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    Hino

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    Hino

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    🌸褒められ慣れてない大尉をヨシヨシしたいだけ

    静かにしていれば本当にイケメンなんだよね、と珍しく事務作業に打ち込むゾルタンの横顔をしばし眺めていた。
    集中しているのか全くもってこちらの視線に気づこうとしない。
    深い意味はないのだけれどなんとなく、頭を撫でてみたいと思ってしまった。
    そろりと手を伸ばし、ぽんぽんと上司の頭部に手を乗せる。
    ぴくりと一瞬ゾルタンの眉間に皺が寄ったような気がした。
    気にせずそのまま撫で続けると


    「…おい、なんのつもりだ」


    不機嫌ではないが呆れたような声音が聞こえてきた。


    「大尉が真面目にお仕事されているのでヨシヨシしたくなっちゃったんですよ」
    「酷ェな、俺様出来る大人だからちゃんとお仕事するっての」
    「ではもっと褒めないといけませんね」


    怪訝そうな表情を浮かべているゾルタンの頭をぎゅっと抱え、幼子をあやすように更に撫でる。
    いやちょっと待て、と言われた気がしたがたぶん幻聴だと思い華麗にスルーする。


    「お仕事する大尉、私とっても好きですよ」
    「お前なァ…」
    「静かにしていればカッコイイ所も素敵です」
    「…一言多い」
    「誰よりも頑張り屋さんなのも知ってます」
    「…」
    「大尉?」

    反応がないので顔を覗き込もうとするが抱き着かれてしまってその顔を拝むことはできない。
    が、耳まで赤くなっているので察してしまった。



    いつもは上司がこういう顔をしているのだろうか。
    ニヤニヤする口元が戻せなくて、ちょっと意地悪したくなってしまった。

    「可愛いですよ、ゾルタン大尉」



    わざとらしく囁くと勢いよく真っ赤な顔をこちらに向け、彼なりに力加減はしたのだろうが結構痛いデコピンを食らわせてきた。



    「…お前、覚えておけよ!」
    「えー、覚えてていいんですかぁ?やったー!後で思い出しちゃおーっと。」



    この後、手痛い仕返しをされるのはまた別のお話。
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    umemhyk

    PROGRESSブラッドリー×名無しモブの夢小説的な何か。「もしもあなたが、違うかたちでブラッドリーに出逢ったら?」をテーマにしたお話を鋭意執筆中です!
    一作目は、西の国の銀細工屋でアクセサリー作りの修行に励むモブ視点のお話です。

    イベントに間に合わなくて申し訳ないです…😭せっかくなのでプロローグだけ公開させていただきます🙇‍♀️💦💦あと何日かかるか分かりませんがいつか必ず完成させます!
    名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師カランカラン。

    その魔法使いは前触れもなくやって来た。
    まるで私の旅立ちを見計らったかのように。

    漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。

    「ようじじい」

    「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」

    「あ、お前あん時のちっちゃいのか」

    「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」

    「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」

    お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。

    西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
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