剥がされてろのあれ「……何だよ、酔っ払い」
弔いを終えて潮騒の街へと帰ってきたブラッドリーを見つけたネロは覚束ない足取りでブラッドリーに近寄った。
「おい、ブラッドリ……リー」
凄む目でブラッドリーを見るネロは、ブラッドリーのシャツの襟元に手をかけると、がばっと大きく左右に開いた。
「!?」
紐止めの玉が生地にぶつかりそれ以上開かなくなると素早く上着ごと肩から落とす。
ひじの辺りまで落とされた服をつかんでネロは器用にブラッドリーをくるりと反転させ、その背中にのしかかるようにして手を背に這わせた。
「……って、てめえ、何しやがる!」
ブラッドリーはネロを振り払おうとするも、中途半端に脱がされた服が手枷のようになり、行動の自由を奪われる。
ネロは不機嫌そうな低い声を出す。
「あ?返り血だか何だか知らねえが、てめえがまた妙なことしてねえか、確かめてんだろうが。黙って剝がされてろ」
そうぶつぶつ言いながらブラッドリーの背中を検分するように上から隙間なく撫でていく。
ブラッドリーはネロに背中を押され体を折り曲げさせられる。
(おいおい……)
周りの魔法使いや賢者たちの驚きの空気を察して、ブラッドリーはとりあえず魔法でこの体制から抜け出ようとした。
「アドノポっ……ん……っ」
拘束するよう服をつかんでいたネロのもう片方の手がいつの間にかブラッドリーの前面を確かめるため胸を辺りを撫でだした。その手は乳首も触れていく。
それは性的なものを感じさせるものではなかったものの、普段のネロの執拗な愛撫にすっかり性感帯と化していたそこに不意の刺激で思わず声が漏れそうになる。
慌ててブラッドリーはぐっと唇をかみしめて耐えた。
その耳にカチャカチャと不穏な音が届く。下半身も確かめるつもりなのか、ネロがブラッドリーのベルトを後ろから起用に片手で外そうとしていた音だった。
(ああああ、くっそ…!)
ブラッドリーは渾身の力を振り絞り、たくましい背筋で勢いよくエビぞりした。
「いっで……っ!!!何しやがるっ」
ネロは頭を押さえてブラッドリーを怒鳴りつける。
狙い通りネロの頭頂部に頭突きすることができたようだった。
ブラッドリーは何も言わずネロから素早く一歩離れてネロに向き直る。それて顎をクイと振って周りを見ろと促した。
服を盛大に乱されたブラッドリーと、ネロの奇行に目を丸くしている賢者と魔法使いたちをようやくネロは認識した。
赤面したヒースの手はリケの目を覆っており、シャイロックはニコニコとほほ笑んでいる。ファウストとレノックスは目をぱちくりさせて固まっていた。
「ああ……えっと……ブラッド…リーくんが怪我してないかなって……」
「てめえが思うようなことはしてねえよ」
ブラッドリーは服を素早く整えて、ネロの肩を組む。
「おら、水飲んで酔い覚ましにいくぞ。東の飯屋」
「あ、ああ」
「俺様の分もチキン買っておけよ」そう残された魔法使いたちに言って二人は海岸へと消えていくのであった。
おわり
ーーーあとがき
体制的に頭突き無理じゃね?と思ったけど魔法使いだからなんとかなるなるで書きました。
ボスが立ちバックかよと思うセリフを入れたかったが入り切りませんでした。。。