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    tobari_2p

    @tobari_2p 
    文章書きかけ格納庫。今のところズ!!斑こは/BMBモチェ中心

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    tobari_2p

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    斑こはゆるワンドロワンライお題『自己犠牲』『拗ねる』
    珍しくお題混合。窮地の際に庇われて盛大に拗ねるこはくんと、自分が犠牲になることを厭わない三毛縞の話。捏造のテレビ番組の話があります。結成してすぐならともかく春宵以降は、無自覚にお互いの存在が大切になっていたらいいなあ…という願望。タイトルは相変わらずフィーリングだけど、結局お互い様なんだよなあ君たち…という意味を込めて。

    #斑こは
    speckles

    相互作用エゴイスティック『──こはくさん。後は、頼んだ』
    トン、と軽く背中を押されたと思ったら、ひどく優しい男の声が耳に届き。
    ──その瞬間、すべてがスローモーションになった。
    次いで聞こえてきた破裂音にこはくがゆっくりと振り向くと、自分の背中を押した男の胸元に真っ赤な染みが広がっていく。
    『……斑はんっ……!』
    どこか穏やかかつ満足気な表情で後ろに倒れていく男の名前を、自分でも驚くほど悲痛な声で叫ぶ。
    必死に伸ばした手は、虚しく空を切るだけだった。


    ****


    慌ただしい新年度始めも過ぎ行き、徐々に初夏へと移り変わろうとしている晩春の夜。
    都内某所に建つマンションの一室にて、桜河こはくはリビングでソファに凭れかかりながら、仏頂面で目前のテレビを眺めていた。
    薄型の液晶画面にはついこないだ撮影したばかりのアクティブ参加型バラエティー番組『DEAD OR ALIVE!アイドル逃走中!』が流れている。
    この番組は参加者が追手側と逃亡者側に分かれ、制限時間内にひたすら追手から逃げまくり、逃げ切ったら逃亡者の勝ち、逃亡者全員を捕まえれば追手側の勝ちとなる。
    少し前に放映されていた『プリズンブレイカーズ』の亜種的な番組らしい。
    『プリズンブレイカーズ』が好評だったため、類似の番組を作ろう! という試みのもと今春新たに制作されたのだが、『プリズンブレイカーズ』と差別化を図るためルールに幾つか異なる点があった。
    まず決定的なのが追手側、逃亡者側の参加者は、共に公募抽選で視聴者の中から多数選ばれるということ。
    そして追手側、逃亡者側それぞれをゲスト出演するアイドルユニットがリーダーとなって、己の所属する陣営を勝利に導く、というのが大まかな流れである。
    また、追手側にはペイント弾の入った銃が支給されており、それに当たった者は問答無用で追手側の餌食となる。
    『……おおっーーーーと! ここにきて『Double Face』三毛縞斑、相方を庇う形で凶弾に倒れたーーーーっ! まさかの番狂わせ! 逃亡者チーム存亡の危機!』
    まさにちょうどペイント弾が実際に放たれたシーンが映し出され、盛り上がりを煽るための実況を聞きながらこはくはきつく唇を噛んだ。
    撮影時の苦い気持ちがまざまざと甦る。
    「……あの~、こはくさん? そろそろ機嫌を直してほしいんだが……ほらほら、せっかくの生菓子が固くなってしまうぞお!」
    実は先程からずっと隣に座っていた斑が、困り顔で机上にちょこんと置かれた和菓子を勧めてくる。
    「……別に不機嫌になんてなっとらんし。てかぬしはん、とりあえず和菓子与えとけばわしの機嫌が良くなると思てへん? そんな安い男とちゃうで、わし」
    「やっぱり機嫌悪いんじゃないかあ……」
    眉を八の字にして情けない顔でそう溢す斑に、こはくは思いきりそっぽを向いた。
    自分でも我ながら子どもっぽい、しょうもない態度だと思う。
    それでもあの瞬間の得体の知れない不快感、足元から急に地面が崩れていくような不安定な気持ちを思い返すと、しばらく許せそうにない。
    そもそも斑が倒れることにこんなにも動揺すること自体、想定外だった。
    しかも自分を庇って、なんて──
    「なんで……なんでわしのこと、庇ったん」
    気がつけば口から疑問がぽつり、溢れていた。
    別にこはくを庇わなくても、斑なら一人でなんとでも切り抜けられたはずだ。
    ゲームのルール的には、リーダーのうち一人が討ち取られても負けにはならない。
    その点は実際の裏仕事とも変わらない。
    一人が落ちても、もう一人がひたすら前に進み、成し遂げる、ただそれだけ──そのはずなのに。
    「……どうしてかなあ。自分でもよくわからないんだが、体が勝手に動いてしまった」
    それにこはくさんなら、一人でもなんとかしてくれるだろうと思ったからなあ。
    実際、なんとかなったろう? と軽く笑う斑に、再び腹立たしさが募る。
    確かに斑が倒された後、一瞬呆けたこはくだったが即座に態勢を立て直しその場を逃げおおせると、後半に怒涛の猛追を開始した。
    ちなみに一度ペイント弾を食らい脱落した参加者でも、弾を食らってない参加者の助けがあれば一度だけ復活出来る。
    こはくはそのルールを利用し、追手を上手く撒きながら追手陣営のど真ん中に囚われていた斑を解放すると、最終的には斑と二人で敵のリーダーを制圧し大逆転劇を見せたのだ。
    「……あれは半ば捨て鉢でやってみせたのがなんとか成功しただけじゃ。相手方を壊滅出来たんは、半分は斑はんの手があったからやし」
    「そうかなあ? こはくさんなら本気を出せば一人でも打開出来たはずだ。だから俺もちょっと意外だったなあ……危険を侵してまで俺を助けようとするなんて」
    ──本当に危ない仕事のときは絶対やっちゃ駄目だぞお?
    なんて、またしても冗談を言うように軽く笑い飛ばしながら釘を刺してくるものだから、こはくの苛立ちは頂点に達した。
    胸に燻るモヤモヤをどうにかしてぶつけたくて、思いきり勢いよく斑の体に寄り掛かると、そのままぐりぐり頭を斑の肩あたりに押し付ける。
    「わっ、こはくさん!?」
    「……斑はんかて、わしのこと庇ったくせに。わしかて庇われるほど弱ないわ、舐めんな」
    ──ほんまのお勤めんときにやらかしたら、許さへんからな。
    釘を刺し返してやると、大きな手が髪に絡む感触がしたと思ったら、斑の顔が間近に迫りそのままそっとくちづけられた。
    反射的に目を閉じて触れるだけのくちづけを享受するが、なんだか誤魔化された気がして慌てて気を引き締める。
    「な、なんなん、急に……」
    唇が離れたのを見計らい距離を取ろうとするが、お見通しなのか斑は腕の中に閉じ込めたこはくを離さず、抱き込んだままソファに押し倒した。
    単なるじゃれあいなのか、はたまたそういうスイッチが入ってしまったのか。
    こはくがどぎまぎしていると、覆い被さっていた斑が耳元で囁く。
    「──君が、倒れていく姿を見たくなかった」
    斑の思わぬ告白に、驚きに目を見張る。
    どんな顔をしているのか見てみたいのに、力を込めて抱き締められているために叶わない。
    こういうときの斑は頑なだ。絶対に譲らない。
    結局再びくちづけられ、今度はその先を思わせる深さのそれに勝手に体が震え出す。
    なし崩し感のある触れ合いだったが、こはくは斑の太い首にそろりと腕を回し受け入れた。

    暗い蟠りは触れられているうちに、吐き出された熱い呼気と共にやがて解けていった。

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    tobari_2p

    DONEそうたさんの斑こはアステカ文明生贄ぱろ漫画の三次創作文。
    遅ればせながら、お誕生日おめでとうございました!漫画を読んだとき一人燃え上がって、衝動のまま勝手に書いた文に快く公開許可くださったそうたさん及び原案のお二方に感謝🙏

    ・こはく視点
    ・タイトルの通り、恋愛感情の色が強い二人
    ・一部台詞や展開は漫画を抜粋(許可戴いてます)

    以上が許せる方のみお読みください!
    七日間恋話一生に一度、最初で最後の恋をした。

    こはくが新たな贄として神を祀る神殿に引き立てられたのは、儀式の数週間前のことだった。
    この国の神は民を庇護する代わりに、常に新鮮な若い血を求める強力な荒神である。
    よって、生贄は順繰りに領地の村々から選定される。
    そうして此度はこはくの村の番が回ってきた、というわけだ。
    両親や姉たちはこはくの選定を密かに嘆いたが、こはくは自身が選ばれたことが誇らしかった。
    贄の選定を受けた一族は、その後の暮らしを一生国から保証される。
    自分の命で家族全員の身代が贖えるなら、この身を捧げても惜しくはない。
    そう割り切って、こはくは迎えの神官に連れられ故郷の村を後にした。
    輿に乗せられ村から村を経由し、程なくして国の中心である王都へと辿り着くと、往来には贄としてのこはくを一目見ようと大勢の人間が集まっていた。これから神殿入りするこはくを盛大に讃え、歓声を上げる者もいる。
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    tobari_2p

    DONE斑こはゆるワンドロワンライお題『自己犠牲』『拗ねる』
    珍しくお題混合。窮地の際に庇われて盛大に拗ねるこはくんと、自分が犠牲になることを厭わない三毛縞の話。捏造のテレビ番組の話があります。結成してすぐならともかく春宵以降は、無自覚にお互いの存在が大切になっていたらいいなあ…という願望。タイトルは相変わらずフィーリングだけど、結局お互い様なんだよなあ君たち…という意味を込めて。
    相互作用エゴイスティック『──こはくさん。後は、頼んだ』
    トン、と軽く背中を押されたと思ったら、ひどく優しい男の声が耳に届き。
    ──その瞬間、すべてがスローモーションになった。
    次いで聞こえてきた破裂音にこはくがゆっくりと振り向くと、自分の背中を押した男の胸元に真っ赤な染みが広がっていく。
    『……斑はんっ……!』
    どこか穏やかかつ満足気な表情で後ろに倒れていく男の名前を、自分でも驚くほど悲痛な声で叫ぶ。
    必死に伸ばした手は、虚しく空を切るだけだった。


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    慌ただしい新年度始めも過ぎ行き、徐々に初夏へと移り変わろうとしている晩春の夜。
    都内某所に建つマンションの一室にて、桜河こはくはリビングでソファに凭れかかりながら、仏頂面で目前のテレビを眺めていた。
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    tobari_2p

    DONE斑こはゆるワンドロワンライお題『真ん中バースデー』バースデー当日ぶっちぎり大遅刻だけど、ワンドロお題にあったので…許されたい…。真ん中バースデーって概念を知らないこはくがたまたまらぴに教えられてなんかそわそわしちゃう話。斑こはどっちも若干キャラ崩壊してるからご注意ください。ちなみに桜の日ネタも絡めてあります。斑こはの真ん中バースデーが桜の日って出来すぎてると思うんだよね…デキてる…?そう……。
    今日が特別な日だと知ったのは、まったくの偶然だった。
    『ねえねえ、こはくっち、知ってた?』
    今日って三毛縞先輩とこはくっちの真ん中バースデーなんだよォ!
    たまたま空き時間にシナモンでばったり顔を合わせた藍良から、無邪気にそんなことを言われこはくは首を傾げた。
    こはくにはそもそも『真ん中バースデー』なる単語すら初耳である。
    『バースデー』という単語が含まれることから誕生日に関係する何か、という推察はさすがに出来たのだが──
    『わしの誕生日はとっくに過ぎたし、斑はんの誕生日はもうちょい先やけど……?』
    『うん、だからねェ、二人の誕生日のちょうど中間の日が真ん中バースデーなんだよォ!』
    ファンの子がSNSで取り上げているのを見たのだ、と藍良は実際にスマホの画面を見せて力説する。
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    tobari_2p

    DONEモクチェズ版ワンライお題「怪談」
    もはやワンライじゃねえんですけど…っていう恒例の遅刻魔ぶり…。
    ゲストにリモートなアとル。諸君はミカグラ後も定期的にオンライン会合してるとよいなっていう願望を詰めました。チェが名前しか出てこないけどモチェです、と言い張る。
    それにしてもお題怪談なのにぜんぜん怖くないな!
    憑いているのは……?里を出て二十数年になるが、外界の技術の進歩は目覚ましいものがある。
    出奔した先で便利な道具に触れるたび、モクマは目を瞠ったものだ。
    そして今もその便利な道具に助けられ、大切な仲間と定期的に連絡を取り合えている。
    『……で、ですね、署内の人間の間で噂になっているんですけど、遅くまで残業していると必ずどこかから呻き声が聞こえてくるんです……僕もこないだ残業してたときに聞いてしまって……』
    分割されたPC画面の向こう側でルーク・ウィリアムズが落とし気味の声で囁く。
    モクマは神妙な面持ちのルークにどう返したものか、といつものへらりとした笑みを崩さぬまま考える。
    『……なんだそれ。寝ぼけてんのか』
    と、モクマが返答する前に、分割されたもう一方の画面に表示されたアーロンが呆れた様子を隠しもせず言い放つ。
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    💤💤💤

    MAIKINGヴ愛後のモクチェズ。モ母を捏造してるよ。モがぐるぐる要らないことを考えたものの開き直る話。
    間に合えば加筆の上で忍恋2の日にパス付きでR18部分を加えて展示します。
    【モクチェズ】その辺の犬にでも食わせてやる 何度か画面に指を走らせて、写真を数枚ずつスライドする。どんな基準で選んでるのか聞いてないが、選りすぐりです、と(いつの間にか傘下に加わっていた)"社員"に告げられた通り、確かにどの子も別嬪さんだ。
    (…………うーん、)
    けど残念ながら全くピンと来ない。これだけタイプの違う美女を並べられてたら1人2人くらい気になってもいいはずなんだが。
    (…………やっぱ違うよなぁ)
    俺はタブレットを置いてため息をつく。


     チェズレイを連れて母親に会いに行ったのはつい数日前のことだった。事前に連絡を入れてたものの、それこそ数十年ぶりに会う息子が目も覚めるような美人さんを連れて帰ったもんだから驚かれて、俺の近況は早々に寧ろチェズレイの方が質問攻めになっていた。やれおいくつだの、お生まれはどちらだの——下手すりゃあの訪問中、母とよく喋ったのはチェズレイの方だったかもしれない。それで、数日を(一秒たりとも暮らしてない)実家で過ごした後、出発する俺達に向かって名残惜しそうにしていた母はこう言った——『次に来る時は家族が増えてるかもしれないわね』と。
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