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    #アロルク深夜のワンドロワンライ祭り
    歌で参加させていただきました!ちこく!

    チームBONDはアイドルである。
    元々は歌姫スイのバックダンサーであった彼らが、アイドルとなったのはファンの声からであった。Beastのワイルドなダンスがまた見たい。静止画でいいのでOutwitterの顔をもっと拝ませて欲しい。Ninjaさんのニンジャジャンショーが見たい。Doggyのはにかみ笑顔を愛でさせて欲しい。じわりじわり溜まった声が、彼らをアイドルとして輝かせることとなったのだ。
    4人は、Doggyの見るだけで正気が喪われると囁かれるお絵かき動画や、NinjaのYASUKE出場など活躍を見せはするが、スイのバックダンサーとして踊る以外に4人での活動は少ない。それをファンが残念に思っていたところでそれが発表された。そう、デビューシングルを引っさげてのミニライブである。しかも一曲は歌姫スイ屈指の名曲(と言っても彼女の歌は全部名曲である) Meteoriteのカバー。
    それにファンは喜び、チケット戦線に挑み、勝者のみがそこに立ち—————当日、宇宙を背に背負ったネコチャンのような顔をする羽目になった。
    序盤はなかなか楽しかった。ドレミの歌をOutwitterを歌おうとするたびになぜか止めるNinja。Doggyが会話の流れで口ずさもうとした瞬間にルールは守れと真顔になるBeastなどコミカルな4人の様子に微笑ましい気持ちになれた。問題はその後。Meteoriteの最中に起きた。
    当初の皆の興味は、歌割りであった。女性ヴォーカルを男性グループがどう歌うのかであった。初歌唱でMeteoriteのカバーなどと憤るスイファンも実のところちらほらいたが、なぜかスイミンが受け入れたのでひとまず聞いてみようの姿勢になっていた。そんな彼らの気持ちは今ひとつになる。聞いてないのだが?
    まず舞台に一人立ち、歌い出したのはDoggy。スタンドマイクでしっとりと歌い上げる声は、少し高めで柔らかな声。スイのような圧倒的な声では無いが、滲み入る想いがそこにあった。
    そんなDoggyの声に、彩りを加えるのはBeast。こちらはヘッドセットマイクで、歌うのではなくコンテンポラリーダンスを舞いながら(激しい踊りだというのに足音ひとつさせることなく!)、楽曲を表現させていく。そうして一番が終わり、二番になったところで、声が加わった。甘く優しいそれは、驚くことにBeastのものであった。
    かすれ、低いはずの彼の声は、歌う時には少し高く、甘く響く。顔つきも穏やかに、優しく微笑み、視線の先にはDoggyだけがいた。
    彼らは近づき、BeastがDoggyの後ろに立つ。その手はDoggyの腰に。祈るように手が重なり、絡められる。俺達は何を見せつけられているのだ。
    重なった声は厚みを増し、祈るように、誓うように、希い、決意を込めて響き渡る。歌姫スイとは異なるアプローチで歌われた曲は、なるほどカバーさせる価値はある。だが腰を抱いたり指を絡める必要はあったのだろうか。客席の隅でとある犯罪組織の男が一人消えても、情報量が多すぎて歌声すら頭に入ってこない人々が気付くことはなかった。

    「今日のステージを見た人全員の記憶を消したい」
    「はい、ボス」
    「いやいやいやチェズレイが言ったらシャレに聞こえないから!ね!」
    「え……シャレ、ですか……?」
    「あ、やる気だ。ルーク!止めて!」
    とある男を確保する都合上、時間を掛けて作り上げられた茶番を終えた四人は、オフィスでワイワイと打ち上げ代わりの夕飯を取っていた。
    羞恥を通り越して目の光が無くなったルークを中心に騒がしい三人を眺めながら、アーロンはウイスキーを傾ける。
    "観客の意識をステージに集中させる"
    捜査時間の都合情報が足りず、イマイチ練りきれなかった作戦の雑な方向性。最後のシーンで決まっていたのはそれだけだ。そこで、ルークの腰を抱き指を絡めたのはアーロンのアドリブである。
    そこで、何もルークが拒まなかった。当然のように受け入れて、指を絡めた。それが、うれしい。
    (奇跡はもう待たない)
    歌う都合暗記した歌詞は、しかしその一節に限れば元々おぼえていた。ああ、そうだ、待つ必要などないのだ。
    それ以上の思考は詐欺師の餌食となるだろう。
    思いの代わりに肉を噛み締めて、飲み干した。
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