見るには、めちゃくちゃあるわ!オリバーくん?だっけ、あの子と絡むと感情がよりはっきり分かりすぎて、お腹が痛くなるくらい笑っちゃうわ!」

    「ちゃん呼びするんだぞ?やめて欲しいと言っても辞めないし。」

    「飛鳥は、お姉様がいらっしゃったの?」

    「何故?」

    オーロラさんは目元だけ笑わせ、勘?と曖昧な返事をした。反射的に笑顔に手をかけたのは、悪いとは思っている。

    「……オーロラさんには関係のない話だろ、作業の指示が来た。そっちに行くから、お見送りは出来ないぞ?……あ、おかえりなさい。」

    収容室へ向かおうとすると、タシャさん達が疲れきった様子で帰ってきた。オーロラさんは、生粋の女性好きだ。入社前の面接の際にも、色々な女性に話しかけ、俺と志希は後ろ姿が女性に見えたから声掛けて、目に見えるほど萎えてテンションが下がっていたのを覚えている。2人でちょっと驚きつつも、くすっと笑えた話だ。それはともかく、オーロラさんはタシャさんに抱きつき、女の子チャージとかなんとかほざきながら……吸ってる。言い方が合ってるかは不明だが。

    「オーロラさん、お疲れ様、です……!あの、その……」

    「飛鳥、タシャちゃんお持ち帰りしちゃダメ?」

    「ダメだなぁ〜。大切な存在だからな、そんな事言ってる暇あるなら帰りな〜。」

    「オーロラさん、中央本部のエレベーターまではお見送りしますので、それで、今回は許してください。」

    「飛鳥」

    「ハイハイ、わかったわかった……!シユさん、タシャさんが持ってかれないように、一緒についてって。終わったあとに、ルドルフの方へ行って。」

    指示を出し、そろそろ作業場へ行くと言って走って向かう。オーロラさんは悪いやつじゃないが、難しいやつなんだよなぁと日がいくら経てど思う。

    エレベーターを降り、記録部署に収容されてる死んだ蝶の葬儀屋の所に向かうと、丁度ルドルフを終えたダナさんが出てくる。お互いに、あっ、と言った顔をしてから会釈をした。

    「…………さっきは、ごめんなさい。」

    「謝るな。ダナさんもオーウェン先輩も、懲戒や抽出チームの方に居たんだろ?急いで戻ってきた方だよ。……むしろ、俺の方が食い止められなくて悪い。」

    柔らかな頭を撫でてから入ろうとした瞬間、そういえば……と言った顔でダナさんが俺の腕を掴む。なんだ?と微笑んでみれば。

    「イザベル先輩が、飛鳥先輩のこと、呼んでたんだな。終わった後に、行ってみると……いいかも、だな。」

    「イザベル先輩が?……分かった、後で向かうよ。」

    下層部はキーパッドだったな、とカードキーをしまってから、情報を打ち込んでから深呼吸をする。

    「『死んだ蝶の葬儀屋』に『抑圧作業』を行います。」

    ***

    「……イザベル先輩、俺に何の用でしょうか?ダナさんが呼んでいると言ってたので。」

    「飛鳥さん、来てくれたんですね?ありがとうございます。」

    「いえいえ、なかなかタイミングが合わず、仕事終わりに時間をわざわざ作って下さりありがとうございました。」

    古参の皆さんの憩いの場化としている第1食堂に案内されるのかと思えば、先輩の自室へ案内された。後輩達に貰ったクッキーを差し出すのだけで、緊張した身体では精一杯だった。席に座って出された紅茶に口を付ければクッキーと程よいバランスがとれて美味しかった。紅茶より珈琲派な為、心の中で苦笑いしか出来ないが。

    「飛鳥さんは、感情豊かですよね。」

    「イザベル先輩も豊かですよ?」

    「……そうか、僕もそう言ってもらえて嬉しいです。」

    「……で、……イザベル先輩は何故?」

    「飛鳥さんは、……嫌だったらごめんなさい。オリバーくんのおかげで、怒りの感情が出しやすくなってると思うのです。」

    オリバーが?と、思わず眉を寄せた。オリバーさんは懲戒チームの新人で、シユさんと同じ時期にエージェントになった職員だ。問題としてオリバーさんは、新人に必要な教育実習を全く行えてない。
    イザベル先輩が、眉を寄せてなかなかしない人に対して指を指すなんて行為をしたレベルには礼儀がなってない。懲戒チームが胃を痛める分、同じ寮室のルームメイトとして叱ってる気はする。

    「……僕はさ、ルーくんが喜びも楽しさも受け持ってくれてるからさ。怒りや哀しみは請け負うつもり、なんだよね。本人に伝える気はないよ、僕の独断で決めている事だから。」

    「……」

    なんて献身的で魂のない先輩なのだろうと、思う反面、優しさ故に磨り減った心がなんとか形を保ってるのだけでも奇跡と願う存在なのかと思う。クッキーを口に入れて、僅かながらに微笑んでから。

    「飛鳥、君の過去を恥ずかしながら聞いた。君ではない、君に。」

    「イザベル先輩、いずれ死する日の俺『いつかの俺』にですか。」

    ぼんやりながらも記憶が混ざっている事がある、あることないこと混ざっている。それをケセド様は理解した上で、俺らを福祉チームのメンバーとして護ってくれている。きっと、そのハズ。

    イザベル先輩は、間違えがないか、確認させて欲しいと、淡々とした言葉で聞いてきた。元々姉さんが嫌いで、志希とは昔馴染で、逃げるように入社したってこと。オーロラさんやフランクさん、同期を大切に思っている事。タシャさんとシユさんの事は、血の繋がりがなくても大切な家族だって事。『ピンク』を使うのが怖い事、『笑顔』を使う時に声が聞こえるって事。フランクさんに片想いしているって事。敬語やさん呼びするの実は得意じゃないって事。

    「『いつかの俺』喋りすぎじゃないっすか???」

    「……あの軸では、君は……中層部の数少ない生存者だったから……上層部も壊滅的状態……フランクさんも生命が辛うじてあったとしても、あの状況では誰が生きてるかなんて理解しにくいから。」

    段々声色が寂しいと言うように下がっていくのがわかる。ちゃんと聞いても分かりずらい違いだが。

    「イザベル先輩は、寂しかったですか?」

    「……パニック状態で僕のルーくん居なくなったの、アレで2回目かも。持ってる武器間違えちゃった。」

    ソファーにあったクッションを抱きしめて、悲しいなぁとボソリと呟いていた。視線が下にいった気がするが、感情が乗りにくいのだと思う。俺はその俺はなんと言ったんだろ?と若干の好奇心に駆られて質問した。意味はないと分かっていてもだ。

    「……フランクさんに対して?……大好き、こんな俺でも……貴女に好きな人がいたら応援する……だから、好きでいさせてください。……君の笑顔が好きなのに、フランクの顔が上手く見えないや…………って、飛鳥さんもかなりの重傷であまり動けなかったのと、目元を怪我した事で視界に頼れなかったから……。」

    「……フランクには、言ってません、よね?」

    「飛鳥が好きなのは、その軸だけなのか否か……僕は読み取るの出来なかったから。それに、ちゃんと君の言葉で彼女に伝えて欲しいから言わないよ。ふふっ、だって君さ。」

    恥ずかしさから顔を軽く塞ぎつつ、イザベル先輩をみるとくすくすと笑っている。なにわろてんねんって気持ちだ。

    「飛鳥は『笑顔』を忘れないんだもん。感情を棄ててないから、安心したよ。僕は元々上手くないのが、余計に下手くそになったから。……ヒトの感情、上手くなりたいな。」

    「イザベル先輩もヒト・・ですよ。」

    「……ありがとう。」

    まるで壊れた鏡のようなで愛情不足の人形のような先輩だ。壊れても価値がある。そんな気がする。勿論、扱いの分からない人には危険と思われてもだ。幸せなテディのような温かさと危険を込めて。

    ***

    「……飛鳥はそんなに笑顔を見たいのか?」

    「うん。笑顔を見るの好きだから。」

    自覚をしていない事を指摘する気は無い。飛鳥は喜怒哀楽の哀が、壊れているというより失いかけている。泣いてると思うが口元が笑っているのだ。本当に怒っている時は、哀しそうに涙を流しているのだ。勿論流している自覚はなさそうだし、ルームメイトのオリバーは別の件で指摘して、羽交い締めされていたので黙ってた。

    「……私が君を守るよ」

    「フランクに言われると困るなぁ」

    君は自覚した方がいい。君は優しい、だから、怒号や罵声を浴びても耐える、責任を背負い込む。息抜きがあまりにも下手くそだ、君は。溜め込んでる時、君の瞳は漆黒へと色を暗くなる事。










































    まるで【規制済み】黒の兵隊のようだ。
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