E*S「ねぇ!見てこれ!」
「今回も攻めてるね〜!」
「うぅ…E*S尊い……っ!」
そう彼女たちが興奮しながら見ているのは今回アイドルのE*Sが出した新曲CDだった。
向かい合い、インカムマイクを絡ませ見つめ合うそのジャケット写真に多くのファンが魅力された。
「耽美…」
「シュンくんと旬君が…!」
「神すぎる…!」
店内で1番メインの陳列棚に並んだCDを手にしていた一人がもう1枚のCDに気が付いた。
「まってこれヤバイ」
「初回限定盤?」
「どっちも買う」
初回限定盤と銘打ったCDのジャケット写真は、衣装を変えて背中合わせになった2人がマントをヒラつかせながら振り返り微笑んでいるものだった。
「微笑み尊い……っ」
「ウインクに撃ち抜かれる…っ!」
「天使すぎる…!!」
そうはしゃぎながらCDを2枚ずつ手に取った彼女たちはきゃあきゃあと嬉しそうに笑いながらレジへと向かっていった。
そんな彼女たちを、少し離れた場所から2対の目が見つめる。
「…………………だって。嬉しいね」
「………ああ、そうだな」
クスリと笑ったシュンに相槌を打ちながら嬉しそうに微笑む旬。
やがて会計を終えたらしい彼女たちがとても嬉しそうな顔でショップを後にしていく。
そんな彼女たちを目立たない場所から柔らかな眼差しで見送る2人。
チラリと店内を満足そうに眺めると、二人もそっとその場を離れたのだった。