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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    24話目です。アップ忘れてましたw

    24厳密に言うと、「賞金をかけた」のではなく、呪詛師に大枚をはたいた、でしょうか。

    私は身元を隠し、呪詛師の元を訪れ計画を打ち明け、協力を頼みました。
    私が何者なのか気付いていたようですが、呪詛師も所詮人間。大金を前に2つ返事で引き受けてくれました。

    私はその時すでに妊娠していました。もちろん誰も言っていませんでした。
    ですので、絶対に戦闘に巻き込まれるわけにはいかず、先代当主の三回忌に事を起こして欲しいと頼みました。法要の時に住職を迎えにいくのはいつも私の役目でした。
    法事の時は分家の術師も多く集まるので、ちょっとのごたごたは問題なく収まると思ったのです。

    何をするかは任せて欲しいと言われたので、私は条件を出しました。大金を出しているのでそのくらいは許されます。


    「実に『悟といると怖い思いをする』と刷り込ませること」
    「悟に『自分といると実が傷つく』と納得させること」


    他は任せると伝えると、呪詛師は『そんなことか』と嗤いました。


    あの日、千里眼の女性が言った通りの事がおこりました。
    悟はあなたといたことで、当主と普段行っている祓いの時には考えられないミスをしました。

    状況が分かっていたのに何を優先すべきかの判断を誤った事であなたのバリアの再構築が間に合わず、あなたは肋骨を折り、肺に穴が開くという重症を負いました。
    その後悟は怒りに我を忘れ、人がたくさんいる場所で「蒼」を使い、大勢の人がケガをしました。
    最後の特級呪霊との戦闘では、六眼でなら間違えようのない失態。あなたのバリアが再構築されているものだと思い込んで使った「蒼」。六眼ならほんの0,1秒にも満たない確認で済んだものを怠り、あなたを殺しかけた。
    そして、医術師の女性は亡くなってしまった。


    今あなたに話した悟のミスを、私と主人は悟に言い聞かせました。
    二人でいたら、また実を危険にさらすかもしれない、今の悟では実を守れない、と。


    悟は何日も何日も悩んで遂に「実ともう会わない」と言いました。

    ようやくこれで安心だと思いました。
    あとはあなたの意識が戻り、説得すれば終わりだと。あなたの性格上、悟が死ぬかもしれないと言われれば、自ら姿を消してくれると思ったのです。

    私のお腹は日に日に大きくなり、全てに無関心になっていた悟の興味を唯一引いてくれる存在でした。
    無事に女の子を出産しました。六眼ではない普通の女の子でした。同じお腹からでも、やはりそうそう生まれるものではないのです。私は改めて五条悟という人間の存在意義や可能性などを考えると震えました。私は最強の呪術師の母なのだと。

    赤ん坊の名前は悟がつけました。
    「ひかる」と言います。一文字で太陽光の光。
    私のかわいい子供たちは全員名前に「る」がつくのだな、と一時の幸せにひたりました。
    悟はひかるをあやしている時だけ、穏やかな顔をしていました。

    ある日私が光におっぱいをあげていた時です。
    私は光に話しかけていました。

    光は将来五条家の当主になる
    悟が最強の呪術師になるのが楽しみだ
    早く実が目覚めて事情を話して遠くに行って欲しい

    そんな感じだったと思います。

    「凪」

    はっとして振り向くと正さんがいました。
    誰もいないと思って光に軽い気持ちで話しかけていたので、自分が何を口にしていたか咄嗟に思い出せませんでした。

    「あなた。どうしましたか?」

    精一杯の平常心でしたが、だいぶ苦しかったと思います。

    「聞こえていたぞ。今のはどういうことだ」

    私は迷いましたが、正さんも五条家当主として、五条悟の父として、私のやった事に賛成してくれると思い、全てを打ち明けました。
    私は初めて正さんに平手打ちをされました。
    なんてことをしたんだ、と。

    お前のやったことで、私たちの愛する子供たちがどれだけ傷ついたと思ってる。一人は心が半分死んでいて、もう一人は肉体が死にかけてるんだぞ。お前はいつ愛し方を間違えた?お前は誰から呪いを受けた?何故相談しなかった?

    正さんは泣いていました。
    私はわけが分かりませんでした。

    「正さんは最強の呪術師の父親になりたくないの?」

    「凪……そんなことも分からないのか」

    「聞かなきゃ分からないわ」

    「そうか。今の話は悟にはしない。その代わりお前はこの家から出ていけ。光は家で育てる。」

    「そんなことできるわけないでしょう?光はまだ赤ん坊なのよ?!」

    「できる。私は五条家当主だ」

    「お義父様と同じ事をするのね?!自分は悟を取り上げられそうになってあんなに怒ったのに、私に同じ事をするの?!」

    「同じじゃない」

    「同じよ!!!」

    「同じじゃない。お前は母親じゃなくなった」

    「何を言っているの?!」

    「悟は私にとっても大切な子供だ。死なせない為ならなんでもする。でも、最強でなくていいんだよ。生きようと足掻いてくれればいいじゃないか。悟と実が、千里眼の話しをきいて、じゃあさようならなんてすると思うか?何とかしようとするのがあの子たちだろう?」

    「それでも死んでしまったら意味がないでしょう?」

    「生きることに意味を見つけようとするな。第一あの子達はお前の所有物じゃない。生きるも死ぬもあの子達次第なんだよ。あの子達が足掻いて足掻いてどうしようもなくてどちらかが死んでしまっても、あの子達は自分がやるべき事をやるよ?それを見守って支えるのが私たちの務めであって、あの子達の魂の繋がりを絶とうとすることじゃない!」

    「何故……怒るの……」


    「……手続きや諸々はこちらでやる。住む所もすぐ探すから。とりあえず一週間で出る準備をしてくれ」





    私は五条家を出ました。
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