少しずつ 往生堂か……。
場所が何処にあるのか知らない訳ではない。鍾離が時間があれば往生堂の者と話をしてみるといいと言ったのだ。しかし、仙人が突然理由もなく往生堂を訪れるなど、全くどのような話をすれば良いかわからなかった。
胡堂主とは会話こそしたことがあるものの、挨拶以上どうしたら良いか、やはりわからない。最近の鍾離の様子でも聞けば良いのか。しかし、鍾離がそこで働いているのに他人に聞くのもどうかと思うのだ。
来てみるといい。という鍾離の助言の元、ひとまず偵察がてら往生堂の屋根へと降り立った。意外と従業員はいるようだ。話し掛けてみるならば、男性の方が良いだろうかと、そこで働いている人々に目を向ける。
何か困り事でもあるならば助力がてら話しをしても良いとは思うが、今日の往生堂は特に事件もなく淡々と皆責務をこなしているようである。それもそうだ。仙人の助けがいる程の大事件が、鍾離もいるこの場で頻繁に起こるはずもない。
2143