小鳥の君(これは……)
近頃勢力を増していた厄介な魔神をようやく沈めることができた。あの魔神の傍には強靭な夜叉がいると聞いていたが、何故かあの場にはいなかった。それも勝利の理由の一つかもしれない。他の者には休むよう伝え奴の拠点跡地に赴き、危険因子が他にもいないか、捕らわれている凡人がいないかなどモラクスは調べて回っていた。
しかし、檻の中に入れられていた凡人は、無惨にも食い散らかされた跡があった。助けられなかったことを悔み、持ってきていた籠から花を取り出し手向ける。生きている者はいないように思った。もう辺りは花だらけである。ふわりと風に乗って魂を送るかのように花びらが飛んでいった。
そんな時だ。手のひらより少し大きい程の小さな檻に、翡翠色の何かが閉じ込められているのを発見した。小型のスライムかとも思ったが、拾いあげて良く見ると、それはヤマガラ程の小さな鳥だった。
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