絆の旅路-捏造7章2.5話 ダバの里への道中-赤目から戻ったポップとピラの会話ピラ
「ねぇ、ポップ。頭の中に声が聞こえたって、どんな声だったの?少しでも何か思い出せない?」
ポップ
「うーん。あんまり覚えてねぇや」
ピラ
「そう」
ポップ
「ただ……あん時も言ったけど、呼ばれた気がしたんだよな」
ピラ
「言ってたわね」
ポップ
「えらく寂しそう声で、はやく行ってやらねぇとって思っちまったよ」
ピラ
(ゼバロ、もしかしてあなた……ポップはかつてのあなたの、絆の勇者の魔法使いだったロウィじゃないのよ)
ポップ
「いやぁ、おれとしたことが。二度とこんなヘマしねぇよ」
ピラ
「ポップのヘマじゃないかもしれない。ポップが勇者ダイの魔法使いだから、だったかもしれない」
ポップ
「わかってら。おれが勇者の魔法使いとしちゃまだまだ力不足だってさ」
ピラ
「違うわ、そういうことじゃないの。……ごめんなさい」
ポップ
「なんでピンクが謝るんだよ。尻尾の鍵が錆びて調子でも狂ったのかよ」
ピラ
「鍵は錆びてないし調子も狂ってないわよ!」
ポップ
「そりゃよかった。おめぇが殊勝だとこっちの調子が狂うぜ」
ピラ
「まったくポップったら!」
ピラ
(あそこに賢者のレオナが一緒にいなかったのは不幸中の幸いだったのかしら。彼女も賢者ダバと重ねられて、ポップのようにゼバロに呼ばれてしまっていたかもしれない)
ポップ
「なぁ、おれ、操られているときのことあんま覚えてねぇんだけどさ。変なこと言ってないよな(マァムに……余計なこととかよ……)」
ピラ
「いいぇ。ゼバロがポップの口を借りて『仲間の体には攻撃できないだろう』とか。そういうことぐらい、よ……?……!!」
ポップ
「どうしたピンク」
ピラ
「なんでもないわ(ゼバロは思い出していたのかしら。勇者ゼバロが異空神となってしまっても、攻撃できずに封印しようとし続けて体を失った魔法使いロウィのことを)」
ポップ
「なんでもないって顔じゃねぇだろ」
ピラ
「大丈夫よ!」
ポップ
「あんま無理すんなよ。ま、それにしてもゼバロに解放されてよかったぜ。なんで解放されたんだろな。呼ばれて、頭がよくわかんねぇ感じになって、気がついたらあそこにいたからさ。まるで『要らねぇ』ってほうりだされたようだぜ」
ピラ
「ほんとね。ほんとうに解放されてよかったわ」
ピラ
(ポップを呼んでみたけど、やっぱりポップは自分の魔法使いじゃないから要らなくなったのかしら、それともポップを勇者のもとへ返そうとしたのかしら。……ねぇゼバロ、あなたどういうつもりだったの……もう一度あなたとちゃんと話がしたいわ……)
-END-