昼食はなんでもいいかとふらりと立ち寄ったファストフード店。
互いに注文品を受け取り壁側のカウンター席へ。
いただきます、と挨拶を済ませて食事を始める。
ふと隣にいるゾルタンをみやればハンバーガーを齧ろうと大口を開けている。
チラリと視界に入った鋭い犬歯。
動物っぽいな、わんこ、いやコイツの場合は狼だな、等と1人考えていれば視線に気がついたゾルタン「何だよ、俺様に見惚れてんのか?」と茶化してくる。
「ゾルタンの犬歯見てると狼っぽいなって思ってただけよ」
「ふーん、狼ねぇ...」
ニタリと笑ったゾルタンがそっと耳打ちする
「お前の事も喰ってやろうか?」
しまった、余計な事を口走ってしまったぞ、と後悔する時には既に手遅れ。
わざとらしく口を開けて舌なめずりをしてみせる。
隙間から覗く犬歯がこんなに蠱惑的なんて。
猛獣に目をつけられてしまった私はまんまと口づけを奪われたのである。