ラールナは謳う 黒龍について語ろうぜ
352名無しのBDファン
お前ら新曲聞いた?
353名無しのBDファン
10代目のだよね
354名無しのBDファン
最高だった…ありがとう世界
355名無しのBDファン
大寿の力強い声が最高だった
356名無しのBDファン
イヌピーの声量が長すぎて
357名無しのBDファン
肺活量どんくらい?ってなるよな
358名無しのBDファン
ココの煽りも最高すぎてだな……
359名無しのBDファン
歌いながら舌ペロしてるんだなって思った
360名無しのBDファン
舌ペロして下さい
361名無しのBDファン
俺を踏んで
362名無しのBDファン
蹴って下さいココ様
363名無しのBDファン
ココのファンてドM多いよな
364名無しのBDファン
ほら…本人がな……
365名無しのBDファン
てかアイドルもしてるから金あるのに、他のやつでも稼いでるのすげーよな
366名無しのBDファン
投資や不動産もやってんだろ?
367名無しのBDファン
でアイドルしてるっていう
368名無しのBDファン
金どんくらいあるんだろう
369名無しのBDファン
そういやお前ら何代目のこBDが好き?
370名無しのBDファン
俺8代目から入った
371名無しのBDファン
イザナな当時見てた時凄かった
372名無しのBDファン
曲調もガラリと変わったよな
373名無しのBDファン
代々ロック調だったのがラップが入ったし
374名無しのBDファン
テレビで見た時かっこよくてファンになった
375名無しのBDファン
私は10代目かな
376名無しのBDファン
大寿の力強い歌声が最高
377名無しのBDファン
9代目までロックだったのが大寿からビジュアル系寄りになったよな
378名無しのBDファン
軍隊や宗教的なものも入ったよな
379名無しのBDファン
大寿自体熱狂的なクリスチャンだからな
380名無しのBDファン
また毛色が変わったよな
381名無しのBDファン
お前ら!!!!リベッターみろ!!!!!
382名無しのBDファン
なんだ?
383名無しのBDファン
あ"っ!!!!
384名無しのBDファン
え!?なに!!!
385名無しのBDファン
えっっっ!!嘘!!!
386名無しのBDファン
━━━━━━━━━━━━━━
@kokuryu-official
黒龍
我が事務所から2人組の
アイドルユニットがデビュー致します
今後続報を出していきます
お楽しみに
━━━━━━━━━━━━━━━
387名無しのBDファン
2人組?誰だろう
388名無しのBDファン
まだ文字だけだかなら
389名無しのBDファン
気になるな…
390名無しのBDファン
まだ何も情報無いからな
391名無しのBDファン
これじゃ特定できない
392名無しのBDファン
そういや今初代が動いてるって噂あるな
393名無しのBDファン
ああ?あの都市伝説的な?
394名無しのBDファン
初代動くなら大事なんだろうな
395名無しのBDファン
じゃあこのユニットも凄いのかな?
396名無しのBDファン
大掛かりなユニットってこと?
397名無しのBDファン
どんなユニットなんだろ
398名無しのBDファン
続報纏うぜ
399名無しのBDファン
続報出るまでほしゅ
400名無しのBDファン
おっけ
401名無しのBDファン
ほしゅー
…………………………………………
……………………………………
……………………………
…………………
…………
……
565名無しのBDファン
俺は赤
566名無しのBDファン
俺は青
567名無しのBDファン
いや緑!
568名無しのBDファン
今何してんの?
569名無しのBDファン
好きなペンラの色の話し
570名無しのBDファン
あー面白い話ししてんな
571名無しのBDファン
何色がいい?
572名無しのBDファン
リベッター更新されたぞ!!!
573名無しのBDファン
━━━━━━━━━━━━━━━━━
@kukuryu-official
黒龍
新アイドルユニットCattleya(カトレア)
2人組のユニットです。
その内1人のシルエットをお見せします
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574名無しのBDファン
誰だ?
575名無しのBDファン
髪跳ねてるな
576名無しのBDファン
背は高くないし、華奢だけど男か
577名無しのBDファン
可愛い系だよな
578名無しのBDファン
もう一人誰なんだろ
579名無しのBDファン
う"ぁー!!!気になりすぎて夜しか眠れない!!
580名無しのBDファン
それは十分寝てるわ
581名無しのBDファン
けど気になるでしょ?
582名無しのBDファン
まあな
583名無しのBDファン
うーん誰なんだろ
634名無しのBDファン
結局分からなかったな
635名無しのBDファン
芸能界には居ないっぽいしな
636名無しのBDファン
全くの新人か?
637名無しのBDファン
本当に誰なんだろ
638名無しのBDファン
お前ら!!!!!!!
639名無しのBDファン
なにどうした
640名無しのBDファン
これみろ!!!!
─────────────
kokuryu-official
黒龍
(一人の青年が映る動画)
─────────────
642名無しのBDファン
死んだ
643名無しのBDファン
え、待って情報量多い
644名無しのBDファン
情報量過多
645名無しのBDファン
え、待って何起きてんの!?今会社!!
646名無しのBDファン
俺も残業なんだ!!!
647名無しのBDファン
仕方ねぇ実況してやるよ
画面に癖毛の金髪で零れそうに大きな青眼の青年が映る。
その青年が後ろを振り向いた時誰かが声を掛けた。
「おい、武道」
聞き覚えのある声。いやありすぎる。佐野真一郎の声だった。
「なに?真一郎君!」
真一郎と親しげな武道くんはカメラに気づいた様子で笑顔を浮かべる
「あ!ユニットの撮影ですか?」
「おー動画上げるのにな」
「俺で良いんですか?」
「お前がアイドルになるんだよ。良い加減自覚しろ」
真一郎の優しげな声色で言われる言葉に武道は嬉しそうに笑って動画が終わる。
648名無しのBDファン
死んだ
649名無しのBDファン
し"ん"い"ち"ろ"ー!!!!!
650名無しのBDファン
声だけでも嬉しい!!!
651名無しのBDファン
武道くんも可愛いじゃん
652名無しのBDファン
真一郎なんで!?
653名無しのBDファン
ずっと裏方にいたじゃん!!!
654名無しのBDファン
てか武道くん純粋そうで可愛いな
655名無しのBDファン
真一郎が優しそうな声してる
656名無しのBDファン
何者だ武道くん?
657名無しのBDファン
状況を整理しよう
658名無しのBDファン
動画の武道くんと声だけの真一郎
659名無しのBDファン
まさかの2人目
660名無しのBDファン
真一郎が2人目?
661名無しのBDファン
嘘だろおい
662名無しのBDファン
ずっと裏方にいたのに表に戻ってくんの!?
663名無しのBDファン
真一郎が2人目なら推します!!!
664名無しのBDファン
なんなら武道くん推せるわ
665名無しのBDファン
俺も推す
666名無しのBDファン
俺も推せるわ
667名無しのBDファン
武道くんかわいい
668名無しのBDファン
太陽の笑顔似合う子あまりいないぞ?
669名無しのBDファン
どこか真一郎と似てんな
670名無しのBDファン
確かにそうだな
671名無しのBDファン
真一郎と武道くん並べたら絶対かわいい
672名無しのBDファン
王子と王って感じ!
673名無しのBDファン
第三王子を守る第一王子かな?
674名無しのBDファン
それどんなラノベ
675名無しのBDファン
第三王子が可愛いので王の自分か必死に守ります!これなんてラノベ
676名無しのBDファン
読みたいとは思う
677名無しのBDファン
真一郎が戻って来るから今日は祭りだ!
678名無しのBDファン
ちょお前らみろ!!
679名無しのBDファン
何まだあんのか?
680名無しのBDファン
━━━━━━━━━━━━━━━━━
@kokuryu-official
黒龍
〇月〇日ユニット発表の生放送をします
RibTube
(…………リンク)
ニマニマ動画
(…………リンク)
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681名無しのBDファン
公式オタク殺す気か?
682名無しのBDファン
供給過多でオタク死ぬ
683名無しのBDファン
オタクはすぐに死ぬんだよ
684名無しのBDファン
公式くんオタクすぐ死ぬの知ってるでしょ
685名無しのBDファン
さて、仕事殺すか
686名無しのBDファン
残業して絶対定時勝ち取る
687名無しのBDファン
この日の為に仕事ブチ殺す
688名無しのBDファン
全てはこの為に生きるんだ
689名無しのBDファン
推しに金を貢ぐために
690名無しのBDファン
お前ら生放送にまた会おう
691名無しのBDファン
健闘を祈る
786名無しのBDファン
等々今日だ!!
787名無しのBDファン
生放送楽しみ!!!
788名無しのBDファン
この日の為に生きてきた!
789名無しのBDファン
よっしゃー!!!セーフ!!!
790名無しのBDファン
間に合った!!!!
791名無しのBDファン
そういや最近イザナの下僕が増えたらしいな
792名無しのBDファン
そうなの?
793名無しのBDファン
天竺はわからないや
794名無しのBDファン
リベッターで言ってた
795名無しのBDファン
東卍も騒がしかったな
796名無しのBDファン
メンバーのお気に入りができたって
797名無しのBDファン
ココもなんか上げてなかった?
798名無しのBDファン
これか
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koko-official
ボスが貢がせてくれない
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799名無しのBDファン
ボスって大寿じゃないよな
800名無しのBDファン
大寿は呼び捨てだからな
801名無しのBDファン
イヌピーもあげてなかった?
802名無しのBDファン
何だろうな
803名無しのBDファン
お前ら始まるぞ!
804名無しのBDファン
5分前!
805名無しのBDファン
ワクワク
806名無しのBDファン
待って!!パソコン突然消えた!!
807名無しのBDファン
付けな押せ
808名無しのBDファン
直らないの?
809名無しのBDファン
スタート押しても無理泣いた
810名無しのBDファン
しゃーねぇ実況してやるよ
811名無しのBDファン
ありがとうございます!!!!!
812名無しのBDファン
とかやってたら後1分
813名無しのBDファン
3!
814名無しのBDファン
2
815名無しのBDファン
い〜ち
816名無しのBDファン
始まった!!!!
817名無しのBDファン
真一郎映ってる!!
818名無しのBDファン
武道くんいる!!
819名無しのBDファン
長机があり椅子に並んで座る真一郎と武道が映る。真一郎はいつもの変わらずの笑みを浮かべ、武道くんは緊張してるようだ。
真一郎が横を向き優しげな、恍惚とした顔?で武道に話しかける。
「武道大丈夫か?」
「は、はい!大丈夫です!進めて下さい!!」
「わかった」
真一郎が武道と話してたのから前を向き真剣な瞳ので笑みを浮かべる。
「この度は画面の向こうにお集まりの皆様忙しい中ありがとうございます。この度カトレアの結成する事をみんなに知らせることを嬉しく思いうぜ」
「名前に迷ってた時ワカ達からカトレアの花を見せられてな、俺達にピッタリだって言われたんだ。このコンビを組んだ理由は、武道を見た時光る物スター性を見出してこのままじゃ勿体無い事を思って誘ったんだ。そして武道の隣は俺のものだと同時に理解した。だから俺はこの世界に戻って来たんだ」
一旦切る
820名無しのBDファン
凄い理由だ
821名無しのBDファン
真一郎……凄く考えてんだね…
822名無しのBDファン
真一郎が見れただけで嬉しい
823名無しのBDファン
てか理由が
824名無しのBDファン
言うな
825名無しのBDファン
メンヘラ彼女じゃん
826名無しのBDファン
確かにそうだわ草
827名無しのBDファン
真一郎にこんな一面あると思わなかった
828名無しのBDファン
爽やかな太陽の様だと思ってたけど真逆じゃん
829名無しのBDファン
流れをぶった斬る!
真一郎が真剣な笑みで言ったあと武道を見て笑った。
「俺はこれから武道と組むが黒龍を忘れた訳じゃねぇ。それを踏まえて俺は武道と組んだ。だから俺達に着いて来る奴は着いてきてくれないか?」
真一郎は武道を見て、武道がマイクを手に取る
「俺は最初真一郎君に誘われて、何言ってんだこの人って思ったけど、俺と組むって自ら言ってくれた真一郎君の真剣さに答えなきゃと思い組みました。組むからにはファンの方を大切にして、俺らのカトレアを目指します!」
真一郎と武道が頭を下げると少ししてあげて真一郎が話す。
「俺らのカトレアをよろしくな皆!」
「よろしくお願いします!!」
武道が挨拶した後真一郎が武道の頭を優しげな手つきで梳いて、その目は愛しげに細められている。武道も嬉しそうに好かれてる。
俺達は何を見せられてるんだ。
そして真一郎が気づいたように此方を見て不敵に笑った。
「あ、武道は俺のだから取るなよ」
真一郎の一言で時間になり画面は暗くなった。
830名無しのBDファン
いやなにこれ
831名無しのBDファン
何となく気づいてはいたけど
832名無しのBDファン
サラッと爆弾落とすじゃん
833名無しのBDファン
武道大好きじゃん真一郎
834名無しのBDファン
牽制すんな
835名無しのBDファン
武道くんは俺のだ!
836名無しのBDファン
835>>お前のじゃねーよ
837名無しのBDファン
835>>顔見て言え
838名無しのBDファン
めちゃくちゃ言うじゃん
839名無しのBDファン
真一郎ってあんな牽制する奴だった?
840名無しのBDファン
ヤンデレじゃん
841名無しのBDファン
ガチ恋涙目なんじゃない?
842名無しのBDファン
いや私真一郎ガチ恋だけど一周回って武道なら良い
843名無しのBDファン
武道ガチ恋だけどこれを見せられたら何も言えないけど真一郎なら
844名無しのBDファン
強かだった
845名無しのBDファン
リベッターのガチ恋も荒れてないな
846名無しのBDファン
トレンド入ってんじゃん
847名無しのBDファン
武道 真一郎 付き合ってる 真一郎の牽制
重い彼女 武道くん逃げて
848名無しのBDファン
真一郎の重さが分かるな
849名無しのBDファン
武道くん超逃げて
850名無しのBDファン
とりあえず真一郎の重さが分かった会見だった
851名無しのBDファン
あ!公式垢出た!!
852名無しのBDファン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
@katorea_official
Cattleya
佐野真一郎と花垣武道のユニットアカウントです。
この度〇月〇日に✕✕音楽番組で新曲披露します。お楽しみに
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
853名無しのBDファン
てか、東卍や天竺よ
854名無しのBDファン
黒龍もだろ
855名無しのBDファン
荒れてんな
856名無しのBDファン
━━━━━━━━━━━
@iza_offici
黒川イザナ
真一郎聞いてねぇぞ
下僕がデビューするなんて
殺す
━━━━━━━━━━━━
857名無しのBDファン
いや物騒
858名無しのBDファン
イザナの下僕って武道くんだったんだ
859名無しのBDファン
東卍も荒れてんな
860名無しのBDファン
ココもやばい
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
@koko-official
九井一
ボスは俺達のだけど公式でボスに貢げんのか?
最高かよ。けど真一郎だけは許さねぇ
|
撲殺か?
|
まずは社会的にだ
|
けどそうしたら花垣が見れなくなる
|
ボスに貢げないならダメだ他を考えるか
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
861名無しのBDファン
いや怖いって
862名無しのBDファン
お前らのじゃねぇよ
863名無しのBDファン
みんなの武道君だよ
864名無しのBDファン
武道君何でこんな愛されてんの
865名無しのBDファン
厄介ホイホイじゃん
866名無しのBDファン
誰にも手をつけられない怪物に気に入られた武道君
867名無しのBDファン
暴れるのを唯一制御出来んじゃん
868名無しのBDファン
強すぎる
869名無しのBDファン
けどセコム(彼氏)を倒してからだな
870名無しのBDファン
真一郎な
871名無しのBDファン
そんな真一郎
━━━━━━━━━━━━━
@sinitirou
佐野真一郎
お前らうるせーぞ。俺の武道だ
言わなかったのは悪かった謝る
━━━━━━━━━━━━━
872名無しのBDファン
煽んな煽んな
873名無しのBDファン
火に油注ぐじゃん
874名無しのBDファン
ほらー暴れだしたから
875名無しのBDファン
こんなので大丈夫か?
876名無しのBDファン
前途多難だな
877名無しのBDファン
けど推すぜ
878名無しのBDファン
俺も!
879名無しのBDファン
私も推す!
880名無しのBDファン
真一郎と武道くんの今後を見守り隊
881名無しのBDファン
入ります!!
882名無しのBDファン
入隊させて下さい!!
883名無しのBDファン
これからが楽しみだな
884名無しのBDファン
本当にな
885名無しのBDファン
Cattleyaの未来に幸あれ!
書類仕事が終わり少し休憩するかと肩を伸ばした真一郎は、事務所の廊下を歩き外へ出ると忙しそうに道端を行くサラリーマンやOLの隣を通り過ぎ、主婦や子供が行来する外を見て前を歩く。最近廃れてきたレンタルビデオ店は経営が大変だろうとと考えると、突然ビデオが借りたくなり近くの少し寂れたレンタルビデオ店に向かう事にした。
道を通り過ぎ大通りを少し抜ける一番奥にあるビデオ店に向かうと、中に入り棚を眺める。店員のいらっしゃいませ〜と言う声を聞き流しながら、棚を見ていると昔真一郎が集めていたドラマのブルーレイを見つけ手に取る。プレミア版で真一郎が買えなく一回の販売しかしてないないビデオが最近ブルーレイ版が発売されたと聞き、買おうとネットの物販の戦いに参加したが数量限定のブルーレイは見事買えなく、真一郎が泣く泣く諦めたのが此処にある。芸能事務所に無いかと言ったが、事務所が彼を解雇してから届いて無いらしく、真一郎の目当てのするそのドラマに出ていた子役を見る事は叶わなかった。
そんなプレミアブルーレイが今此処にある。
真一郎は手に取ると、速攻レジへと向かい興奮を抑え払う。
「お返し期限は6月25日です。お忘れなくお願いします」
やる気無さそうな声の店員に何処か聞き覚えを感じながら、真一郎が前を向くと黒髪に青い瞳の店員と目が合う。真一郎は瞬時に察した彼が俺の求めてた店員だと。真一郎の唯一推してる子役の俳優"ミチ"だと。
彼が渡す時の手を逃さずガシッと掴むと笑顔を作り真一郎は彼に聞いた。掴む手に力が入る。
「ちょっとお茶できないか?」
店員は驚きに目を開き困惑したような表情で真一郎に何も言えないでいた。
「君の休憩の時間に話したい事があってな。俺はこういう者だ」
芸能事務所の名刺が店員に見せると瞠目し、真一郎へと向かい困ったように言った。
「分かりました。後十分で終わりなので」
その一言に真一郎は手を離すと、ガッツポーズしたくなる衝動を抑え笑みを携え呟く。この店員を見た瞬間に真一郎のやる事は決まったものだ。店員を事務所に入れる。
「外で待ってるな」
そう言うと真一郎は離れ、踊る胸に笑みを深める。やっと、やっと自分の手に入れたいと思うものを見つけた。真一郎の唯一、画面を見ていた時から真一郎が欲しかったもの。手に入らないから諦めかけて、真一郎のドロドロと渦巻く黒渦に呑まれそうになったが彼を思い浮かべるとそんな気持ちも太陽が差し込んだように晴れた。だから真一郎は手に入れたいと思ったものの為に芸能界に入ったが入れ替わりに彼が引退したのだ。嘆いた真一郎を慰めたのは矢張り仲間だった。
外で待ってると、店員が裏から出て来て真一郎の方に来ると頭を下げた。真一郎を見つめる瞳には困惑や、疑念、不安が宿る店員に真一郎は歩き出すと名を名乗る。
「俺佐野真一郎。アンタは?」
「あ…花垣武道です」
「武道さんよろしくな」
「武道で良いです」
「なら武道だな」
並んで歩き出す。武道が真一郎を伺う中無言で歩くと近くにある、真一郎行き着けの喫茶店に着いた。ここは人の出入りが少なく秘めた話しをするには持って来いだ。真一郎は扉を開けるとテーブル席に座り、武道も共に座る。
真一郎は武道を見つめるとコーヒーが届いたタイミングで早速話し始めた。
「単刀直入に言う。武道をアイドルにスカウトしたい」
武道の不安そうな顔に真一郎は、笑顔の裏にある事件を思い浮かべていた。武道が引退する切っ掛けの事件である。それを見た時真一郎は怒りが湧き上がり、止む事ない怒りを無理矢理押さえ込んでいた。
その事を思い出し武道の表情を見て真一郎は話す。
「俺は武道をスカウトする理由に、一緒にアイドルをやりたいと思っている。今は芸能界の裏方に回った俺だが武道と共にデビューできたら嬉しいと思っているよ」
優しく愛しげな声色で問われた武道は泣きそうになりながら、真一郎の話を聞いていた。武道の目の前に今推しがいる、長年応援し元いた芸能界をある理由で引退しても真一郎の情報だけは追いかけていた。そんな彼から凄く嬉しい事を言われたが、武道は未だ信じられずにいた。
「俺は昔は芸能界にいたんです。ある事があり引退しました。真一郎さんにスカウトの件を言われ嬉しいですが、俺以外にもきっと良い人は居ます。」
武道の言葉に真一郎は目を鋭く上げ真剣な顔をすると武道へと向かい話した。
「武道俺は貴方が好きなんだ。推しなんだよ。人生で初めて推して未だに推してる人は唯一人貴方だけだ。これは本当だ」
武道は涙ぐむ顔を耐えるようにすると、眦に浮かぶ涙を腕で拭い答えを返す。
「考えさせて下さい」
武道の答えに真一郎は名刺に何かを書くのを見るとそれはスマホの電話番号だった。武道は驚き真一郎に渡されると返事は何時でも良いと言われ、武道に渡された。
真一郎が自分を推していた宣言を聞き無言でコーヒーを見つめる。本心かは分からないが、武道を推してたって事は引退の事は知っているだろう。前の事務所の恩威で会ったことはある程度隠された。だが一部を好き勝手報道されたのは本音だ。今の武道を見て分かる人は居ないと思うが中には気づく人も居るだろう。
現在の武道は真一郎が映らない限りテレビを見ない。真一郎に着いての情報は何でも入るようにしている為に、武道に見落としは無いだろう。
そんな彼に武道がやるなら一緒にやりたいと言われた。武道は不安げな顔で新たに出来た悩みと歓喜にコーヒーを一口啜る。冷めて苦かった。
武道はそれから三日考え結論を出した。
武道は往来何かを考えて行動する事は苦手である。考えは決まっているのだから後は真一郎の元へ連絡を掛けるだけだ。
スマホを手に取り震える手で番号を打ち込む。
1コールで出て『もしもし』と聞こえる声に武道は決意を決め話し出す。
「真一郎さん話したい事があります」
真一郎は指をトントンと叩きながら、事務所の外に武道を迎えに行った若狭を待ちながら顎を掌で付きデスクに肘を付けると、武道からの答えに不安を濁らせていた。
武道がどんな選択肢をしたのかは分からない。だが事務所に来るなら期待しても良いだろうか、と思うが糠喜びはできない苦しむのは自分の方である。迫る胸の高鳴りを抑え、武道と向き合うのに胸を抑えると、ドアをノックする音が聞こえ許可を出すと若狭が入って来た。
「連れて来たよ真ちゃん」
若狭が壁に寄り掛かり立ち武道が真一郎の前に来る。
「良く来たな」
武道が下を俯き目を瞑り深呼吸をすると、前を向き蒼い瞳が開かれ強く輝く星屑のような瞳が真一郎を見る。その瞳は強く輝く。
「答えに悩みました。俺は受けるべきか」
武道が真一郎と目を合わせ見つめる。
「俺で良ければ宜しくお願いします」
真一郎はその答えに安堵したように息を吐くと、武道に手を伸ばした。
「宜しくな武道」
「はい!お願いします!」
そして契約書を出すと武道はサインする前に悲痛な顔をして自分に起きた事件を話した。厄介なファンに襲われかけたこと、助けてくれなければレイプされていたこと。テレビでは襲われた迄だけ報道されたが、武道が悲痛に話す表情に真一郎は笑みを浮かべると武道に話す。
「全て知っていたよ」
真一郎の笑顔に武道は息を飲むと、芸能界の噂で聞いた。武道が出る時俺がアイドルとして売れだした時だったから色々な所に引っ張りだこになった時に噂で聞いたと。
「噂とは言え聞いて悪かった」
真一郎のその一言に武道は安心したように笑い、嬉しげな笑みを浮かべると呟いた。
「真一郎くんに知って貰えていて良かったです!」
満面の笑顔を浮かべる武道に、真一郎は歓喜する胸の高鳴りに身を任せ武道の手に自身の手を重ねたのだ。
歌番組の収録で楽屋にいる武道の頭を撫でる。
真一郎の隣に座る武道がされるが儘に身を委ねる姿に、満足し撫で心地のふわふわとした良い黒髪を弄ると武道が楽しげにスマホを見つめ何かを眺めていた。
「何見てんだ?」
「この間の生放送の反応を見てます!」
好意的な意見が多いんですよ!と見せる武道に真一郎は大多数の人間が武道の機嫌を良くしている事に、黒く湧き上がる感情で嫉妬するとスマホを取り上げ武道の取れない所に投げ手を取る。
「あー!何で取るんですか!!」
「俺の事構ってくんね〜じゃん」
武道の肩にグリグリと頭を押し付ける真一郎に、サラサラの黒髪を撫で心地に満足し暫く堪能すると腰に回る腕の力が強くなり、少し緩めて欲しいなと思うと「Cattleyaさん出番です」と外から聞こえ立ち上がる。
真一郎が立ち上がり当時見ていたアイドルの顔になると、武道の手を引きドア迄向かう。真一郎は其の儘廊下を歩きスタジオの前に行くと手を離した。此処からはアイドルの時間であり武道も真一郎も皆のものだ。だからこそ少しの寂しさが武道にあった。
番組が始まり武道達の出番が迫る。武道の高鳴る胸を抑え久しぶりの撮影に不安に思うと、真一郎が武道の頭を撫で一言「大丈夫」と言ったのに落ち着いた。
出番になり光の赴くままにスタジオに入った。
当たり障りない受け答えを真一郎がすると、武道も振られた答えを返し、殆ど司会の問を真一郎がを答えると出番になった。
スポットライトが消えたスタジオの下に立ち、瞬間着いた光に武道と真一郎が踊り出す。
ロックな曲で作られた音楽に、武道と真一郎が踊り歌う。透き通る声が響き、武道と真一郎のピッタリと合わさるハモリと激しい音楽に場は圧倒される。
「蒼穹に浮かぶ空には月が浮かび黒に変わる」
「夜に浮かぶ月に決意を誓う」
謳う声が身体に響き、テレビの前の人達もスタジオも騒然と目の前の羽ばたこうとするスター達を見つめる。ファン達は涙を流し普段とは違う二人のギャップに浸る。
目まぐるしく廻るような音楽が心地好く、この時間が終わらない事を願うが何事にも終わりは来る。
曲が終わり出番が終わり下がる二人に、テレビの前にいた客はその日スターが誕生する音を聞いた。
武道は真一郎のバイクの後ろに乗り海の町に来ていた。海辺に作られた人気の無い公園の柵に寄り掛かり、空を見上げる真一郎の浮いた表情に武道は笑みを浮かべ見詰めると、真一郎が気づいた様に武道に幸せそうな笑みを浮かべ言った。
「武道大好きだ。愛してる」
そのプロポーズのような言葉に武道は優しげな、だが企むような笑みを浮かべ真一郎の横顔を見つめるとこっそり写真を撮り気づかない真一郎に満足すると、スマホを少し操作をした後言葉を返した。
「うん!俺も大好き!」
真一郎が此方を優しげな満足したような笑みを浮かべると、武道を見つめ想う。やっとやっと手に入ったこの宝を世間に俺のものだと知らせないと、と思いながら。
その日花垣武道のSNSに一つの投稿がアップされた。
その写真は月明かりに照らされ、どこかに背を向け寄り掛かり上を向く真一郎が笑顔を浮かべる写真。その投稿に添えられた一言が世間を驚かせた。
『俺の取らないでね』
添えられた一言に牽制等一言もした事ない武道が初めてした牽制に、世間は戦慄しその日のトレンドを総ナメにした。