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    nayutanl

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    nayutanl

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    アーサーのお誕ボイスを聞いて思い付いたことをメモしておいたのを忘れないうちにどうにかしたかったカイアサ
    このあときっと最中ですが、話のとっかかりを忘れると困るのでとりあえずこれで……

    ##中央主従

    バースデーナイトパーティの名残をまとわりつかせたまま自室に戻って、ふたりでベッドに倒れこんだ。夜通し騒いでみたいという願いはさすがに叶わなかったが、それでも多忙な毎日のことを思えば存分に楽しみ、羽目もはずしたように思う。
    時計の針はじきに天井をさして日付が変わる。今日という日が終わろうとするのをふたりでぼんやりと見ていたが、その心の内にはそれぞれ違ったものを抱いていた。

    「カイン、そちらを向いてもいいか」
    「まだ駄目だ」
    「……どうして?」

    アーサーは、カインに後ろから抱き込まれたまま尋ねた。やっとふたりになれたから、うっすらとその気でいたのに。不服というわけではないけれども、なにか思うことがあるのなら聞いてみたかった。それに、駄目だと言うにしてはその声はあまりにも優しく、甘い。抱きしめる腕の力も、眠たくなるほどやわらかい。

    「まだ誕生日だから」

    ややあって、カインが答える。寝入り端にも似た声が紡いだ言葉をなぞりながら、アーサーはその意味について考える。『まだ』。すぐに訊き返したくなってしまうが、そんなことをせずとも、カインは話してくれる。そういう性質だと信じて促すように腕や手を撫でたり握ったりしていると、耳元で吐息がほどけた。

    「今日のあんたは、たくさんのものを抱いてる。だから……まだ待ってる」

    二回目の『まだ』を聞いて腑に落ちて思わず振り向こうとしたアーサーだったが、耐えてカインの腕を両手で握りしめた。カインがこう言っているのに、自分がその思いを尊重しないでどうする。疾りだしそうな衝動を押し止めようとして指先に覚えず力がこもる。

    「……っていうのと、背中を許されてるんだって噛み締めてたいんだ。あんたの誕生日なのに、おかしいよな」
    「いいんだ。おまえのその思いを、私もいましばらく噛み締めるよ。誕生日とは、周囲の人間に感謝する日でもあるのだから……まだ誕生日なら、今日の終わりに私のことを思ってくれたおまえに感謝したい」

    あの時計の針が12を指すまでは、今日のこと、いままでのことを振り返り見つめて、抱いていよう。今日自分が受け取ったたくさんのものを大切に思ってくれたカインの気持ちごと抱きしめながら―。アーサーは満ちみたりて、それでいて惜しむような表情で目を伏せた。




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    Replies from the creator

    nayutanl

    DONE月花Webオンリー展示
    年長者と強絆のゆるめの話です。
    アーサーの疑問から始まる四人のあれやこれやです。アーサーが外見年齢12~13歳くらいのイメージ。自分が絵で見たい話を書いた形かも。
    公式にない設定が一部ありますが、雰囲気でふんわり読んでください。書いた本人も雰囲気で押し切りました。
    9/9追記:追録書きました(https://poipiku.com/3138344/7470500.html)
    和やかな城 ある日の桜雲街、竜の住まう城の一室で青い目をした天狗の子どもが尋ねた。
     
    「スノウ様、ホワイト様。おふたりは大人なのにどうしてこのようなお姿なのですか?」
     
     この城でそのようなことを尋ねるのはこの子―アーサーだけであろう。スノウとホワイトは一度顔を見合わせてからふたりしてにっこり笑った。
     もう随分長く生きている彼らはこの城の主である。今でこそオズに譲るが強い力をもち、気が遠くなるほど昔からずっと竜族の頂点に君臨している。ここ近年は「早く隠居したい」が口癖で、どうにかオズかフィガロを後継者にしようとしているものの、ふたりにその意志はなく聞き流されてばかりだった。そんなものだから、このところはオズが助けて以来この城にホームステイしているアーサーが後継者になってくれたら……とオズに牽制をかけているが、本気ではないと思われているようである。とはいえ、アーサーが後継者に向いているという直感と竜の住まう城の主が天狗でよいかどうか、そしてアーサーの実家である天狗の一族の事情はそれぞれ別の問題なので、スノウもホワイトも食い下がったり押し付けようとしたりといったことはしない。ただ、隙さえあれば隠居したいと思っているだけで。
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    nayutanl

    DONE紫陽花見ながら話してるホワイトとフィガロの話
    ホワイトから見たスノウとフィガロのこととか、フィガロから見たホワイトのこととか
    ほんの少し生きた心地がしないけど、気のせいかと思うくらいのあったかさはある つもり
    あと、文末に話に関するちょっとしたことが書いてあります。
    ハイドランジアの幽霊師匠と植物園を散策―などといえば聞こえはいいが、実のところは連れ回しの刑である。フィガロは曇り空のもと美しく物憂げな色彩の花を咲かせるハイドランジアに目をやりながらこっそりとため息をついた。
    ホワイトがやってきて「ハイドランジアの花が見頃だから出掛けよう」と誘われたのだが、あまり良い予感がしなかったので一度は断ったのだ。断ったのだが、今回の誘いはこちらに選択権がないものだったらしい。有無を言わさず連れてこられてこのとおりである。

    「そなたら、また喧嘩したじゃろう」
    「喧嘩とはいえませんよ、あんなの」

    少し先をいっていたホワイトが戻ってきて、ごく自然に手を繋いできた。こんなことをしなくても今さら逃走なんてしないのにと思ったが、これは心配性なのではなくて物理的な束縛だ。都合の悪い話をするつもりなのであろうことは断った後の出方で何となく察していたが、切り出されるとやはり身構えてしまう。いいことでも悪いことでも、心に叩き込むようなやり方はホワイトの得意とするところなので、分かっていてもわずかに寒気がした。
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