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    sayuta38

    鍾魈短文格納庫

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    しょしょ短文、ラズベリー取りゲーム

    #鍾魈
    Zhongxiao

    ラズベリー取りゲーム「ラズベリー取りゲームをやりたい人~!」
    「……鍾離様は……このゲームの内容をご存知でしょうか」
     考えもせずすぐに質問するのはいけないとは思っているものの、聞かずにはいられなかった。こそっと耳打ちするように背を伸ばすと、鍾離は身体を傾け、魈の言葉に耳を傾けてくれていた。
    「実は俺もよくは知らない。こういったものは実際やってみる方が早いかもしれないな。手をあげてみるか」
    「な、あ、はい」
     岩王帝君でも知らないゲームがあるのかと、魈は驚いてしまった。しずしず「やらせてもらおうか」と言いながら手をあげる鍾離に合わせ、魈も手をあげた。
     テーブルの上にはラズベリーが置いてあり、テーブルの回りには小さなハムスターが立っている。「よ~い……」というアルパカの号令と共に、ハムスターはぐるぐるとテーブルの周りをスキップしだしたので、ハムスターの間に入り、鍾離とテーブルの周りを一緒になって歩いてみた。
     アルパカが「取る!」と言った時にラズベリーを取ると勝ちのようだ。ラズベリーを見つめながら小さな歩幅で歩いていると「取る!」と突然アルパカが言った。瞬時にラズベリーを鷲掴むと、ハムスター達に「早い!」と言われ、なんとも言えない気持ちになってしまった。反射で取ったものの、ハムスターに比べると随分早く取ってしまった。……勿論鍾離よりも早くに、だ。
    「はは、さすがは魈だ」
     ハムスターと一緒になり、鍾離は魈に賞賛の言葉を述べ拍手をしている。ハムスター達もラズベリーを取ってはいたが、一匹は取れなかったようで少し気落ちした表情をしていた。そして、鍾離もラズベリーを手にしていなかった。
    「し、鍾離様!?」
    「ん? どうした?」
     鍾離の瞬発力であれば、ハムスターより早くにラズベリーを取れていただろう。敢えてラズベリーを取らないで見ていたことに魈は気づいてしまった。魈、或いはハムスターに花を持たせたのだ。そう思うと、いち早くラズベリーを取ってしまった事が恥ずかしくなってきてしまった。
    「今度は難易度が上がるぞ!」
     アルパカがそう言うと、ラズベリーは消え、ラズベリーとオレンジがテーブルに現れた。
    「ラズベリーを取った人のみ、報酬を獲得できる」
     アルパカの説明と共に、ハムスター達は再度テーブルの周りを歩き出した。ラズベリーはテーブルの上に二つしかない。鍾離も歩き出したので、魈もラズベリーを見つめながら歩く。アルパカがやけに息を溜めながら「よ~い……」と言っている。先程よりも魈は緊張していた。
     出来ることならば次は鍾離に取ってもらいたいが、また鍾離はこのゲームを見ているだけなのだろうか。その場合は魈が取らなければ、そもそもこの勝負に勝つことができないので魈がラズベリーを取る方が良いだろう。
     鍾離の顔とラズベリーを交互に見る。鍾離の表情からは何一つ次の行動が見えない。そればかりか、鍾離は口角をあげ笑みを返してきた。鍾離の真意が笑みからはわからない。どうすべきか、魈はまだ決められないでいる。
     アルパカが「ラズベリーを取る!」と言うまで、あと数秒。
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    sayuta38

    DONE鍾魈短文「恋とは、どのような」
    自信満々に告白しにいったら魈くんに振られる話です。
    恋とは、どのような 俺には、絶対的自信があった。
     封印した魔神は数しれず、どれだけの民を救ったかもわからない。魔神でありながら民の信用を得、契約を以て契約の通りに責務をこなす。傲慢だと言われても、俺の所業は書物に多く残されており、そのほとんどが事実だ。今思い返すと、若かりし頃の勇ましい記録も残っており、燃やしてしまいたいと思ったこともあるが、まぁいいだろう。
     それはさておき。俺は最近気づいてしまったのだ。魈のことを好いているのだと。
     神であった頃も気には掛けていたものの、それ以上の気持ちはなかったように思う。凡人としてゆったり生活していると、なぜだかよく足が望舒旅館へ向くようになったのだ。魈がいない時もあるが、見つけると自分の心が嬉しく思っているのを感じる。何か話がしたくて、要点もない話をして引き止めてしまうこともあった。魈は困惑の表情をしていたものの、決して嫌な顔はしていなかった。そればかりか、俺が声を掛けるといつも少し慌てだして、俺が訪れた真意をいつも探ろうと必死になっている。可愛らしいことこの上ない。魈は中々俺に近寄っては来ないが、俺から行くと少しだけ嬉しそうな顔をする。俺にはわかる。魈も俺のことを好いているのだと。思い返せば思い当たる節がいくつもあった。間違いないと思っていた。
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