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    ゆめの

    @x_yumeno_x

    浮唯中心で唯受を書いています。

    カップリングごとにタグを分けていますので、参考にしてください。

    少しでも楽しんでいただければ幸いです。
    よろしくお願いします🙇‍♀️⤵️

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    ゆめの

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    クリスマスと大晦日の間に逢う浮葉と唯の話。
    ちょっとしっとりした話かと思います。

    ##浮唯
    ##スタオケ
    ##レゾハ
    ##レゾハ浮唯

    クリスマスと年越しの狭間で12月26日午後8時。
    すっかりクリスマスの余韻もなくなり、年越しに向けて街が準備する中、御門浮葉は密かにひとりの来客を心待ちにしていた。
    インターフォンが鳴るのを今か今かと楽しみにする自分がいると数年前の自分に伝えたらどのような反応を示すのだろう。それくらい、あの秋の京都での彼女との出会いは鮮やかな世界への扉を開いた。
    テーブルの上に乗っているのはささやかながらオードブル。近くの商業施設で吟味したものであり、少しでも彼女の心を弾ませれば嬉しく思う。
    すると、
    ピンポーン。
    インターフォンが来客を告げる。モニターに映っているのは浮葉が来訪を心待ちにしている相手ー朝日奈唯であった。
    頬が緩むのを感じながらロックを解除してから数分後、彼女は目の前に現れる。
    「遅くなりましたが、メリークリスマス、浮葉さん」
    外の空気の冷たさに触れていたからだろうか頬は紅く染まっている。そして、瞳がいつにもまして輝いている様子は純粋に可愛いと思う。
    笑みとともに差し出してくるのは小さな箱。
    横浜の名の知れた洋菓子店のロゴがあることから、中身は察せられる。
    浮葉がそっと箱を受け取るとわずかながら重力が伝わってくる。そして、一瞬触れた手が冷たいのが印象的だった。
    リビングに案内し、彼女からコートを受け取る。何度も行われてきたため、お互いすっかり慣れた仕草である。
    「申し訳ございません。イブの日もクリスマスも一緒に過ごすことができなくて」
    そう言うと唯は頭を横に振る。
    「浮葉さんのお仕事が忙しいことは理解していますから」
    そう言いながら見せた笑みは決して無理している様子はなく、たとえクリスマス当日でなくても自分と過ごせることを喜んでいることが察せられた。
    「わー、素敵……!」
    ダイニングに案内すると、唯は感嘆の声をあげる。
    その様子を見て、浮葉はそっと安堵の溜め息を吐く。
    洒落たレストランに連れていくことができたらどんなに幸せかと考えていたが、自分の立場を考え、そのことは諦めた。
    ただ自分がこうして用意したもので目を輝かせる彼女を見ていると、ふたりだけの空間で同じ時を刻むのも悪くはないと思う。
    「明日の御予定は……?」
    向かいに座り、乾杯を済ませ、おもむろに尋ねる。
    目の前の彼女はまだアルコールが飲むことが許される年齢ではないため、グラスに注がれているのはノンアルコール。ただグラスの中で泡が沸き立つ様子はアルコールの有無問わず見ていて楽しい。
    「スタオケの練習はお休みで、夜にジルベスターコンサートの打ち合わせに行きます」
    つまり、夕方までは彼女を独占できる。
    予定を尋ねたときから知っていることであったが、いざ彼女の口からこうして聞くと嬉しい気持ちが沸き上がるのを感じる。
    「では明日あなたに似合う手袋を探しましょうか?」
    先ほど唯の手が冷たいことが気になった。
    ヴァイオリンを弾く彼女のことだから既に持っていて、たまたま今日は着けていなかっただけかもしれないが、もうひとつくらい用意しても邪魔にはならないだろう。
    「いいのですか?」
    「ええ」
    人目を気にしないといけない立場であるが、今の時期はコートと帽子で身を隠すことくらい容易だろう。
    明日の予定が決まったからだろうか。目の前の唯はニコニコ笑みを浮かべながらサラダを取り分ける。
    自分の言葉ひとつでここまで喜ぶ彼女のことを可愛いと思いつつ、クリスマス前に交わしたマインのやり取りを思い出す。
    スタオケはすっかり知名度も高くなり、クリスマスなどのイベントともなればかなり早い時期から演奏の依頼が入ってくるようになったと話していた。
    年末や新年もポツポツとではあるがコンサートの予定が入っているため、今日こうして会えたのも奇跡といって差し支えないだろう。
    そして思う。今でこそ自分の方が忙しいが、おそらく数年も経てば彼女の方が多忙の身となり、彼女と予定を合わせるのはますます難しくなるであろうことに。
    「浮葉さん、どうしたのですか? 食べないのですか?」
    唯に話しかけられ、浮葉は思考にとらえられ、フォークが動いていないことに気がつく。
    「失礼しました。あなたとどうしたら幸せになれるか考えておりまして」
    唯は一瞬きょとんとする。
    そして、真っ直ぐ浮葉の目を見つめて呟く。
    「ありがとうございます」と。
    唯が自分の真意にどこまで気がついているか浮葉にはわからない。
    ただ、自分の言動ひとつで表情がコロコロ変わる彼女を見て愛おしいと思う。
    今は考えるすら憚れる未来。
    だけど少しずつ自分を取り巻く状況は変化してきている。もし来年の今頃、彼女が同じ気持ちでいればそのときは未来を約束する言葉を告げよう。そう浮葉は自分に誓う。

    クリスマスと年越しの狭間。
    師走のせわしさから一瞬だけ隔離されたゆっくりした時間の中、浮葉は唯と過ごしていた。
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    ゆめの

    PROGRESSフェリクスオンリー合わせのフェリアン小説です。

    テーマは「アンジュに告白して振られたフェリクスと振ってしまったアンジュのその後」です。
    フェリクスの、そしてふたりの行方をお楽しみ(?)ください。

    ネタは主催のまるのさまに提供していただきました。お忙しい中、ありがとうございます😌
    ※ゲーム内よりもフェリクス様が女々しいので、ご注意ください
    ※後日微修正する可能性があります
    天使が振り向いたその日「フェリクス、私たちはこれ以上仲を深めてはいけないと思うの。ごめんなさい」

    女王試験が始まり50日目。
    自分たちの仲はすっかり深まり、そしてそれはこれからも変わらない。
    そう信じて想いを告げた矢先にアンジュから向けられた言葉。それをフェリクスは信じられない想いで聴いていた。

    「なぜ……」

    なんとか声を振り絞りそれだけを聞くが、目の前のアンジュは悲しそうな顔をする。

    「言えない。でも、私たちは結ばれてはいけないと思うの」
    「そう、わかったよ。君の気持ちは」

    何とかそれだけを伝えてフェリクスは森の湖から離れることにする。
    なんとか歩を進めるものの、本当は今すぐにでもうずくまりたい。だけど、それは美しくない。そう思い、自分を奮い立たせて館へと向かう。
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