クリスマスと年越しの狭間で12月26日午後8時。
すっかりクリスマスの余韻もなくなり、年越しに向けて街が準備する中、御門浮葉は密かにひとりの来客を心待ちにしていた。
インターフォンが鳴るのを今か今かと楽しみにする自分がいると数年前の自分に伝えたらどのような反応を示すのだろう。それくらい、あの秋の京都での彼女との出会いは鮮やかな世界への扉を開いた。
テーブルの上に乗っているのはささやかながらオードブル。近くの商業施設で吟味したものであり、少しでも彼女の心を弾ませれば嬉しく思う。
すると、
ピンポーン。
インターフォンが来客を告げる。モニターに映っているのは浮葉が来訪を心待ちにしている相手ー朝日奈唯であった。
頬が緩むのを感じながらロックを解除してから数分後、彼女は目の前に現れる。
1997