破邪の秘法を手に入れたいのよ!の後のポップとマトリフ「てことで師匠、姫さんたちも一緒に行くことになったんだ。ちょっとでも洞窟の攻略のリスクを下げてえから。師匠んとこになんか資料あったら貸してくんね?ってなんだよ、その顔。師匠がこうなるように仕組んでたのかよ」
「いや、姫から事前の連絡はあったがな。洞窟に向かうのにおめぇを巻き込むから、おめぇが1人で行こうとしたら足止めしてくれってな」
「姫さん…手回しはええよ」
「オレとしては姫の同行は賛成だ。でなきゃ、おめぇは1人で洞窟に行くつもりだったろ」
「だって、あの洞窟の攻略は魔法が使えるヤツらのが有利だろ。パワーやスピード自慢の連中を連れてくよりはおれ1人の方が小回りがきくって思ったんだよ」
「アバンを動かせねえ前提なら、姫の提案したパーティが最適解だろうが。旅慣れて軽い怪我なら自分で治せるレーダーに、回復呪文が使える近接戦闘職、おめぇより頭がキレておめぇより腕力のある賢者姫。前も洞窟内で女4人でミナカトールでリレミトしたんだろ?今度もなんかあったらそれで緊急退避できらあ」
「そうだけどさ」
「なんなら、姫の提示してきた150階どころか最奥までついてきてもらえよ」
「う……でも姫さんを連れて行くのは先生の攻略地図のある150階までだ」
「150階で姫には帰ってもらっても、マァムとメルルは連れてけ。おめぇ1人と誰かいるのとじゃ生存確率は大違いだからな。おめぇが破邪の秘法を手に入れた後ならラーハルトやクロコダインとでもかまわねぇ」
「……考えとく」
「誰か1人だけを連れて行くなら、破邪の秘法も使えそうな姫を連れて行くのがベストなんだが」
「それはねぇよ」
「ダチの大事なお姫様は危険にさらしたくねえって気持ちはわからんでもないが、勇者のお姫様ってのはそうそう止められねえぞ?」
「師匠、説得力があるぜ。……もしかしてフローラ様?」
「アバンが目覚めたら最終決戦だ、兵を貸してくれと伝えたら色々と大義名分くっつけて自ら御出陣だ」
「姫さんもちゃんと大義名分もくっつけてたな。地底魔城、ヴィオホルンの調査や浄化だなんだって。言ってることがまっとうだから断りきれねえ……」
「そういうこった。おめぇも諦めて、お姫様を勇者んとこへ丁重にエスコートするこった」
「おれの場合、エスコート役っていうよりお目付け役の気がする」
「違いねぇ。ま、姫がいるほうがおめぇも無茶しねえだろうから丁度いいだろ。おめぇ含めて全員無事で帰ってこいよ」
「わかってら」