吸血鬼紅千の短編2編詰め。『現代軸』吸血鬼紅郎×人間チアキ
○ほぼ不死の吸血鬼紅郎と人間チアキで同棲してる。
〇前世で恋人だった吸血鬼紅郎と人間チアキ
○千秋に前世の記憶は無い。
①
紫煙と戯れ
(紅の喫煙描写があります。)
薄闇の中で、橙が灯った。
微かに紙の燃える音を添えてそれは光を増す。それから弱まり光はゆっくり物陰に隠れてしまった。燻した木屑の匂いが濃ゆくなりその発生源である彼の唇に触れる。
自分の寝起きの温い指先と彼の冷たい唇の温度差に眠気が霧散していく。ふにと感触を堪能すれば笑ったのか吐息が指先から感じられた。
「これじゃあ続きは吸えないな」
そう笑ってパクリと指を咥えられてしまった。
冷たい唇の咥内は温かく、その中でも一際熱くて柔いそれを興味本位で奥に押し込めばグェと噦いた声がして今度は俺が笑ってしまった。
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