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    beniseiun

    @beniseiun

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    beniseiun

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    オメガバースパロの翠千。
    アルファ高峯×ベータ守沢です。
    書きたいとこだけ書いたので文章ちゃんとしてない上中途半端に終わります。

    #翠千
    cuiqian

    しれっと同居してる翠千(全年齢)元々生きる世界が違かった。
    最初から、俺達は交わるはずがなかったのだ。
    (俺はベータで、高峯はアルファ……)
    ベータである自分が、アルファである彼の傍に居る事自体が間違っているのだと。
    その考えに行き着くまでに、随分時間がかかったものだ。
    「……ははっ」
    息を吐くように笑って、自嘲する。
    もう、どうしようもないことなのに。
    それでもまだ、諦めきれない自分がいるから嫌になる。
    (あぁ、かみさま)
    この世界に運命というものが本当にあるなら、どうか教えてほしい。もし、そんなものがあるとしたら、どうして俺達を引き裂いたのか。どうして、交われない道に放り込んだのか。
    神様なんて信じていないけど、もしも神がいるとするならば、きっとそいつは酷く意地悪な奴に違いない。


    「……守沢先輩?」
    集中していた所で突然聞こえた声に、思わずびくりと肩を震わせた。振り返れば、そこに居たのは2つのマグカップを手に持った高峯だった。不思議そうに首を傾げている彼に、「すまん、ちょっとぼーっとしていた!」と慌てて笑顔を取り繕う。
    同居を始めてから早半年。すっかり見慣れた、いつも通りの光景だ。
    「はい、守沢先輩はハーブティですよね? こっちがあんたのです」
    「ありがとう!いい香りだな……☆」
    差し出された赤いマグカップを受け取ると、ふわりと漂うカモミールの甘い匂いに鼻腔がくすぐられる。一口飲めば、優しい味がじんわりと身体中に染み渡った。
    高峯は緑色のマグカップを持って、俺の隣へと腰かける。そして、ふうふうと冷ましながらゆっくりと口に含んだ。
    「美味しい……ん、あげませんよ。これ珈琲ですし……」
    「取らないぞ!?俺にとっては苦くて飲めないからな!」
    間髪入れずに突っ込めば、彼はくすくすとおかしそうに笑った。それを見てほっとしている自分に気が付いて、なんだか少し情けなくなる。
    「今日はまた随分静かですね。何かあったんですか?」
    心配そうに見つめる翠色の瞳。綺麗な色だと思った。優しくて穏やかで、それでいて芯のある強さを感じさせるような。
    こんなにも美しいものを独り占めしているという優越感に浸りながら、同時にちくりと胸の奥が痛む。
    (……ごめんな、高峯)
    お前は何も悪くないのに。ただ純粋に俺を心配してくれているというのに。その優しさに触れる度に、罪悪感に押し潰されそうになるんだ。
    「……なんでもないぞ!いや、特撮番組のオーディションで受かってな。それで緊張しているのかもしれない!」
    へらっと誤魔化すように笑いながら先程まで読んでいた台本を見せると、高峯はそれを見て納得したように「あぁ……」と呟いた。
    「ずっとやりたいって言ってましたもんね。おめでとうございます、頑張ってください」
    柔らかく微笑んで告げられた言葉に、「ありがとう」と返す。これは本心からだった。
    夢に向かって進むのを応援してくれると、更に頑張ろうという気持ちになれる。それは、きっと良い事なのだと思う。だけど……。
    「…………」
    不意に訪れた沈黙の中、時計の音だけが響く。カチッ、カチッ、と規則正しく時を刻む音を聞きながら、俺はぼんやりと考えた。
    あと何回、こうして一緒に過ごす事ができるだろうかと。


    俺達は付き合っていない。
    俺が先に卒業して一人暮らしを始めた2年後、良い物件が見つからず困っていた高峯にルームシェアを提案をしたのだ。お互いの仕事の都合ですれ違う日もあるけれど、それなりに上手くやってきた方だと思う。喧嘩らしい喧嘩もなく、どちらかと言えば穏やかな関係を築いてきた。
    恋人じゃない。でも、友達でもない。
    ただの先輩後輩と呼ぶには近すぎる距離感。そんな曖昧な関係を続けてきた結果がこれだ。
    高峯からは浮ついた噂も、好きな人の話も聞いたことがない。つまりはそういうことだ。
    俺がベータの癖に、高峯というアルファの隣に居座っているから、彼は恋をする事すら許されない。そう思うと、心臓を鷲掴みにされたかのような痛みに襲われた。
    このままではいけない。
    高峯は極普通に、運命のオメガと結ばれ、家庭を築き、ずっと幸せに暮らさなければならないのだから。例えそこに守沢千秋がいたとしても、頼れる先輩とか、そんな脇役として隅っこにいるだけでいい。
    手放さなければ。高峯の為にも、俺の為にも。
    この特撮番組の幕が下りたら、俺はこの居場所から去るべきだ。


    ハーブティを飲み終えると、「ご馳走様!」と元気よく立ち上がる。そして、そのまま玄関へと向かうと、靴を履いてドアノブに手をかけた。
    「守沢先輩?」
    「ちょっと散歩に行ってくる!」
    怪しげな目を向ける高峯に背を向けたまま、「夕飯までには帰るから!」と言い残し、逃げるように部屋を出る。後ろ手で閉めた扉に寄りかかると、大きな溜息を吐いた。
    「……どうしたらいいんだろな、本当に」
    自問自答したところで答えが出るはずもない。そもそも、この問いに正解などあるのかさえわからない。
    高峯は優しい男だ。だから、きっと俺が好きだと伝えれば受け入れてくれるだろう。その先は?ベータである俺と、輝かしい未来を持つアルファの彼が結ばれる事で得られるメリットは何なのか。世間は祝福してくれるか。
    ぐるぐると頭の中で渦巻く思考を振り払うかのように首を振ると、俺は重い足取りで歩き出した。
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