Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    shiraseee

    @shiraseee_0108_

    気ままに更新しています。
    サイレント更新&修正は常習。
    凪茨ばかりですが、たまに他CPなども。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 🍫 👏 ✨
    POIPOI 58

    shiraseee

    ☆quiet follow

    凪砂+幼茨 CP要素はありません
    ふたりが家族(血縁関係はなし)という設定の、ほのぼの日常のおはなし。
    茨が凪砂を呼び捨て。
    シリーズになるかもなおはなしですが、設定はまだふんわりなので、あたたかい目で見てくださると幸いです。

    ##凪砂さんと茨くん

    凪砂さんと茨くん────────

    少年の朝は早い。
    日の出とともに起床し、まだ眠たい目をこすって「めんどくさいなぁ」と思いながらも、身支度を整える。
    朝は少し冷えるようになってきた秋のはじめ。
    冷水で顔を洗うと、しゃっきり目が覚めた。
    暗紅の髪を後ろで一つに結び、黒のシンプルなエプロンを身につければ少年はキッチンに立つ。
    これから、ちょっとした戦場で彼は戦う。
    気合いを入れて腕捲りをした少年は、まずはお米を研ぐのだった。


    ──朝6時。
    ダイニングのテーブルには、2人分。
    和食がメインの朝食が並んでいた。
    そう、少年は1人で生活しているわけではなく、彼の保護者───書面上ではそうだけど、実際面倒見てるのは、俺のほうだよなあ───と暮らしている。
    朝が少し苦手なその人を起こすまでが、少年の1日の中で特に苦労することだった。

    「朝だぞ、凪砂!起きろ〜!」

    2人で眠る寝室に向かい、無駄に大きなベッドのわりと端の方で、布団に包まるふくらみ。
    布団を一気に剥ぎ取り、少年は保護者…凪砂の耳元で声を張り上げる。
    これだけそばで叫んでも、その整った眉一つ動かない。
    が、寒さから布団を探してもぞもぞ動き出した。
    剥ぎ取られた布団を中々掴めない手は、空を切っている。

    「おーきーろ!」

    その様子がおかしくて、少年は毎朝ついつい笑ってしまうのだが、起こさねばせっかく用意した朝食が冷めてしまう。
    やわらかな銀の髪が乱れるのも気にせず、その逞しい肩を遠慮なく叩く。
    そしてやっと、ゆっくりと長い睫毛に縁取られた切れ長の瞼が開く。
    何度か瞬かせ、凪砂が少年を視界に捉えた。

    「───……おはよう、いばら…」
    「はい、おはよう!もう朝ご飯出来てんだから、早く起きてよね」
    「……うん」

    いばら。茨。
    そう呼ばれた少年は、ハキハキと凪砂へ指示をしてから寝室を出て行く。
    その背を見送り、乱れた髪を手櫛で適当に梳きながら凪砂は欠伸を一つして、まだ重たい体を起こすのだった。



    「いただきます」
    「…いただきます」

    身支度を済ませた凪砂もダイニングへやってきて、2人で食卓を囲む。
    同時に手を合わせ、食前の挨拶。
    今日の朝食は白米にお味噌汁と、焼き鮭と、少しいびつなたまご焼き。
    それにスーパーで買ってきた出来合いの惣菜を、何品か皿に盛りつけたものが並んでいた。
    凪砂はまず、お味噌汁を一口啜る。

    「…ん、お味噌汁……さつまいも?入ってる。甘くて美味しいね」

    ごろりと転がる野菜。口に含むと甘みの広がるそれは、さつまいも。
    お味噌汁の塩気との相性は、中々に良い。

    「この前いっぱい貰ったから、入れてみた。うん、美味しくできてる」

    茨も食べてみれば、満足そうに何度か頷いた。

    「…そういえば、他にも色んな野菜を貰ってたっけ」
    「二人しか居ないんだし、こんなに消費出来ないって言ってんのにな〜。弓弦のやつ、あれこれ持たせるから何作るか考えるのも一苦労だよ」

    キッチンに、段ボールいっぱいに入った彩豊かな野菜たちがいるのを思い出す。
    野菜は購入したものではなく、茨の通う施設で、何かと茨を気に掛けてくれる人からの貰い物だった。
    その人物に茨は溜息混じりの愚痴をこぼすが、凪砂にはそれが嬉しそうに話しているように見える。
    つい綻ぶ口元。茨が楽しいと、凪砂もつられて笑みがこぼれてしまう。

    「…たくさん食べて、大きくなろう」
    「俺は日々成長してるっての!凪砂の身長なんて、すぐ抜かしてやるんだからな!」
    「…うん、楽しみにしてる。茨の成長を、そばで見守らせてね」

    目の前で胸を張る、まだまだ小さい少年に。
    凪砂は気付かれないよう、愛情たっぷりの目で見遣る。
    この小さく愛おしい存在を、凪砂はなによりも愛していた。
    そしてあたたかなこの時を、心から守りたいとも。

    すこし普通とは違う、2人の関係。
    けれど、確かにある絆。


    「…ねぇ、夜はオムライスが食べたいな」
    「ええ〜!?野菜全然使えないじゃん!ダメ!」
    「…刻んでたくさん入れたらいいんじゃないの?」
    「それもアリだけど、小さく刻むの、まだ苦手なんだよな〜…。まあ、俺の指が2本くらいなくなってもいいなら、やるよ?」
    「…それは駄目だね。茨のかわいい指が無くなるのは駄目。他のメニューを考えよう」
    「かわいい指って何だよ!……ったく、ほんっと過保護」
    「…何か言った?」
    「なんでもな〜い」

    これは、血は繋がっていないけど、家族として暮らす青年と少年の、とある日常のおはなし───……


    つづく…?
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💗💗🍠👏👏👏☺💕
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    shiraseee

    DONE凪砂くんが眠る茨を見つめて、かわいいなぁ、好きだなぁ、と思うおはなし。同棲している凪茨。
    茨は眠ってるだけになってしまいました。

    新年書き始めとなりました。とんでもなくふわふわとした内容ですけども…こういう凪茨が好きなので、今年もこんな感じのを書いていきます。
    暇つぶしにでもなりますと幸いです。
    拙作ばかりですが、たくさん書いていきたい!どうぞ今年もよろしくお願いします。
    しあわせの風景────────

    薄ら開いては閉じを繰り返す瞼に、注ぐあたたかな陽射し。まだ少し重たいけれど、微睡みから目覚めていく意識が次に捉えた柔らかな匂いに幸福感すら覚え、覚醒していく。
    日向より私に近しい匂いは、すぐそこにある。
    すん、と小さく鼻を鳴らして吸いこんだ。再び眠りに誘われてしまいそうになる安堵感と、心地良さ。この匂いにほだされ、自然と求めてしまう。
    随分そばにあったぬくもりも抱き締め漸く開いた私の視界は、見慣れた暗紅色が埋め尽くしている。
    「……茨…」
    「……………」
    「……?」
    ───珍しい。ぴくりとも反応がない。
    普段なら名前を呼べば起き上がるとまではいかずとも、私の声を聞けば、ふと長いまつ毛を持ち上げ茨の美しい青に私を映してくれることが常だった。その時の、茨の世界にまず私が在れるひとときに期待して暫く様子を見ていても、瞼は開くどころか、かたく閉ざされたまま。どうやら茨は、無防備にも私の腕の中で熟睡している。
    2000

    recommended works