破邪の秘法を手に入れたいのよ!「行くんでしょう、破邪の洞窟」
「耳が早いこって。未契約の呪文や秘法をかたっぱしから手に入れながら進んでみようと思ってさ。奥底は魔界に繋がるって聞くし、手に入れた呪文の組み合わせで今まで行けなかったところに行けるようになるかもしんねぇし」
「ミナカトールも?」
「さすがにミナカトールの契約はおれには無理な気がするけど。先生が手に入れた破邪の秘法があれば、リレミトがあの洞窟でも使えるようになって洞窟の出入りがしやすくなるだろ」
「その洞窟を攻略するためにキミが先生にお願いしていたミエールの眼鏡とか洞窟の地図の写し。あたしが預かってるわ」
「おれがそれを姫さんから借りるための条件は?」
「あたしも150階までは一緒に降りてキミと同じように契約していく。契約できないのもあるだろうけど」
「自分の立場を考えろよ。今は戦時じゃねぇんだぞ、お姫様が危険なところに出張ろうとすんじゃねぇよ」
「でもあたしがいれば不完全版でもミナカトールが使えるのよ」
「破邪の秘法を手に入れる前でも危険と思えばミナカトールとリレミトで脱出できるってか」
「キミが優先するのはダイ君の捜索?あたしの安全?」
「帰ってきたダイが『レオナがいない』ってしょぼくれることになるのは避けてぇんだが。理由を言いな」
「ヴィオホルン、元地底魔城周辺の調査と浄化」
「そのままにしても害はないだろ?」
「あぁいうところは国が巡回や管理をしないと山賊の寝ぐらになって厄介なのよ」
「何も姫さん自ら…いや、パプニカ王宮で最強の賢者はあんたか」
「周辺は三賢者たちが調査したり浄化するにしても、奥にはハドラーたちや不死騎団がいたころの名残で結界が残っていたり強い瘴気もあるの。それをパプニカの姫が自ら出向いて浄化すれば」
「国が目を光らせてるのが分かりやすいし、強めの安全宣言にもなる、と。調査も浄化も周辺に住むモンスターに悪影響が無いようにしてくれよ」
「ダイ君が悲しむようなことはしないわ」
「なら結構」
「そのためには今の手持ちの呪文だけじゃ少し心もとないのよねぇ。たとえばあの時の先生みたいに、破邪の秘法とトラマナで頂上にある結界を吹き飛ばせばトベルーラで近づきやすくもなるのだけど」
「そういうことなら……でもなぁ」
「前に参加したメルルとマァムも一緒よ。さすがにこの平時にフローラ様やアバン先生を巻き込むわけにはいかないけど」
「そのメンバーで先生の道具や攻略地図を持って出向くなら大丈夫か」
「きっと街中をあたし一人でうろつくより安全よ」
「いやはや人間は怖いねぇ」
「ダイ君には知られたくないわねぇ」
「で、」
「?」
「まだ理由があるだろ」
「……ポップ君がダイ君を見つけたらすぐに会いに行きたいわ。必要なら助けになりたい。助けが必要な状況じゃないのが一番だけど」
「あんたの今の手持ちの呪文だけで行ける場所ならおれがとっくに見つけているだろうし……先遣隊のおれがダイを見つけて、後からあんたが来るってことか」
「リリルーラと破邪の呪文を併用して、みんなも一緒に連れて行けるとしたら心強いでしょ」
「確かにな」
「今度こそダイ君の助けになってみせるわ」
「今度こそって?あんたダイと二人で大魔王に立ち向かって生き残れたお姫様だろ」
「それほど助けになってないのよ。だから今度こそ」
「それを言うならおれも似たようなもんさ」
「キミ以上に誰がダイ君の助けになるっていうのよ」
「そりゃそうだ」
「改めて言われると腹が立つわね。見てなさい!破邪の洞窟ですごくレベルアップしてみせるんだから!!」
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