「それでここの行で……ああ、ここがnullになっているのがおかしいな。直すから少し待ってくれ、了見」
「……藤木遊作」
「了見か。今、急ぎの修正をしているんだ。すまないが後にしてくれるか」
了見本人を目の前に、了見と名前を付けたぬいぐるみにプログラムの説明をする遊作。
「──よし。次のセクションだが」
ぬいに続きの説明をしようとしたところで、不機嫌そうな了見がぬいをさっと遊作の手元から取り上げて、棚に置いてある遊作ぬいの隣に置いてしまう。
あっけにとられる遊作をよそに当然の顔でドカッと自分が遊作の隣に座って「説明を続けろ」とか偉そうに言いだす。
「大元の原因はそこだ。単純な見落としだな」
「おまえ……」
「黙って修正しろ。急ぎなのだろう?」
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