戦場でプロポーズあのメキシコの雨の日同様に孤立無縁の状態だった。
ただ良くも悪くもこの日は雨もない快晴の月夜だ。
歩き易いが、月明かりは足元の小石まで明確にわかるほどで、用心に用心を重ねなければ、敵兵も自分達の位置を容易に把握してしまうだろう。ゴーストは索敵を行う敵兵を背の高い草むらの中から遠巻きに眺めながら小さく息を吐いた。
最後の通信で状況は伝えてある。救援と回収ヘリの到着はまだ先だ。
すぐ隣では痛みに耐えるように息を詰める呼気の音がする。先程、左腕を撃たれたソープの物だった。様子を確認する為にゴーストがチラリとソープに顔を向けると、視界の端でゴーストが動いたのを捉えたソープが痛みから脂汗を浮かべた顔を上げてゴーストを真正面から見据えた。
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