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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    43話目です。

    43「私の彼氏は悟しかいない」発言で満足したのか、ストーカー紛いの鬼メールはなくなり、「今日はちょっと帰り遅くなる」とか、「会議つまんなかった」なんてごく普通のメールがくるようになった。お弁当を作った時は「美味しかったよ」とリアルタイムでメールがくるので、これは嬉しかった。


    そして土曜日、家入さんがやってきた。

    「来て早々で申し訳ないけど、お互い忙しいだろうからさっさと本題にはいるね」

    先週と同じ洋室の客間で私たちは向かい合って座っていた。任務がないという悟も勿論一緒だ。

    「私と話したあと、実さんは何か思い出したり、感じたことはなかった?」

    私は札幌の主治医だった人と話しをしたことを伝えた。

    「うん。意識がない状態だとやっぱり目には見えないか。」

    「目には見えない?」
    悟が怪訝そうに聞く。

    「そう。仮説だけど。多分、バリアは体の表面じゃなくて、内側を守ってたんじゃないかな。それなら可視化は不可能だろ?」

    内側を_____

    「実さんからは呪力を感じないけど身体を覆うバリアを私たちは見る事ができる。当然バリアから呪力は感じない。だから体の内側を守ってるバリアを私たち呪術師は見る事ができないし、感じることもできない。」

    「なるほど?さすがに体内は見れないな。」

    「実さんのバリアの基は呪力なんだと思う。ただ、呪術師の呪力が負のエネルギーなのに対して、実さんのは正のエネルギーなんじゃないかと思うんだ。」

    「負のエネルギーじゃないなら呪力とは言えないんじゃね?」

    「そうだな。呼び方がないから呪力って事にしておいてくれ。」

    「オッケー」

    「で、正のエネルギーは、呪力攻撃に対して自身とバリアの内側にいるものだけを守る。また、自身に致命傷があった場合はオートマチックで治療の為の術式が発動する。この場合実さんは正のエネルギーだから『反転』ではなくて『順転』になるかな。我々と反対だから。」
    「守る事に全振りしてるから攻撃はできないし、本職ではない術式だから治療するのにも時間がかかる。ましてや損傷箇所を最優先にするから体の表面にも出られないんだろう。」

    「意識が戻る前は実自身の術式と現代医学で驚異的な回復力になったわけか。」

    「多分ね。意識が戻れば実さん自身に『病院の治療を受ける』っていう意志があるから術式は解除されて、バリアに戻った。って感じで間違いないと思うよ。」

    「あの、意識がない場合のは理解しました。じゃあ、悟といる時はどうなんでしょう?この間頬を治してもらった時、私の中にバリアがとどまっていたなら家入さんの術式は強制解除されると思うんですよ。」

    「そこはね、本当にまだなんとも言えない仮説を2つ立てた。」
    「1つは、五条が側にいる事で完全に消失しているって事。大ケガをした時も消失していたから『戻ってきた』のを感じた。まあ、その『戻ってきた』というのはあくまでも『体内に』だったわけだよね。肋骨が折れて肺に穴があくなんて重症だし、そっちに全部持っていかれてもおかしくない。」

    「もう1つは?」

    「2つ目は、五条が側にいてもバリアが体内にあって、体内のバリアが呪力を受け入れたって事。自身を治す為の呪力だと判断して受け入れたんじゃないかって。肺の止血も早かったんじゃないかな?」

    「硝子的にはどっちが有力?」

    「うーん。難しいね。どっちもアリだと思ってるし、あってもいいと思ってる。」

    まとめようか。
    家入さんが言う。

    ・バリアは正のエネルギー
    ・自身を守ることが本職
    ・反転(順転)術式は副産物的な感じ
    ・致命傷を負って意識がなくなると体内の損傷箇所最優先の術式が発動する。この場合バリアは顕現しない
    ・五条悟と居ることでバリアは完全消失、または体内にとどまる
    ・本人の意志と関係なくバリア内に入れる人間を選んだり、呪力を受け入れたりする

    「うーん。なるほど?辻褄は合うな」

    「ごめん。いろいろ難しくてついて行けてないかも……」

    「あ、五条が今理解してくれてればいい。実さんはこれから色々やってく中で理解してくれれば十分だよ」

    「いろいろやるって……実になにさせる気だよ」

    「ケガさせたり失神させたりする訳じゃないから安心しろ」

    「ハッキリ言えよ」

    「そうだな。最低でも『自力で出し入れすること』まではできそうだ」

    「だからなにすんの?」

    「イメトレだな」

    「さんざんやったと思うけどなぁ」
    悟が頭を掻く。

    「まあ、時間もたってるし今日は帰るよ。悪いけど来週また来る。それまでイメトレの方法を考えてくるから。」

    「うーん。分かった」


    今回はきちんとお見送りをした。
    外まで送ると言ったら「玄関でいいよ」と言われたので、玄関先で家入さんとは別れた。


    「実、できそう?」

    「どうだろう?昔はできなかったけど、当時のお偉方と家入さんはそもそもの考え方が違うから……」

    「ま、無理しないでいいからな?」

    「うん」

    悟が手を差し出す。
    私はいつも通り手を取った。

    「ふむ」

    「どうかしたの?」

    「今、実にバリアがある。」

    「家入さんがいたからだよね?」

    「そう。で、今手を出した時、俺は術式で無限を展開してた。」

    「うん?」

    「でも実は手に触れただろ?」

    「それっていつもの事じゃなくて?」

    「普段から無限を展開してるわけじゃないんだよ。基本的に任務か実のバリアが消えた時だけ展開してるの」

    「そうなの?……で……だから??」

    「無限を抜けて触ってるんだよ。実のバリアが無限を消してるの。多分他の誰もできない事を実のバリアはやってる」

    「……???」

    相当なアホ面をしていたと思う。
    そんな私の顔を見て悟が笑い出した。

    「今の顔!」

    「人の顔見て笑うなんて失礼でしょ!!」

    「だって凄い顔してたよ?!」

    「私は悟みたいに美形じゃないんだからいいの!!」

    「そういう問題の顔じゃなかったって!!」

    「もう!笑わないでってば!!!」

    「いや、ごめん。でもいい顔してたよ」

    「今日は部屋の鍵かけて寝るから来ないでよ」

    「えぇ?!なんで?!」

    「なんでじゃない!!」

    「どうしてそんな意地悪するの?!」

    「こっちのセリフよ!!」



    さんざんキーキーやって、夜は結局二人で寝た。



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