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    じゃくせーくん

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    じゃくせーくん

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    10年後なダンリプ(アパレルショップ店員×警察官)

    1h+20m
    なかなか1時間以内に話がまとまらない。

    ワンライ6/1 【 ダンリプ(現パロ) / 自分だけが知っている 】僕だけが知っている。
    近所のゴットリープ巡査が昔不良とつるんでいたこと。
    僕だけが知っている。
    並大抵の人間が見上げる長身でムキムキのゴットリープ巡査が昔は女の子に見間違われるほどに華奢で小さかったこと。
    僕だけが知っている。
    生真面目で性のにおいが一切しないゴットリープ巡査が夜は積極的で旦那にぐちゃぐちゃにされていること。
    僕だけがその淫靡に蕩けた顔を知っている。

    ゴットリープ巡査は真面目な若者として近所で有名だ。子供たちにはデカいにーちゃんと慕われ、ご婦人たちにはイケメン好青年のお巡りさんと評判だ。交番の上司や同僚たちとの関係も良好で、可愛がられているらしい。
    「おはようございます!今日も気をつけて行ってらっしゃい!」
    ぴしりと姿勢を正して挨拶する巡査に子供たちがきゃあきゃあと声を上げながら前を通り過ぎていく。この時間は通学路の見回りをしているのは僕も通勤の都合で知っていた。僕は駅前のアパレルショップに勤めている。駅に行くためには子供たちの通学路を通る必要があった。
    「おはよう」
    「お、おはようございます!」
    一日ぶりに会う妻に挨拶する。突然現れた夫にドギマギしているのがわかって僕は思わず微笑んだ。
    警察官のスケジュールは一般人とは少し違う。急な仕事もあるし、神経も体力も使うから休日は疲れてなかなか出かけられないこともある。リープは人よりもタフだと本人は思っているようだけど人であることに変わりないし、頑張りすぎる性格だからお休みの日はできる限り休ませてあげたい。寂しい気持ちがないわけではないけど僕もいい大人だから割り切っているし、リープの夢だから応援したいと思っている。でも、たまに気持ちが抑えられなくなって会いに来てしまうのだ。別に業務を邪魔しているわけではないし、ただ通勤のついでに顔を見せているだけだ。新婚なのだから新婚なのだから少しくらい、浮かれていてもいいだろう。リープのプラチナブロンドの癖っ毛も、大きな太陽の色の目も、疲れているだろうにいつもと同じようにきらきらと輝いていた。
    「ダンフォースさん、お仕事頑張ってくださいね」
    「リープもね。無茶はしないでね」
    満面の笑みで「はい!」と元気よく返事をするリープに、僕も笑顔を返す。周りの警察官は僕たちの短い逢瀬をとがめることなく、子供たちとあいさつを交わしていた。僕の妻は身長こそ大きいが童顔で、性格も穏やかな方でなめられやすい。結婚指輪をしているのに、同僚の不届き者に粉をかけられたときだってある。彼が既婚者であることを知らしめるためにも僕はリープに会いに行っているのだ。それに、あの子の笑顔が見られただけで力が湧いてくる気がする。僕の仕事だってきついことはあるけど、リープのおかげで毎日乗り越えられている。

    「ただいまぁ……」
    へろへろになりながら玄関のドアを開ける。今日も疲れた。アパレルショップの店員も楽じゃない。好きでこの仕事をしているが面倒くさい客はいるし、心の中で舌を出してもばれないとはいえクレーム対応には神経を使う。あのクソ客、次来たら出禁にしてやる。僕もほかの店員も、店長すらほとほと困っているから、出禁もやむなしだ。
    靴を脱ぎながら玄関先でぼけーっとしていると、部屋の奥から足音がしてきた。
    「ダンフォースさん、おかえりなさい!ごはん、できてますよ」
    ゆるくまとめた髪にエプロンといった正妻スタイルのリープが僕を見て微笑む。正妻スタイルというか、実際僕の妻なのだが。疲労困憊で気付かなかったが、たしかに和食のいいにおいがする。夜勤明けなのに夕食を作ってくれていたのか。嬉しさと申し訳なさが50:50くらいで僕の心に渦を巻いた。
    「夜勤明けでしょ……?寝ててよかったのに……」
    「いいんです。私は人よりも体力がありますから!ちょっと仮眠は取りましたけど元気いっぱいです」
    ふふんと自慢げなリープ。たしかに元気そうだ。無理をしているようにも見えない。目の前のむちむちの体には人の数倍のエネルギーが秘められているんだろう。
    「お風呂も沸いてますよ。ごはんとお風呂、どちらからがいいですか?」
    あまりにできたお嫁さんすぎる。リープの作るごはんはおいしいから早く食べたいし、お風呂に入ってさっぱりしたい気持ちもある。一瞬考えた後、僕はあることを思いついた。
    「……『それともわたし?』って言ってくれないの?」
    僕は自分でも意地悪な顔をしているんだろうなと思いながら言った。よくあるシチュエーションのセリフだ。ただリープの反応が見たかっただけで他意はない。リープも夜勤明けで疲れているだろうし、無理強いする気は一切なかった。いちゃいちゃしたい気持ちがあるのは本当だけど。十代のころは時間もあったし持て余した性欲をお互いにぶつけていたが、大人になると忙しくて性欲も半減してしまったように思う。リープと同じ家に帰って、一緒に過ごすことがあまりに幸せで満たされていたからかもしれない。
    「そ、それ、は……」
    リープは顔を赤くして言いよどんだ。かわいいなぁ。リープは人種的なものなのか、それとも色素が人よりも薄いのか顔が赤くなりやすい。じわりと赤くなる頬がリンゴみたいでかわいい。「なーんてね」と言おうとしたが、リープがなにか言いたそうにしているのでまだ黙っておいた。「からかわないでください!」って怒られるのかな。
    「……け、決定事項なので……全部済んでから、ですが……」
    耳まで、いや首の方まで真っ赤にしたリープは目を潤ませてうつむいてしまった。
    疲れていたからか、リープの言ったことが理解できなくて言葉を反芻する。決定事項。全部済んでから。
    ……つまり。僕に抱かれるつもりでずっと待ってたのか。いつから?今日、仮眠から目覚めてから?それとも……夜勤が始まる前から?リープの真意を理解した瞬間、顔に火が付いたように熱くなる。僕もリープと同じように顔が真っ赤になっているんだろう。
    「いっ、嫌でしたか……?ごめんなさいっ、ダンフォースさんだってお疲れでしょうに……でも、わ、わたし……ダンフォースさんの、ほしくて……」
    ぷるぷると震えるリープ。あまりの言葉の暴力に倒れそうだった。なんだこのかわいい生き物は。10年前のあの頃と体系はずいぶんと違うはずなのに名も知らぬ小動物を幻視した。
    「僕は今すぐにベッドでもいいんだけど?」
    「だっ、ダメです!まずはダンフォースさんのお体を労わってからですから!」
    却下された。いい案だと思ったのに。リープは真っ赤な顔のままぷりぷりと怒っている。その顔もまたかわいい。リープはどうも人に尽くすのが好きらしく、僕はよく甘やかされている。その奉仕精神の最たるものが警察官になることなのだろうが、それだけではリープの気持ちは満たされないらしい。リープに甲斐甲斐しく世話をされるのもまた僕の愛の表現方法のひとつだ。

    僕だけが知っている。
    わりと頑固でわがままなところがあること。
    僕だけが知っている。
    むっつりすけべで時折性欲を持て余していること。
    僕だけが知っている。
    好きな人にはとことん尽くしてその人をダメ人間にするほどの勢いなこと。
    全部、全部、僕だけが知っている。
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