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    ゆーや

    @yuuuu_ya_417

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    ゆーや

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    タイトルは某小説の一節から。
    深夜の海と狛日です。狛日ウェブオンリー開催おめでとうございます。

    #狛日
    komatsu
    #ss

    寄せては返し。どこまでも深く、どこまでも黒い。どこかの夜の海。
    潮の満ち引き、寄せては返し。そんな言葉が脳裏によぎっていく。
    黒はかつての絶望のような。それともトラウマのような。それか一種の虚無の様な。うっかりしてると底なしの闇に引き摺り込まれそうな、だだっ広い暗闇。

    任務後だった。ボクらは大した傷もなく生還したけど、寒空の下、疲れた身体に、休憩したいとベンチに腰掛けたのはボクが先だった。

    それから、ベンチ裏の暗闇...波の動きを、ボクらはただ黙って、眺めている。缶コーヒーをたまに啜って、また眺めてを繰り返していた。ゆったりと、波の音だけが聞こえて、心地よい。

    「...なあ、狛枝」
    突如。沈黙を破ったのは日向クンだった。
    「怖いよなあ。海って」
    ポツリ、キミは呟く。突然言い出すから、何か続くのだと思い、小さくうなずいて次の言葉を待つ。


    .....
    それ以上続かない言葉を、噤んだままの唇を確認して、あまりにもあっさりした感想にボクは再びきょとんとした。
    海が怖いってこれまで飽きるほど、海ばっかりの場所に、ジャバウォック島に居たくせに?それどころか住んでたくせに。…それはボクも同じだということは、ひとまず置いておいて。
    野暮なこと考えてるのはボクの方だって分かってる。そういうことじゃないよね。けれど、キミの絶望ってそんなものなのって。キミとボクじゃ暗闇の広さが違うんだと感じて。
    さっきまで自分が考えてたことと照らし合わせてしまって、なんだか思い詰めることの落差が激しいなって。キミを遠く感じてしまった。

    何を言ってるんだろう、と。訝しげにしばらく睨め付けていたからか。キミは苦笑して何か言葉を探し出した。

    「ほら、ここの海って綺麗だけどさ、深いだろ?落ちたら出てこれるのかなって」
    「ふぅん。...で、ちょっとそこまで落ちに行く気なの?」
    「まさか。そうじゃなくて…」
    空になったコーヒー缶を回収して、ゴミ箱がないので袋に詰め込む。
    意地悪な言い方をしたのはボクだ。けど、そういう言い方をしなければ、誰かが馬鹿馬鹿しいと気づかせなければ、キミとボクは迷わず暗闇に呑まれてしまうだろう。それも二人揃って。ブレーキがないくせ愚直だから、誤っていようとただ真っ直ぐ歩を進めようとする。とんだ間抜けたちだ。

    だけどボクは生きなきゃいけない。そんな間抜けに絆されてしまったのだから。
    キミといると、真っ黒な夜の海にすら、眩い黄色の朝日が毎日差し込むことを思い出せるんだから、不思議だ。
    今日も今このときもまさに、暗闇だった景色を指さしてキミが笑うから。
    「見ろ。日が昇るぞ。」
    ふにゃりと笑って手を緩く握られて、ボクも握り返した。
    帰ろうか、と呟かれ、応じるように歩きだす。
    ひとりじゃない、ボクは、今確実に、キミと未来の道を進んでる。そう、確信できる。
    ねえ、これが本当の、希望の朝ってやつなのかな。
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    suppa_sugata

    DOODLE都市伝説って子どもの頃ありましたよね!え?ない?世代が分かれますね…
    微ホラー。微なので全然怖くないです。残念。CP要素はほぼない。
    おれの街の都市伝説ねぇ、この噂知ってる?

    周りの女達が小さく話す。全く、女ってのは噂好きだ。

    北高の近くの公園、"出る"らしいよ。
    お、ば、け
    確か、名前はね…



    馬鹿馬鹿しい。大体霊だとか都市伝説だとかは嘘っぱちに決まってる。ルフィやウソップは面白がったり、怖がったりするが、おれは騙されねェ。
    北高近くの古い公園はガキの頃からよく遊びに行っていた公園だから、悪く言われんのも、ちょっとムカつくし。

    今日もおれは件の公園に行った。
    古くて整備もされてない公園だから、そもそも人が来ない。だからあんな噂もたったんだろうな。ただ、人が居なくて静かなところが、おれは好きだった。おれだけの庭みてェで。だが、人が集まらないってことは、不良の溜まり場にもなり得るってことだ。ちょくちょく、行儀の悪い奴らが集まって騒いだりすることがあるらしいんだが、その度に不良達がボコボコにのされている。大概が不良同士のやり合いだが、一部の不良達が酷く怯えきった様子で、"真っ黒の男が"と口を揃えて言うらしい。その男は化け物じみた動きをし、悪さをする奴らを半殺しにするそうだ。そんな出来事からこの公園の悪名は街に轟き、住人の暇潰しの餌になっている。
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